「朝焼け」の意味
「朝焼け」(あさや-け)は、太陽が登る際に東の空が黄みがかった赤色に染まっていく現象をいいます。朝の日光が、まるで空を焼くように見えることから付けられたのかもしれません。ちなみに、俳句などの季語では「夏」に分類されます。
「朝焼け」の使い方と例文
「朝焼け」は早朝(日の出の時間)に輝きを増す太陽光で、空の色が変化する様子を表します。また、徐々に暗い空を明るくしていく様子から、夜から朝にかけての時間の経過を描写することもできます。
部活の朝練に出る生徒や学生、交代制で早出が必要、もしくは早朝に帰宅する職業に就いている方は、「朝焼け」を見慣れているでしょう。
しかし、ほとんどの人は特別な用事がない限り「朝焼け」を見る機会は少なく、新鮮に映るかもしれませんね。
「朝焼け」を使った例文
- 通学には3時間かかるので、寒い時期に朝練に出る時は朝焼けの空の変化を眺めながら電車に乗って登校しています。
- 年明けてすぐに近所の神社やお寺に初詣をしていたら、東の山際に輝くような朝焼けの空が広がっていた。
- 夜に乗車した長距離バスから外を見ると、すっかり朝焼けの空に変わっていた。
- 同僚とはしご酒をしていたら、空はすっかり朝焼けになっていた。家族は怒っているだろうな…。
- 朝焼けの時間になる頃に仕事を終えて、「やっと家に帰れる」とほっとした気持ちになった。
「朝焼け」を使ったことわざ
「朝焼けは雨、夕焼けは晴れ」(あさやけはあめ、ゆうやけははれ)ということわざを耳にしたことのある方もいるでしょう。これは、「空がきれいな朝焼けだったらその日は雨が降る、夕焼けになった場合は翌日は晴れる」という意味です。
「朝焼けは雨」は、春や秋のように低気圧や高気圧が交互に来る気候の場合は当てはまります。しかし、天気は基本的に西側から変化します。
「朝焼け」は東の空の状態ですので、西はどのようになっているか分かりません。冬や夏の場合は急に雨雲が湧いてきて、外れる場合があります。
逆に「夕焼けは晴れ」の場合、日が沈む西側が晴れていることが分かるため、夏や冬であれば翌日は晴れる可能性が高いといえるでしょう。
「朝焼け」と「夕焼け」の違い
「朝焼け」の対義語に当たる「夕焼け」は、夕方の日没の頃に空が赤みがかった色に染まることをいい、こちらも夏の季語です。
「夕焼け」の方が「朝焼け」よりも眩しくなく、赤みが強いオレンジ色に見えます。というのは、夕方は太陽光が大気中を通る距離が長く、波長の長い赤やオレンジ色の光が地表に届きやすくなるからです。
「朝焼け」に近い時間帯を表す語(雅語)
東雲
「東雲」(しののめ)は雅語(がご:平安時代を中心とした古典で使われる、洗練された優雅な言葉のこと)で、東の空が少しずつ明るくなる頃、明け方という意味です。
「東雲」は当て字で、もともとは「篠の目」です。部屋の採光のための窓に使われた「粗い篠の編み目」を通じて、朝日が差したところから由来しています。
「東雲」を「とううん」と読む場合は、東の空にある雲を指すこともあります。また、「初東雲」(はつしののめ)という場合は新年の季語にあたり、元日の明け方という意味で使えます。
曙
「曙」(あけぼの)も雅語の1つで、夜が少しずつ明けはじめる頃という意味です。もともとの形は「明け仄」で、「夜が明けて仄仄(ほのぼの:かすかに明るくなる様子)とする」というところから来ています。
また、本来の意味から派生して、時代や生活様式などが新しく改まる様子を表す場合にも使われます。
朝ぼらけ
現代語ではあまり見かける機会が少ないですが、「朝ぼらけ」(漢字表記:朝朗け)という言葉も夜明け頃を表す雅語の一種です。「朗」の字義に「明るい」などがあります。
「朝ぼらけ」の意味は夜が明けてだんだんと空が明るくなる頃で、「東雲」や「曙」よりも時間が進み、それよりももう少し空が明るくなった頃を指す場合もあります。