「感触」の意味
「感触」(かんしょく)は、大きく分けて次の三つの意味をもつ言葉です。
- 外界からの働きかけ、あるいは外界の物事に触れることによって、心に感じること。
- 物事の雰囲気や相手の態度などから、それとなく心が受け取る感じ、印象。
- 手や肌に触れた感じのこと。手ざわり、肌ざわりのこと。
このうち意味1は、「~に感触する」として、動詞のかたちで用いますが、現代の日本語で使われることはほぼありませんので、今回の解説では割愛します。
「感触」の使い方
「感触」は、心で感じる意味と手や肌で感じる意味では使い方がいくらか異なりますので、それぞれ項目を分けて使い方を解説します。
心が受け取る「感触」の使い方
他者の態度や物事の状況を観察するとき、私たちの心にはなんらかの思いが起こります。「感触」は、その思いや感情に近い言葉ですが、使い方のポイントは、「それとなく受ける感じ」であること。つまり、「印象」と置き換えることができます。
例えば、営業で取引先と交渉した場合、相手が大変乗り気であとは正式な契約を交わすのみという状況で、「よい感触をえた」とは使いません。この場合は、交渉成功がほぼ明らかで、「それとなく」感じるものではないからです。
もうひとつのポイントは、ポジティブな印象において用いることが多いということです。辞書上の定義では、単なる「受け取る感じ」ですが、嫌われた感触、失敗しそうな感触、とはいいません。好かれている感触、成功しそうな感触、のようにポジティブな局面で用います。
心が受け取る「感触」の例文
- A社との提携交渉の会議では、役員の大多数が乗り気であるような感触をえた。
- 婚約者の両親と初めて会ったのだが、なんとなく受け入れてもらえた感触があった。
- 海外留学の希望を父に伝えた時の彼の表情から、賛成してくれそうな感触をもった。
手や肌を介する「感触」の使い方
「手触り」「肌触り」など、皮膚感覚で受けた印象を「感触」という言葉で表現します。ネガティブな意味で用いることが少ない「心の感触」とは異なり、手や肌での「感触」は良くも悪くも使うことができます。
柔らかな感触、つるつるした感触、ごつごつした感触、など具体的な描写を伴って使うことが多い言葉です。とはいえ、「手で触った感触がいい(悪い)」などのように、おおざっぱな良し悪しで完結する場合もあります。
手や肌を介する「感触」の例文
- 子ヤギの毛並みがあまりに柔らかな感触で、思わず頬をすりよせてしまった。
- どの毛布を買うか迷ったが、手で触った感触がもっとも良いものに決めた。
「感触」の類語
【印象】
- 意味:なにかを見たり聞いたりしたときに人間の心が受ける感じのこと。
- 例文:彼と初めて出会ったとき、とても優しい人だという印象をもった。
【触感】
- 意味:ものに触れたさいに、手や肌で受ける感覚のこと。
- 例文:この生地のなめらかな触感をお楽しみください。
「感触」の英語表現
「感触」を表す英語表現はいくつかありますが、ここでは代表的なfeelとtouchをご紹介します。
feel
【feel】は、心で感じる感触も、皮膚で感じる感触も表現できる動詞です。名詞ではfeelingとして使います。
【例文】
- This towel feels very soft.(訳文:このタオルはとても柔らかな感触だ。)
- I feel that he loves me so much.(訳文:彼が私をとても愛してくれている感触がある。)
- I enjoyed the feeling of his hand on my back.(訳文:私は、背中に置かれた彼の手の感触を味わった)
touch
【touch】は、おもに皮膚感覚による感触を表現する単語です。
【例文】
- This stuffed bunny is soft to the touch.(訳文:このウサギのぬいぐるみは柔からな感触だ。)
- I love the soft touch of her hand. (訳文:彼女の手の柔らかな感触が好きだ。)