「按分」の意味
「按分(あんぶん)」とは、成果やノルマなどの分配方法の1つで、基準となる数量・数値の比率に応じて物を分けることです。
「按」という漢字には、考える・調べるという意味があります。このことから、基準を考慮した上で分けることが、「按分」のコアであることがわかりますね。
なお、「按分」は「案分」と表記することがあります。これは常用漢字ではない「按」の代わりに「案」を用いたものです。
按分の例
上で示した「基準となる数量・数値の比率に応じて物を分ける」とはどういうことか、具体的に見てみましょう。
この例では飲み代を、誰がどれだけ飲んだかの比率に応じて分けていますね。このような分配方法が「按分」です。また、基準となる数量・数値による比例計算を「按分計算」と呼びます。
按分という言葉を用いなくとも、私たちは日常生活の中でごく自然に、按分を行っていることがわかるでしょう。
「按分」の使い方
「按分」は、おもにビジネスシーンで、「按分する」「按分計算」のかたちで用いられます。
例文
- ルームシェアをしていて、家賃と光熱費は同居人と折半だが、食費は按分している。
- 今年度予算は、前年実績を元に按分し割り振られるので、楽観視できない。
- 大食漢の友達との食事代は、割り勘ではなく按分計算して支払うようにしたい。
3つ目の例文にある「割り勘」とは「割り前勘定」の略で、合計金額を頭数で割って全員が平等に支払うことを言います。ある基準によってそれぞれの支払額が異なる「按分」とは違った分配方法です。
「按分」の関連語
ここでは、「按分」のような分配に関する言葉を紹介します。
等分
「等分」は物事を頭数で単純に分割する方法です。割合や比率に応じる按分とは分け方が異なります。前項に出てきた「割り勘」も「等分」の一種です。
【例文】
- 友達がパーティーに持ってきてくれたケーキを参加者で等分に分けた。
- お菓子をきっちり等分しないと、兄弟喧嘩に発展するので慎重に切り分けた。
配分
「配分」も、「按分」と同じように分配方法の1つです。「配分」は、割合を考えて分配するという意味を持つため、「按分」に近い言葉と言えます。
【例文】
- 最近の株式市場は高値を更新しているので、次回の配分には期待できる。
- 株主優待の配分方法が変更になると、投資先から書面で通達され戸惑った。
分け前
「分け前」は、各自に分け与えられる分という意味があります。おもに金銭や食べ物を分け合う時に使われる言葉です。「按分」は分配方法の1つですが、「分け前」は分配され与えられた物を指しています。
【例文】
- 父の遺産相続の話し合いの席で、弟は分け前が少ないと文句を言った。
- 動物番組で、ハイエナの群れがライオンの狩りの分け前にあずかっていた。
「按分」の英語表現と例文
「按分」は「distribution(分配)」と英訳されます。日本語で多く使われる「按分する」というかたちを英語で表すには、「distribute(分配する)」や「divide(分割する)」といった単語と、「proportionally(比例して)」を組み合わせて使います。
- to distribute ●● proportionally(●●を按分する)
- proportionally divide ●●(●●を按分する)
- proportional distribution(按分計算)
例文
- Owners have to distribute the profits proportinally [proportionally divide the profits] every months.(オーナーは毎月、利益を按分しなければならない。)
- I'd like to pay the bill for dinner by proportional distribution.(今晩の夕食代は按分計算して支払うようにしたい。)