「承りました」とは?
「承りました」(うけたまわ-りました)とは、動詞「承る」に、丁寧を表す助動詞「ます」、完了の助動詞「た」が付いた語です。意味は大きく分けて以下の通りです。
- 「聞く」「伝え聞く」の謙譲語。相手の意見や話を拝聴しました。
- 「引き受ける」「受諾する」の謙譲語。注文などを謹んで受けました。要請などを受諾いたしました。
「承る」は「受け賜る」が変化した語です。「賜る」は、この場合、謙譲語の「いただく」という意味で、相手から何らかの物事を受ける際のへりくだった様子を表します。
「承りました」の使い方と例文
「承りました」という表現は主にビジネスの場で使われます。へりくだる表現であることから、仕事の取引先や顧客など、目上の相手に使われます。
仕事上の会話でもメールなどの書面でも使われることが多いです。用途別に、例文を交えて使い方を説明します。
1.拝聴しました
「承りました」を拝聴したという意味で使う場合、相手からの苦情や意見、要望や問い合わせなどに対して、しっかりとこちらが聞いたことを表します。
相手から寄せられたメッセージを確かに受信したと伝える場合に使われますが、特に担当者への伝言を依頼された場合に、聞いた内容を把握して担当者に確かに伝えるという意思表示に用いられます。また、企業への問い合わせなどのメッセージに、後日返事をする場合にも用いられることが多いです。
誰が聞いたのか、責任者を明確にするために「私〇〇が承りました」とする場合もあります。
1.の例文
- 先方のご意向を承りましたので、お伝えいたします。
- 新店舗出店の由、本日承りました。
- ご意見、承りました。追って担当者よりご連絡いたします。
- 担当の佐藤が出張しておりますので、私、高橋が承りました。
2.謹んで受けました・受諾いたしました
「承る」は注文を引き受ける際にも使えます。飲食店などでオーダーがあった場合「ご注文を承りました」という店員の応答はよく聞きますね。
通販サイトなどでのやりとりが身近な例でしょう。顧客に品物やサービス内容、数量や金額などの確認をしたり、予約商品の品物や入荷時期などのお知らせ、欠品や入荷遅れなどのトラブルがあった場合のお詫びをしたりするメールの文面でよく目にします。
また、何らかの業務を依頼された場合や、要請や申し入れなどがあった場合に、責任を持って引き受けると言いたいときにも使われます。
2.の使用例
- ご利用いただきありがとうございます。承りました商品と数量、購入額についてご確認のほどよろしくお願いいたします。
- 〇〇のご予約を承りました。発売日以降のお届けになる場合がございますので、ご了承ください。
- ご用命、確かに承りました。
- 〇〇様のご相談の件、承りました。微力ではありますが、精一杯サポートさせていただきます。
「承りました」「かしこまりました」の違い
「承りました」と似た表現に「かしこまりました」があります。「かしこまりました」は、言われたことを理解し、相手の意向に従うという意味を表す言葉です。
「かしこまる」はもともと、身分の高い人を畏れ敬う気持ちを持って謹むという意味です。そのため「承りました」よりも、へりくだる度合いが強い印象があります。主に店舗で、客に対面する場面でよく耳にするのはそのためでしょう。
また、「~を承りました」とは言いますが、「~をかしこまりました」とは言いません。「かしこまりました」は単独で使われる表現だといえるでしょう。
「承りました」NG例
担当者との面談を希望する相手から「都合の良い日時を決めたい」と頼まれる場合があります。不在の場合、希望の日時を聞いておくこともしばしばですが、その際に「承りました」と返事をすると誤解を招く恐れがあります。
伝言を頼まれた側は「日時を聞いて担当者に伝える」という意味で使ったのですが、相手は「その時間で引き受けた」ととらえ、自分が提示した日時で良いと考える場合があるのです。この場合は「担当者に確認し、後ほどご連絡いたします」と返答したほうが賢明ですね。