「居を構える」とは
「居を構える」とは、「自分の住む場所を決めてそこへ住むこと」または、「場所を決めて家を建てること」ということです。「新しい家に住むことなりました」など、普通のフレーズと比べると、改まった感じがしますね。新聞や小説などでよく見受けられる慣用表現です。
「居を構える」は、「居」と「構える」から構成されています。それぞれの意味を見ていきましょう。
「居」の意味
「居」は、音読みでは「キョ」、訓読みでは「い」です。それぞれの読み方によって意味が異なります。
【居(キョ)】
【居(い)】
「居」は「居る」の連用形です。「居ることや座ること」を表しています。他の語と結びついて「居候(いそうろう)」や「芝居」「長居」などの熟語を形成しています。
「構える」の意味
「構える」は、いろいろな意味を持っていますが、主なものは次のとおりです。
- 整えられた形につくること。組み立ててつくること。(家を構える。店を構える)
- 準備を整えること。すぐに使えるように準備して手に持っていること。(バットを構える)
- 計画すること。たくらむこと。(事を構える)
「居を構える」の「構える」は、1の意味です。それぞれの意味の「居」と「構える」との組み合わせでできた「居を構える」は、上記のような意味を表しています。
「居を構える」の使い方
- 父親は定年退職後、ふるさとに居を構えるつもりです。
- 私の赴任地でありますが、この地に居を構えることになってしまいました。
- 彼はこの地に居を構え心機一転やり直すことを決意しました。
- 私は隣町に居を構えた友人の世話になり、彼のもとで働くことになりました。
「居を構える」の類語
「居を卜す」
「居を卜す」(きょをぼくす)とは、「住む場所を選ぶ。または、そこへ住みつく」という意味です。この言葉の中の「卜す」とは、「占いによって良し悪し判断する。または、判断して定める」ことです。つまり、「住むところを占いで判断して決める」ということです。
「卜す」という言葉自体が、古い用法で、現在ではあまり使われませんが、文芸作品などで見られることがあります。「あるところへ場所を決めて住む」ところが「居を構える」と同様で、類語に属するものと言えます。
「家を定める」
「家を定める」とは、「いろいろとある中で、家を選んで決める」ということです。「家を定める」の「定める」はさまざまな意味を持っています。主には、「決める。制定する。はっきりさせる」などです。
「住居を決めてそこへ住む」という意味が「居を構える」に通じており、その点が類語と言えます。
【例文】
- いろいろと思い悩んでようやく家を定めることができました。
- 家を定めるについては周辺の環境などが大事な要因になります。
「定住」
「定住」とは、「一定のところに住むことを決めること。住みつくこと」です。この言葉は「定住人口」や「定住促進」など他の語と結びついて熟語を形成しています。「居を構える」とは熟語とフレーズの違いはありますが、「住みつく」ところは同様であって類語と言えます。
【例文】
- 定住人口を増やすことが、これからの地方自治体の課題です。
- 私の仕事は、移住や定住を促進するためにホームページを作成することです。
「邸宅を構える」
「邸宅を構える」とは、「造りが立派で大きな家や屋敷をつくること」です。この場合は「住む家の構造が大きくて立派であること」に重きが置かれているため、若干ニュアンスが違っています。大きな家や屋敷などに住む場合はこの言葉を使うことが多いです。
【例文】
- 彼は若いうちから資金を貯めて念願の山の手に邸宅を構えました。
- この地域には昔から邸宅を構えるような人々がたくさん住んでいます。