「静寂」とは?意味や使い方を類語も含めてご紹介

「静寂」(せいじゃく)と聞くと、静かで落ち着いた部屋の中や、シンとした夜の気配が連想されるのではないでしょうか。文章語的な言葉ですが、どのような類語があるか確認しておきましょう。ここでは、「静寂」の意味や使い方を類語を含めてご紹介します。

目次

  1. 「静寂」とは?
  2. 「静寂」の使い方
  3. 「静寂」の類語

「静寂」とは?

「静寂」(せいじゃく)とは、その字の通りに「静かで寂(さび)しいこと」を意味する言葉です。物音ひとつせず、しんとした空間の様子を表します。

寂しい」という語からは、そこにあるべき(あった)活気が今は失われている感じ、荒涼(こうりょう)とした感じ、孤独で心細い感じが喚起されるのではないでしょうか。

「静寂」は、そのような寂しい感じを呼び起こすような静けさ、動く者の姿もなく落ち着いた様子を表します。

「静寂」の使い方

「静寂」は、静的なものの様子を表す文章語として、「(その場所に)静寂がある」のようなかたちで使うほか、「静寂に包まれる」「静寂に閉ざされる」「静寂に満たされる」といった装飾的な表現もよく見られます。

基本的には「静寂」という言葉が当てはめられるのは「空間」的な概念ですが、「ひとつの部屋の中」から「ひとつの建物」、さらには「夜」まで、物理的スケールの大小は問いません。

また、「寂しい」という人間的心象が含まれる点も大きな特徴で、原則として「静寂」と呼ばれる場所には、人間の「心の目」が置かれます。

「静寂」でなくなるとき

あらゆる物事は「静」の状態に留まり続けることはなく、「静」はいずれ「動」の状態に転じます。その様子も、しばしば「静寂を乱す」「静寂を破る」「静寂を切り裂く」といった装飾的な表現で形容されますので覚えておきましょう。

「静寂」は永続的な状態ではなく、むしろ「静かでもなく、寂しくもない状態」が想起・想定されるこそ、それと対を成す「静寂」が感覚されると捉えたほうが適切でしょう。

例文

  • 静寂を愛する詩人は、雑音まみれの都会の離れ、山奥に一軒家に住み着いている。
  • 一瞬の静寂のあと、耳を聾(ろう)するような雷鳴が街全体に響き渡った。
  • 激しい言い争いをしていた男二人が同時に押し黙り、車内はいっとき静寂に包まれた。
  • 前人未到の氷原は、気味が悪くなるほどの静寂に満たされていた。
  • 一発の銃声が、夜の静寂を破った。

「静寂」の類語

「静謐」

「静謐」(せいひつ)は、「静かであること」を意味する言葉ですが、「静寂」に比べて「世の中などが静かで穏やかである(動乱がないこと)」を表す点に特徴があります。

「静寂」が緊張感や不安感を孕んだ静けさを表すこともある一方、「静謐」は「穏やかさ」に重点を置きつつ、ある程度の安定性をもった「全体の平和な様子」を表現すると使い分けましょう。

【例文】

  • 早朝、神社の境内は静謐な空気に満たされていた。
  • 今でも、彼女の静謐で優しげな瞳を思い出すことがある。

「森閑」

「森閑」(しんかん、「深閑」とも書く)とは、「物音が聞こえず、ひっそりと静まり返っているさま」という意味の言葉です。

「閑か」と書いて「しずか」ですから、「(人気のない)森の中のような静けさ」をイメージして使えば良いでしょう。他に「閑静」や「清閑」といった似た言葉もあります。

【例文】

  • 耳を澄ませても虫の声ひとつ聞こえない、森閑とした夜だった。
  • 社員はもう全員帰宅したらしく、広いフロアは森閑と静まり返っていた。

「粛然」

「粛然」(しゅくぜん)とは、「しんとして静まり返っているさま」のことです。他に「おごそかなさま、かしこまるさま」という意味もあり、「おごそかな静けさ」という合成されたニュアンスを持つこともあります。

自然的な静けさというよりは、厳格な式典の雰囲気であるとか、教会内の雰囲気のような、格式や統制によって作り出された静寂さに使うとイメージしましょう。

【例文】

  • 葬儀は粛然と執り行われた。
  • 校庭では、青年らが皆同じ服装で粛然と整列していた。

「しじま」

「しじま」とは、「口をつぐんで言わないこと、沈黙」「静まり返っていること」という意味の言葉です。漢字では「黙」や「無言」、さらに「静寂」とも書きますから、「静寂」の同義語と言っても良いでしょう。

文章語として、「夜のしじま」(夜の静寂)という定型的な表現がよく使用されます。

【例文】

  • 遠く汽笛の音が、夜のしじまの向こうから聞こえてきた。
  • 明かりのついていない部屋の中、少女はしじまの中にひとり横たわっていた。


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