「遠慮」とは?意味や使い方を類語も含めてご紹介

「遠慮」は言動をセーブすることという意味です。「遠慮なくおくつろぎください」「写真の撮影はご遠慮ください」など、日常的によく使われる言葉だけに、類語も多く存在します。この記事では「遠慮」の意味や使い方を類語を含めて紹介します。

目次

  1. 「遠慮」の意味
  2. 「遠慮」の使い方
  3. 「遠慮」の類語

「遠慮」の意味

「遠慮(えんりょ)」の意味は以下の通りです。

  1. 相手に配慮して、言動を控えめにすること
  2. 礼儀作法やマナーなど公の状況に応じて、行動を差し控えること
  3. それとなく辞退すること。場を退くこと
  4. 遠い先のことをあれこれ深く考えること
  5. 江戸時代の処罰の1つで、武士や僧侶に対する軽めの謹慎刑

現代において使われているのは、1~3の意味ですが、1~3の区別は曖昧なこともあります。この三つを大雑把にまとめれば、「気を遣って控える」ということです。

4は古語、5は古語や時代劇などで用いられています。この記事では1~3について見ていきましょう。

「遠慮」の語源

「遠慮」の語源は『論語』の一節にあると言われています。

〔原文〕子曰、人而無遠慮、必有近憂
〔読み方〕子曰く、人にして遠き慮り無ければ、必ず近き憂い有り
〔意訳〕先生(孔子)がおっしゃった。人は遠い将来を見通さなければ、間違いなく近いうちに災いにあう。

ここで、「遠慮」は「遠き慮り(おもんばかり)」と表現されています。これは遠い将来を見通すことを指しますから、上記の意味4がもともとの「遠慮」の意味であったことが分かりますね。

なぜ「遠い将来を見通すこと」が「言動を控えめにする・辞退すること」になったのでしょう?定説はないようですが、次のような説もあります。

遠い将来を見通すには、深く考える必要があるので、行動に移すまでに時間が掛かります。それが「言動を控えること」につながり、「辞退すること」という意味に転じた、というものです。

「遠慮」の使い方

「遠慮」はビジネスシーンや日常生活でよく使う言葉です。「気を遣って控えること」を表しますが、相手に対して自分が控える場合だけでなく、相手に控えてもらうという場合にも使えます。

1の意味の使い方

1は、「特定の誰か」に対する気遣いとして控えめにすることを表します。「誰か」に該当するのは、目上の人だけでなく、立場が弱い人、親しい人、初めて会った人などさまざまです。

【例文】

  • 新人たちに先輩社員への遠慮が見られたので、気軽に発言して良いんだよと声を掛けた。
  • 料理はたくさんあるから、遠慮せずにどんどん食べて頂戴。

また、「遠慮」「遠慮する」という形だけでなく、次のような複合語として用いることもあります。
  • 「遠慮なく」…気兼ねなく
  • 「遠慮深い」…控えめな態度をとるさま
  • 「遠慮がち」…遠慮する傾向があること
  • 「無遠慮(ぶえんりょ)」…好き勝手に行動すること

2の意味の使い方

2の「遠慮」は礼儀やマナー、社会情勢などを考えて、何かを控えることを表します。この場合、「公(おおやけ)」を対象とした配慮と捉えられます。

たとえば、喪中なので年始の挨拶は控える、図書館での私語を控えるといったケースが当てはまります。どちらかと言えば、他者に配慮を求めるときに使うことが多い表現でしょう。

【例文】

  • 喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます。
  • 当レストランは全面禁煙となっております、タバコはご遠慮ください。

3の意味の使い方

3の意味の「遠慮」は、相手の誘いを断るときによく使われます。「遠慮させていただきます」は、「辞退する・参加しない・要らない」などを遠回しに言う際の丁寧な表現です。

また、「退席する・立場を退く」など、場を退くことを表す際の婉曲表現としても用いられます。

【例文】

  • 今夜の懇親会ですが、大切な用事がありますので遠慮させていただきます。
  • 誘ってくれて嬉しいけど、テスト直前だから遠慮しとくよ。
  • 来週のゴルフは部長以上の親睦会だから、君は遠慮してくれ。

「遠慮」の類語

「謙虚」

謙虚(けんきょ)」は、威張ったり驕ったりすることなく他人と素直に接することやそのさま、つまり「控えめでつつましくすること、またはその様子」を表します。他人との関わり合いの上で控えめにするという点において、「遠慮」に似ています。

「謙虚な人」と言うと、逆説的に「大人しすぎる。主張しなさすぎる」ことを指す場合もありますが、多くの場合は褒め言葉です。

【例文】

  • 彼女は成績優秀な学生だが、とても謙虚で出過ぎることがない。
  • 謙虚さは美徳とされているが、競争社会では仇(あだ)になることもある。

「謙遜」

謙遜」とは「自分の実績や能力に驕ることなく、控えめな態度をとること」です。控えめにするというところは「遠慮」や「謙虚」と同じですが、自分の評価を低く見積もる、へりくだるというところは異なります。

褒められた際に、「いや、私なんてまだまだですよ」と返すシーンがありますね。こうした態度を「謙遜」と言います。「私なんて」「私程度では」のように自分を下げているのが特徴です。

【例文】

  • あんまり謙遜してると、かえって嫌味に聞こえてしまうよ。
  • 彼はもっと謙遜するタイプかと思っていたが、全身で喜びを表現していた。

「慎み深い」

「慎み深い」は「出しゃばらず、控えめで軽はずみな行動を取らないこと、またはそのさま」を表します。「慎む」とは控えめにするという意味ですから、「慎み深い」は「遠慮深い」と言い換えても良いでしょう。

【例文】

  • 彼の出世を祝うパーティなのに、彼は浮かれることなく周囲にに気を遣っている。どこまでも慎み深い人だ。
  • 彼女の慎み深い態度には、先輩だけでなく、同期も後輩も感心している。


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