「おいど」とは?意味や使い方を方言を含めてご紹介

みなさんの中には、「まいど、おいど」という古いギャグが記憶の底に残っている人もいるかもしれません。この「おいど」はある地方の方言ですが、一体どんな意味でしょうか。この記事では、「おいど」の意味や使い方をその由来とともにご紹介します。

目次

  1. 「おいど」とは
  2. 「おいど」の使い方(関西地方の方言で)
  3. 「お」のつく京ことば

「おいど」とは

「おいど」とは、おしりのことを上品に言う中世の女性語で、現在では関西地方で使われる方言と言われています。漢字で書くと「御居処」となります。

「御居処」は、すわるを意味する「居」と場所を意味する「処」を合わせたものに、接頭辞の「御」をつけた、座るところという意味の丁寧語です。

「おしり」は、肛門の周囲に肉がついた部分を指します。座るときには、その「おしり」が中心になることから、中性の女性が「座るところ」を上品に「おいど(御居処・御尻)」と言うようになりました。

なお、「おいど」の漢字表記に「御尻」が掲載されている辞書もあります。

「おいど」の使い方(関西地方の方言で)

「おいど」は、関西地方の方言ですから、例文も関西弁を使ってみます。

[例文]

  • ちょっと、あんた、その大きい「おいど」どけてや。ここ6人座れるんやで。
  • もう、ほんまにこの教室の椅子はかとうて(硬くて)、「おいど」がいとうて(痛くて)かなわんわ。

「おいど」を使った表現

【おいどが重い】
これは、動作が鈍い、面倒くさがってなかなか動こうとしないという意味です。一般的には、「お尻が重い」と表現しているものです。

【おいどがけ】
これは、着物の裾をからげて、裾が痛んだり、泥を撥ねて汚れたりしないように歩くことを意味する京ことばです。

「お」のつく京ことば

「おいど」という言葉を使っていた中世の女性とは、清少納言や紫式部のように宮中に仕えて、自分の部屋を与えられていた女房という高い位の女性(女官)を指します。

中世、日本の中心は、帝(みかど:天皇)が住む御所のある京都でした。御所で帝に仕える女房たちが使った言葉が京ことばとして今もたくさん残っています。

京ことばの特徴としては、「おいど」のように頭に「お」をつけたり、語尾を省略したり、語尾に「さん」をつけるといったものがあります。以下では、頭に「お」を付けた京ことばをいくつかご紹介します。

「おくどさん」

「おくどさん」は、かまどのことです。菅原道真で有名な北野天満宮の近くにある平野神社に祀られている「かまどの神様」のことを「くど神」と言い、頭に「お」をつけて、「神」を省略して「さん」をつけた形です。

「おいなりさん」

「おいなりさん(お稲荷さん)」は、油揚げのことです。稲荷神の使いとされているキツネの好物が油揚げというところからきています。稲荷神社のことも「おいなりさん」と言いますし、油揚げは「おあげさん」とも言います。いずれも「お」と「さん」がついています。

「おさがり」

一般的に、「おさがり(お下がり)」は、①神仏に供えたものを下げてきた食べ物、②客に出した食べ物の残り、③目上の人からもらった古いもの、お古という意味です。

京ことばでは、おもに①の意味で用いられます。雨降りのことを言う場合もありますが、現在の京都の人は、その意味ではほとんど使いません。

「おむら」

若者が言う「おむら」はオムライスのことですが、「おむら(御紫)」はイワシ(鰯)のことです。イワシは昔から卑しい、下賤な食べ物とされていましたが、室町時代になると貴族も食べるようになったことから、アユ(鮎)にまさる食べ物として「むらさき」と名付けられました。

なぜ、「むらさき」でしょうか。紫は、聖徳太子が定めた冠位十二階において、もっとも高貴な色とされていました。当時、アユのことを女房言葉で「あい」と言っていましたが、「あい(藍)」より上という意味で「むらさき」を使ったと言われています。

そして、頭に「お」をつけ、語尾を省略して「おむら」となりました。ただし、現在の京都でイワシのことを「おむら」という人はほとんどいません。

なお、江戸時代は醤油が高価なものであったことから、寿司屋では醤油のことを「むらさき」と呼んでいます。


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