「かいつまんで」とは
「かいつまんで」とは、「物事の要点を取り出して簡単にまとめる」という意味をもつ慣用表現で、漢字では「搔い摘まんで」と書きます。
この言葉は「かい」と「つまむ」から成り立っています。まずは、それぞれの意味を見ていきましょう。
「かい」の意味
「かい」は「かき(搔き)」の音便形(意味:もとの音の一部が発音しやすいように変化したもの)です。
「かく(搔く)」という動詞もありますが、この場合の「かき(搔き)」は接頭語だと考えられます。接頭語の「かき」は、後に続く動詞を強調する働きをします。
「つまむ」の意味
「つまむ」にはいろいろな意味がありますが、主なものは次のとおりです。
- 重要な点を抜き出すこと。(かいつまむ)
- 指先ではさむこと。(鼻をつまむ)
- 指先などで手軽にとって食べること。(寿司をつまむ)
- 狐などが人を化かすこと。(狐につままれたようです)
「かいつまんで」の「つまんで」はこの1の意味です。
「かいつまんで」の使い方
- 相談されていることをかいつまんで話すと次のとおりです。
- 今日は時間がないので要点をかいつまんで話します。
- このテキストはポイントをかいつまんで書いてあるので分かりやすいです。
- このマニュアルは重要なところをかいつまんで説明してあります。
「かいつまんで」の類語
「概括」
「概括」とは、「物事の傾向や考え方、内容などをおおづかみにまとめること」です。「要点を取り出してまとめる」ところが「かいつまんで」とよく似ており、類語といえます。
[例文]
- 今回の会議はたくさんの意見がでたので概括して報告しなければなりません。
- 急激に変わる世界情勢を概括的に捉えて発表することは難しいものです。
「手短」
「手短」とは、「手間がかからず、短くまとめられているさま」を表しています。「簡単に短くまとめられている」ところは「かいつまんで」と似通っているといえるでしょう。
ただし、「手短」は「時間をかけずに」というニュアンスが強く、必ずしも「要点を取り出しまとめる」という意図を含むわけではありません。
[例文]
- 上司からは用件だけを手短に話すように求められています。
- 明日の会議は時間がないので手短に要点だけを報告しなければなりません。
「シンプル」
「シンプル」とは、「無駄や複雑なところがないさま」または、「飾り気もなく単純なさま」を意味する言葉です。こちらも「余計なことをせず、無駄を省いて簡素にする」点においては「かいつまんで」と類語といえます。
ただし、「シンプル」を使う場合、ただ物事を単純にするだけで、「要点をまとめる」というニュアンスはほとんど含まないこともあります。
[例文]
- この説明は極めてシンプルで誰でも理解できるものです。
- シンプルな報告書を作成するためには内容をしっかりと把握することが大事です。
「簡潔」
「簡潔」とは、「簡単であって、その上、要領よくまとまっている」ことです。「簡単であってコンパクトにまとまっている」点においては、「かいつまんで」と同様であり、類語に属するものといえます。
しかし、「要領よくまとめあげる」ための前段の行為(要点を取り出すこと)がどこまで行われているかは、「簡潔」という言葉だけでは読み取れない場合が多いでしょう。
[例文]
- この事業の実績については簡潔に説明しなくてはなりません。
- 先生からはこの文章の要旨について簡潔まとめるように指示がありました。
「かいつまんで」の英語表現
英語表現では、「かいつまんで」を「sum up」(まとめる)や「summarize」(要約する)などの言葉で表現します。
[例文]
- To sum up, sushi is tasty, and low in calories.(要するに、寿司はおいしい上に低カロリーです。)
- I summarize today’s story.(今日の話をまとめます。)