「暗喩」とは?意味や使い方を例文も含めてご紹介

「暗喩」(あんゆ)という言葉は、こっそりと・密かにという意味を表す「暗」と、たとえることを示す「喩」という漢字で成り立っています。密かにたとえるとは具体的にどういうことでしょうか。この記事では、「暗喩」の意味や使い方を例文も交えながら解説します。

目次

  1. 「暗喩」の意味
  2. 「暗喩」の使い方・例文
  3. 暗喩表現が用いられている作品例
  4. 「暗喩」の同義語と対義語

「暗喩」の意味

「暗喩」(あんゆ)とは、比喩(ひゆ)表現の一種です。比喩とは、ある物事を別の何かに見立てて表現することを言います。

比喩表現にはいくつかの種類がありますが、「暗喩」は、「まるで~・~のような・~のごとく・~みたいな」などの比喩を表す言葉を用いずに、ある物を他の物に見立てて表現することを言います。

暗喩表現とは

「ひまわりのような明るい笑顔」は暗喩表現ではありません。なぜなら、「~のような」という「たとえ」であることが一目で分かる言葉が付いているからです。

では、「彼は歩く辞書だ」という表現はどうでしょうか?字面だけ見れば、「彼」は「辞書」という存在そのものになってしまいます。しかし、「彼」という人間は「辞書」そのものではありません。

「彼は歩く辞書だ」には、「まるで辞書であるかのように何でも知っている人だ」というニュアンスが隠されています。このように、字面だけでは比喩とわからないのが暗喩という比喩表現なのです。

「暗喩」の使い方・例文

「暗喩」という表現方法は詩や小説などでよく用いられますが、「暗喩」という言葉自体は文章表現などについての話題で使う程度でしょう。

「暗喩」の例文

  • 彼が小説に用いる暗喩は特徴的で、好きなポイントとして挙げるファンも多い。
  • 「花」という言葉は、「女性」や「若い娘」の暗喩として使われることがある。
  • この文章は何かを暗喩しているのか、文字通りの意味なのか分からない。

暗喩表現が用いられている作品例

暗喩表現は、用件を誤解なく伝えるためのレポートや教本などではあまり用いられません。一方で、文章の味わいを楽しむような作品ではよく使われます。以下では、その一例を紹介します。

『決められた以外のせりふ』/芥川比呂志

笑いは、話にちょっと添える薬味ではない。お上品な食卓に飾るしゃれた生花ではない。笑いは、話の味をよくする酒である。(『決められた以外のせりふ』/芥川比呂志)

この引用は、俳優であり演出家でもあった芥川比呂志のエッセイの一文です。「暗喩」として「話の味をよくする酒」が使われることによって、「笑い」の本質を表現しています。

『幸福な死』/アルベール・カミュ

朝のゆっくりとした接岸。海の上の眩いカスバの滝。丘と海。両腕をぴんと伸ばした湾。樹々のあいだの家々。(『幸福な死』/アルベール・カミュ/高畠正明 訳)

フランスの作家、哲学者であったカミュの代表的な小説の一部です。「両腕をぴんと伸ばした」という「暗喩」によって、「湾」の形状が目に浮かぶような表現になっています。

「暗喩」の同義語と対義語

「暗喩」の同義語

「暗喩」の同義語には、「隠喩」(いんゆ)、「メタファー」(metaphor)という言葉があります。とくに「メタファー」は、哲学や言語学、心理学、文学の分野などで使われる用語です。

「暗喩」の対義語

「暗喩」の対義語は、「明喩」(めいゆ)、「直喩」(ちょくゆ)、「シミリ」(similie)です。これらは、「まるで~・~のようだ・~のごとく・~みたいな」などの比喩を表す言葉を使って、ある物を他の物に見立てて表現することを指します。

たとえば、上で説明した「ひまわりのような笑顔」は明喩です。


人気の記事

人気のあるまとめランキング

新着一覧

最近公開されたまとめ