「選ぶ」の意味と使い方
「選ぶ」には、大きく分けて2つの意味があります。それぞれ使用例を挙げながらご紹介します。
「選ぶ」の意味と使い方その1
「選ぶ(えらぶ)」には「いくつかあるものの中から、目的や基準にかなうものを取り上げる」という意味があります。
【例文】
- 今日は天気が悪くてテンションが下がり気味だから、せめて気持ちが明るくなりそうなネクタイを選ぼうと思う。
- 来週の選挙でいよいよ新しい大統領が選ばれる。
「選ぶ」の意味と使い方その2
「選ぶ」には、上記の意味の他に「差別して扱う」「区別する」という意味もあります。この場合は、「選ばない」「選ばず」といった打消しの形で使われます。
【例文】
- フレンチの達人がコンビニでお手軽に買える食材を使って絶品料理を作ってくれた。素材を選ばない素晴らしい腕前だと感心した。
- プロの仕事人と言うのは場所を選ばず、どこでも最高のパフォーマンスを見せてくれる。
これらの例文のように、「〇〇を選ばない」「〇〇を選ばず」という文全体で「差別して扱うことがない」「えり好みしない」という意味を持ちます。
「撰ぶ」とは
「えらぶ」には、「著作を集めて書物を作る」という意味があります。この場合は「選ぶ」ではなく「撰ぶ」という漢字が用いられます。
個人が選定、編集することは「私撰」、天皇が自ら、もしくは天皇の命により詩歌や文章を選定、編集することは「勅撰」と言われます。
「選ぶ」の類語
「選ぶ」の類語としては同じ「選」という漢字を使った以下のような類語があります。
- 選別
- 選択
- 選抜
- 選定
- 選る(よる/える)
また【厳選】【精選】などもあげられます。【厳選】は「厳しい基準によって慎重に選ぶ」、【精選】は「よくよく念を入れていいものを選ぶ」という意味です。
「選」という漢字を用いない類語もあります。「大まかな基準により適当に整える」場合は【見繕う(みつくろう)】が使われます。「二つのもののうちいずれか一つを選ぶ」場合は【二者択一(にしゃたくいつ)】が使われます。
「選ぶ」の類語(カタカナ語編)
カタカナ語の類語としては【セレクト】【チョイス】【ピックアップ】などがあげられます。【セレクト】は、「よりわけること、選別すること」という意味です。
【セレクトショップ】というと、「一つのブランドにこだわらず、お客さまの嗜好に合わせて様々なメーカーやブランドの衣類、小物、雑貨などを選んで取りそろえた店」という意味になります。
「選ぶ」の類語(慣用句編)
篩に掛ける
「篩に掛ける(ふるいにかける)」は、「多くの雑多なものの中から、基準に合ったものやほしいものだけ選び出す」という意味です。「一万点を超える応募作品をまずは書類選考で篩に掛けた」などと使います。
白羽の矢を立てる
「白羽の矢を立てる(しらはのやをたてる)」は、「多くの中から特にふさわしいものとして選び出す」という意味です。「無名の新人脚本家に白羽の矢を立てて朝ドラの脚本をお願いしたのだが、異例の大ヒットとなった」などと使います。
「選ぶ」が含まれることわざ
「選ぶ」が含まれることわざに【弘法筆を選ばず】があります。これは、本当に高い技能を持った人は、どんな道具でも材料でもうまく使いこなすものだ、という例えです。弘法大師のような書道の名人は筆をえり好みしない、ということから来た比喩表現です。
「選ぶ」が含まれる慣用句
選ぶ所がない
【意味】
何かと比べてみて、その内容の程度にほとんど違いがなく区別できないこと
【例文】
- こんな最低限のマナーも守れないなんて、犬や猫と選ぶ所がないよね。
- A4の用紙買って来てってお願いしましたよね。A3を買ってくるなんて、子どもと選ぶ所がないわ。
時を選ばず
【意味】
どんな時でも
【例文】
- 自然災害は時を選ばずやってくるのだと思い知った。
- 死は時を選ばずやってくるものだから、今この瞬間を大切に生きよう。