我田引水の意味
「我田引水(がでんいんすい)」とは、「我が田に水を引く」という意味で、そこから転じて「他人のことを考えず、自分に都合のいいようにつじつまを合わせること」「物事を、自分の都合のいいように言ったりしたりすること」という意味になります。
「我田引水」という言葉の由来は次のようなものです。用水が村の共有物だった昔、水田の配水が用水にかかわるものすべての代表者にゆだねられていました。その代表者が、真っ先に自分の田んぼに水を引いたことから「我田引水」という言葉が生まれました。
英語では、”to draw water to one's mill”、”turn every argument in one's favor”と表現します。単語では”selfish”(利己的な)という形容詞が自分の都合のいいように物事を運ぶ様子を表すのに使われます。
我田引水の使い方
「我田引水」という言葉は、「あの人は自分勝手である」、「あの人は自己中心的だ」というニュアンスで用いられます。
たとえば、ある人が物事を自分の都合のいいように言ったり、行動したりしている場合に使われます。他人の自分勝手な言動をいさめる以外にも、自分への戒めとしても使うことのできる言葉です。
我田引水を使った例文
それでは、「我田引水」を使った具体的な例文を紹介します。
- 「彼女の我田引水な言動にはみんなうんざりしている。」
- 「君の我田引水な行動は、周りからの信用を失うばかりだよ。」
- 「我田引水な行動をしないよう、自らを律する必要がある。」
言い回しとしては、「我田引水の~」、「~は我田引水だ」、「我田引水に過ぎる」、「我田引水に陥る」、「我田引水の説」などがあります。
英語の例文には、格言として次のような言葉があります。"Every millers draws the water to his own mill." 直訳すると、「粉屋はみな自分の水車に水を引くもの」という意味になります。田んぼが水車に置き換わり、農業従事者が粉屋に置き換わっています。水車を使って粉をひくため、粉屋は自分の水車に多く水が引かれるようにする、という意味です。
我田引水の類語・言い換え表現
「我田引水」の類語には、「水論(みずろん、すいろん)」、「己(おの)が田へ水を引く」という言葉があります。
「水論」とは、灌漑用水の利用をめぐる論争のことです。水争いとも言われ、田に引く水の分配をめぐって争うことを指します。上述した「我田引水」の由来と同じです。
「己が田へ水を引く」とは、自分に都合のよいように取り計らうことのたとえです。我田引水とほぼ同じ意味で使われる言葉です。
「我田引水」の言い換え表現には、「自己中心主義」、「独りよがり」、「わがまま」、「エゴイズム」、「利己主義」、「自分本位」といったものがあります。いずれも、自分のことしか考えていない人のことを指す言葉です。「我田引水」という言葉が相手に通じづらいような場合は、このような言い換え表現を使ったほうがいいでしょう。
また、「我田引水」とよく似た四字熟語として、「牽強付会(けんきょうふかい)」という言葉があります。「自分の都合のいいように、無理やり理屈をこじつけること」という意味です。「牽強」「付会」とは、道理に合わないことを無理にこじつけることを指します。「牽強付会の主張をする」というように用いられます。