「肥沃」とは?意味や使い方を英語表現も含めてご紹介

「肥沃」という字、あなたは読めますでしょうか。文語的な表現であることに加え、「沃」の字がふだん見かけないため、意味も想像しにくいかもしれませんね。ここでは、「肥沃」という言葉の意味や使い方を、英語表現も含めてご紹介します。

目次

  1. 「肥沃」の意味
  2. 「肥沃」の使い方
  3. 「肥沃」の英語表現

「肥沃」の意味

「肥沃」は、<ひよく>と読みます。その意味は、「地質が良く、土が肥(こ)えて、作物がよくできること」

「肥」の字は、「肥満」(ひまん:身体が太ること)にも使われているように、「肉がついてふとる」がもともとの意味です。ここから、「肥土」(ひど)や「肥料」のように、土が肥えていることを表すわけです。

一方の「沃」は、「水をふりかける」がもともとの意味です。水をかけて洗う、若くて美人である、といった意味もあるものの、日常ではあまり目にしないかもしれません。作物がよくできる土は、水が豊かでよく通ることから、「沃」の字が使われています。

どのような土が「肥沃」か

どのような土を「肥沃」と言うかは諸条件により異なりますが、一般的には以下の通りです。

  • 窒素、リン、カリウムなど植物の生育に欠かせない栄養素を含む。
  • 植物の育成に有利な微生物が豊富に存在する。
  • 水を引きやすく、浸透がよい。柔らかく、保水できる。または、水はけがよい。
  • 極端に酸性でなく、また極端にアルカリ性ではない。

もともと肥沃でない土地でも、化学肥料や灌漑(かんがい)等により、肥沃化する可能性はあります。しかし、場合によっては環境を汚染したり、生態系に影響を与えたりする場合もあり、自然とのバランスが大切です。

「肥沃」の使い方

「肥沃な大地」

「肥沃」は、ほとんどの場合、「肥沃な大地」「肥沃な穀倉地帯」「肥沃な黒土」などの形で、ある一定地域の地質が良い、作物が多く取れる、農業が盛んである、耕作地として優秀、といったさまを表して使います。

作物がよくとれる「肥沃な土地」は、人類の食糧をまかなう生命線です。人類史上、「肥沃」な土地は天からの恵みものであり、さまざまな産業が発展した現代社会でも、第一次産業である「農業」は文明の維持に欠かすことができません。

そのため、「肥沃」は、単に「土が良い」「作物の出来がいい」ということ以上に、その土地に文明を発展・維持するための潜在的可能性や将来性、人口包容力があるというニュアンスを持つこともあります。

【例文】

  • 〇〇国の平地には肥沃な土地が広がっており、国全体の大きな経済資源となっている。
  • 山々から流れ込む清らかな水と肥沃な大地のおかげで、このあたりでは美味しいお米ができる。
  • 大河の近くは水害のリスクはあるものの、肥沃な土が運ばれてくるため、古くからのリンゴ農家が軒を連ねている。

比喩的な「土壌」にも使用可能

やや限定的な使い方ではあるものの、「肥沃」は、物事を生み出す条件・環境としての比喩的な「土壌」についても使用することができます。

【例文】

  • 古くからさまざまな人種が混在する〇〇自治区は、人類平等主義が生まれるための肥沃な土壌であった。

「肥沃」の英語表現

「肥沃な」という意味の英語表現は、以下の通りいくつかあります。

  • fertile(土が肥えた、他産な、想像力に富む)
  • fruitful(実り多い、収穫の多い、有益な、豊作の)
  • mellow(熟している、芳醇な、柔らかく肥えた)

細かなニュアンスの差としては、「fertile」は「多くを生み出すもの」、「fruitful」は「既に多くのものを生み出し・成し遂げたもの」、「mellow」は「柔らかく熟した土の様子」といった具合です。

または、もっと直接的に「rich soil」(豊富な土壌)としたり、「生産力」に注目して「productive」(生産的)といった単語を使うのも良いでしょう。

例文

  • The land in this area is naturally fertile.(このあたりの土地はもともと肥沃なのです)
  • The fruitful breadbasket supports civilization.(肥沃な穀倉地帯が文明を支えている)
  • Mellow soil will foster good crops.(肥沃な土は良い作物をはぐくむだろう)


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