「申し受ける」とは
「申し受ける(もうしうける)」とは、「受けとる、受ける、依頼される」という意味の謙譲語です。
謙譲語は、自分のことや自分サイド(自らが所属している会社の社員など)のことをへりくだって、相手に敬意を表す表現であり、「申し受ける」は、自らの受動的な行為を相手になるべく失礼の無いように伝える時に使用します。
「申す」の意味
「申し受ける」は、「申す」+「受ける」の2つの言葉で構成されています。「申す」は、「言う」という意味の謙譲語ですが、相手に何かを「願う」ことを表現する丁寧な言い方としての意味もあります。
「申し受ける」の使い方
「申し受ける」を使用した例文
- 当日ご予約をキャンセルをされる場合は、100%のキャンセル料金を申し受けます。
- 講演会後のパーティでは、お一人様につき5000円の会費を申し受けます。
- 無断で駐車をされた場合は、罰金10000円を申し受けます。
「申し受ける」を使用しない表現
ビジネスシーンでの会話やお客様に対して、少々言いにくいお願いごとをするときに「申し受ける」という謙譲語を使用しないとどのような印象になるでしょうか。上記3つの例文を参考に考えてみましょう。
「申し受けます」を使わずに、「○○するとお金が発生(請求)する」ことを簡潔に表現すると、「キャンセル料金が発生します」「会費が必要です」「罰金をもらいます」などとなるでしょう。
謙譲語を使用しないことで与えてしまう印象
お金をもらうということは、相手にとって負担のかかる事柄です。謙譲語を使用しないと、相手側の受け取り方によっては、「お金を払ってもらうのが当たり前だ」と言わんばかりに責められているように感じてしまう恐れがあります。
そういう意味で、言いにくいお願いごとを丁寧に伝えたい場合や、文章で示す場合は「申し受ける」という表現を使用されることをおすすめします。
「申し受ける」の古語表現
かつての古い日本語にも「申し受ける」を表現する言葉が存在しました。「申し受く(まうしうく)」は、「お願い申し上げる、お願いして引き受ける」ことを表現した言葉で、「言ひ受く(いひうく)」の謙譲語です。
「申す(まうす)」は、「言う」という意味の謙譲語ですが、現代日本語の「申す」と同じように「願ふ(ねがふ)=お願いする」「請ふ(こふ)=請う」という意味もあります。
「申し〜」を使用した表現
「申し受ける」以外に「申し〜」を使用した言葉はいくつか存在します。
申し上げる
「申し上げる(もうしあげる)」とは、「言う」という意味ですが、「申す」よりも、さらに相手に対して敬意を示すときに使用する謙譲語です。
〔例文〕
- 早急に見つかりますようにお祈り申し上げます。
- ご入学、心よりお祝い申し上げます。
- この度は、心よりお悔やみ申し上げます。
申し入れる
「申し入れる(もうしいれる)」とは、意見や要求、希望などを正式に申し出るときに使用します。
〔例文〕
- この件につきましては、早急に本部に申し入れをします。
- 明日、部長に申し入れをしたいのですが、ご都合は如何でしょうか。
申し兼ねる
「申し兼ねる(もうしかねる)」とは、自分の立場からは言うことがためらわれることや、何とも言えない状況のことを表します。
〔例文〕
- 申し訳ございませんが、弊社としましては申し兼ねます。
- そのとき何が起こったかは、私の口からは申し兼ねます。
申し聞かせる
「申し聞かせる(もうしきかせる)」とは、「言い聞かせる」ことを表す謙譲語です。自分より目下の相手に言い聞かせることを先方に約束するニュアンスで使用します。
〔例文〕
- 子どもたちに同じことを繰り返さないように、よく申し聞かせます。
- かしこまりました。明日、部下へ申し聞かせます。
申し送り
「申し送り(もうしおくり)」とは、相手に言うことや、事務的な内容や命令を伝えることを表します。
〔例文〕
- 昨日の様子について、事前に申し送りをお願いします。
- 申し送り事項を確認してから業務を開始する。