「自分本位」の意味
「自分本位」(じぶんほんい)とは、「自分を基準とすること」や「自分自身を中心に位置づけること」という意味であり、主に人の性格やタイプを表現する言葉です。
自分自身を基準にするということは、他の概念(他人の意見や規則など)を基準として採用しないということでもあり、「自分以外、何も基準としない」というニュアンスが多分に含まれる言葉であることに留意しましょう。
「本位」とは?
「本位」には、「もとの位」や「文位(ぶんい:勲功による位階に対する、普通の身分の位)」などの意味がありますが、「自分本位」の場合は、「基準・標準・中心となるもの」の意味です。
例えば、かつて通貨は、いつでも一定量の「金」(キン、gold)に交換できる資産としてその信頼性を確保していました。これを「金本位制」と言います。「金」を基準として、世の中の貨幣制度や経済・貿易の仕組みが成立していたわけですね。
これを踏まえると、「自分本位」の場合は、自分を第一の基準として据え置き、自分の視点から世界のさまざまな物事を受けとめ、解釈し、取り扱うことである、と解釈できますね。
「自分本位」の使い方
「自分本位」は、主に「自分本位な行動」「自分本位な考え方」「自分本位な生き方」などのように、常日頃の言行や生き方が常に自分を中心としているさまを指して使います。
ネガティブなニュアンスでの使い方が多い
注意すべきなのは、「自分本位」は「他人や、周囲の都合を考慮しない/できない」というネガティブな意味合いで使われることが多い点です。つまり、自分の定規でしか物事を測れず、「他人の意見を受け入れない」ことを表す傾向があるのです。
自分中心に物事を捉え考えること、それ自体は当然のことかもしれません。他人の意見に流され続け、明確な自己意見を持たないよりかは、「自分本位」であったほうが良いでしょう。
しかしそうはいっても、相互扶助が求められる社会一般のこと、いつでも自分のことを第一に考える態度を貫いてばかりいては、「あの人は自分のことしか考えていない狭量な人だ」という批判を受けるのもやむなしかもしれません。
例文
- 前の彼女と別れたきっかけは、彼女の自分本位な行動の数々に耐えられなかったためだ。
- 彼は勉強ができ運動も得意だったが、自分本位の冷たい性格からか、友人は少なかった。
- 前市長は、街のためではなく、市民のためでもなく、自分本位な考えから強引な施策に走り、その結果罷免(ひめん)された。
- ストーカーの男は「俺は悪くない」と開き直ったが、世間一般の目からは自分本位な行動にしか見えなかった。
- 老いて病に臥せった父は、私に「他人の目を気にする必要はない。これからは自分本位に生きなさい」と伝えた。(※肯定的なニュアンス)
「自分本位」の類語
「自分本位」の類語としては、以下のような言葉が挙げられます。
- 我が儘(わがまま)
- 自分勝手
- 勝手きまま
- 自己中心的、ジコチュー
- 好き勝手
- 独りよがり
- 独善的
- 奔放(ほんぽう)
- 利己的
- 我田引水
どの言葉も、「周囲を無視して、自分の良いようにふるまうこと」というニュアンスであることがわかりますね。ただ、これらに比べると「自分本位」はそれなりに客観的で、必ずしも悪いニュアンスでないことも特徴といえます。
「自分本位」の英語表現
「自分本位」を英語で言いたい場合、以下の単語が適当です。
- self-centered(自分本位の、利己的な)
- selfish(利己的な、わがままな)
- egotistic(自己中心の)
英語文化では「自分中心に物事を考えること」それ自体は否定的でない場合もありますが、上に挙げた言葉は通常はけなし言葉ですのでご注意ください。
例文
- People who are self-centered are hated by everyone.(自分本位な人間は、皆から嫌われる)
- What a selfish thing to do!(なんと自分本位なことをするんだ!)