「佩剣」とは?
意味・読み方
「佩剣」は、<はいけん>と読みます。その意味は、「剣をおびること、または、その剣」です。
「佩」の字義
「佩」(ハイ)の字は、人と、巾(帯の意)と、凡(つけるもの、服)により、「人の帯につけるかざり玉」や、「腰の帯につけるもの」、「帯びるもの」といった意味を持ちます。
「ズボンをはく」と言う時は「穿く」、靴などを足先につける時は「履く」という字を使いますが、腰につけたり帯びたりするときには「佩く」(は-く)という言葉を使うと知ると、「佩」という字へのイメージが深まるのではないでしょうか。
「剣」は、持ち運ぶときには腰につける(さす)ものであると同時に、帯びる(腰にさげる)ものでもありますから、「佩剣」というわけですね。他にも「佩服」(はいふく:身につける)といった熟語もあります。
「佩剣」の使い方
現代日本において、日常的に「佩剣」している人はまずいません(いたら、大変な騒ぎになるでしょう)。しかし、明治時代まで遡ると、警察官や旧日本軍の軍人などがサーベル(西洋の片刃の刀)を腰に佩くことが許されていました。
戦後まもなく、治安維持の道具は拳銃へと変わり、サーベルはその役目を終えました。現代でも、権力の象徴として儀礼的にサーベルを用いることはありますが、実用上の目的で「佩剣」の様子を見る機会はほぼなくなりました。
現代において「佩剣」の様子やその言葉が見られるのは、上記のような儀式や、明治時代や戦前・戦中の世界観を扱った文化物(マンガ、時代小説など)にほぼ限られます。その背景から、この言葉自体が少々時代がかった印象を与えることは否めないでしょう。
例文
- その将校が部屋に入ってきたとき、その佩剣ががちゃりと重々しく鳴った。
- 彼は怪しげな気配を察知し、とっさに佩剣の柄に手をかけた。
- 巡査は佩剣の鞘を握り、向かってくる男に制止の声を発した。
「佩剣」の関連語
- 帯剣(たいけん)…剣を帯びること、また、その剣。「佩剣」と同義。
- 佩刀(はいとう)…刀を帯びること、また、その刀。「剣」と「刀」は区別されないことも多いが、「刀」を帯びるのは、どちらかといえば明治以前、中世の「侍」のイメージ。