「試金石」の意味
「試金石(しきんせき)」には、以下のような意味があります。
- 貴金属の鑑定で用いる黒色の硬い石。
- 価値や力量などを判定する材料となる物事。
「試金石」の「試金」には、「鉱物や合金に含まれている金属成分の物質量を分析すること」という意味がありますが、特に、「貴金属の純度を決定すること」を指して用いられる場合もあります。
「試金石」の使い方
1.貴金属の鑑定で用いる黒色の硬い石
金や銀などの貴金属の純度を調べるために使われる表面を平らでなめらかに加工した石のことを「試金石」と言います。また、試金石は「金付け石(かねつけいし)」とも呼ばれます。
試金石の表面に判定したい金属をこすりつけることで、金属の跡(条痕:じょうこん)ができます。この条痕を基準となるものと比較することによって、その金属の純度を判定します。
このような試金石を用いた貴金属の鑑定は、古代から行われていたようです。黒色で、きめの細かい玄武岩などが試金石として用いられます。
【例文】
- 知り合いから譲り受けた金の純度を、試金石を使って調べてみた。
- この辺りには、試金石となる岩石がたくさんある。
2.価値や力量などを判定する材料となる物事
1の意味が転じて、物の価値や人物の能力などを評価するために試みる物事のことも「試金石」と言われます。
たとえば、新しい政府が打ち出した政策がどのように実行されていくのか、どのような影響をもたらすのかといったことを評価する場合、「その政策は、新政府を判定するための試金石になる」と言うことができます。
また、「このプロジェクトは我が社の今後の試金石となる」のように、今後のなりゆきを占うものという意味で「試金石」が使われることもあります。
【例文】
- この書物は、同じ部類の書物を評価するときの試金石として多くの人に知られている。
- 先日のトーナメントでの優勝は、彼の実力を示す試金石となった。
- 今回の個展の成功が、彼の画家としてのこれからの試金石となるだろう。
「試金石」の関連語
「試金石」の「価値や力量を判定する」という2の意味の関連語について、いくつかご紹介します。
基準(きじゅん)
「基準」とは、物事を比較したり判定したりするときの基礎となるもののことです。その物事の満たすべき条件と言うこともできます。
「基準」と似ている言葉に「標準(ひょうじゅん)」がありますが、「基準」はその物事が最低限守るべきことを示すものです。一方で「標準」は、他の物事とも見比べてその物事の程度がどれくらいかを考えるときのよりどころとなる客観的な目印とされます。
【例文】
- このプロジェクトを実行する際に満たすべき基準を決めよう。
- 採点者の主観が入りやすい評価方法においては、評価の基準が定められていることがとても重要だ。
物差し(ものさし)
「物差し」は、「物の長さを測る道具」のことですが、これが転じて、物事を評価・判断する基準という意味でも使われます。また、同様に長さを測る道具を示す言葉である「尺度(しゃくど)」も、物事を評価する基準という意味で用います。
【例文】
- 物事にはさまざまな側面があるから、ひとつの物差しでは測れないこともある。
- あの人たちの尺度で測ると、彼は「劣等生」ということになるらしいが、私には彼は素晴らしい才能の持ち主であるように見える。
バロメーター
「バロメーター」は、英語の「barometer」のカタカナ語であり、「気圧計」という意味の言葉です。この「気圧計」という意味が転じて、物事の状態や程度を知る目安となるものという意味でも使われます。
【例文】
- 彼の場合、食事量が心身の健康状態を示すバロメーターとなっている。
- 朝起きた時に手に力が入るかどうかを、私はその日の身体の調子を測るバロメーターにしている。
試験(しけん)
「試験」には、ある人物や事物などの性質や能力などについてためして調べることという意味があります。「試金石」と同様に、人や物の性質や能力を調べる際にも使うことのできる言葉です。
「試験」には、ただその性質や能力を調べて知るために行われるものと、入学試験などのように問題や課題に取り組ませることで能力などを調べて合否などを判断・評価するために行われるものとがあります。
【例文】
- 先日の性能試験で、改善点が見つかった。
- ずっと憧れていた大学の入学試験に合格した。