「要素」とは?意味や使い方を類語を含めてご紹介

「要素」は、多義的な言葉です。もっとも一般的なのは、物事を成り立たせている基本的な内容、という意味ですが、類語との微妙な相違点も理解しつつ、正確に使えるようにしましょう。今回は、「要素」の意味と使い方を類語を含めてご紹介します。

目次

  1. 「要素」とは?
  2. 「要素」の使い方
  3. 「〇〇要素」という定型表現の例
  4. 「要素」の類語

「要素」とは?

「要素」(ようそ)という言葉は、「〇〇要素」など定型的な言い回しも複数存在し、専門用語も含め下記のとおりに多義的な意味を持ちます。

  1. ある事物、または事物の特性が成立したり、効力を発揮するのに欠かせない基本的な内容、成分、条件。
  2. 物を分析した際、その中にあるそれ以上には簡単にならない成分。
  3. 法律行為・意思表示において、行為者に重要な意味をもつ部分。
  4. 数学で集合をつくる一つ一つのもの。

また、近来ではIT用語として、「webページを作成するための言語HTMLのタイトルや段落など、コンピューターに解釈させたい部分、すなわちソースコードを構成するタグのこと」も「要素」と称します。

「要素」の使い方

ここでは、専門用語としての「要素」は省き、「物事を成り立たせている基本的な内容」という一般的な意味における「要素」の使い方を述べていきます。ただし、専門的な使い方であっても、根本は変わりません。

非物質的な概念を指す場合が多い

「要素」を使うにあたっては、「構成条件」など、非物質的な概念を指す場合が多い点を押さえておきましょう。

例えば、「売上増加に必須な要素のひとつは、商品の質の良さだ」と言った場合、「要素」は「商品の質の良さ」という「売り上げ増加のための条件」のもとで抽象化されたひとつの概念を指しています。

そして、さらに「商品の質の良さを成立させる条件」には、「デザインの良さ」、「機能性の良さ」などの要素が含まれます。以下、条件に基づく物事の分類・分解のしかたによって、「それ」を成立させる「要素」は無数に探索することができます。

「要素」の文例

  • 売り上げが大きくアップするために必須な要素のひとつは、商品に力があることだ。
  • あの高校が進学校になれたのは、背景にいくつもの要素があってのことだ。
  • 虹の色の要素7色の並び順は、科学的には決して変化することがない。

「〇〇要素」という定型表現の例

不安要素

「不安要素」(ふあんようそ)とは、心配ごと、不安で気がかりなこと。安心ができない不安な心理を成立させているもの、そのような要素が残っている事柄を意味する言い回しです。

「希望要素」「心配要素」などとは言わず、なぜか「不安要素」という言葉のみが用いられます。

文例:甲子園での優勝を目指しているが、きわめて優れたピッチャーが一人しかいないことが不安要素だ。

不確定要素

「不確定要素」(ふかくていようそ)とは、物事や問題などにおいて、はっきりとしていない部分、明確な数字や内容では決められない部分を意味します。

文例:イベントの成功は、天候に左右されない場所選びなど、極力不確定要素をなくしていく努力にかかっている。

「要素」の類語

「因子」

「因子」(いんし)には次の2つの意味があります。

  1. 物事を成り立たせる要素、ある結果を成立させるものになる要素、要因
  2. 生命現象において、ある作用の原因となる要素

「要素」とともに一般的とは言い難い言葉ですので、日常会話などに用いられることはほとんどありません。

【文例】
  • 地震国日本においては、建物の耐震構造の因子などの詳細を建築産業で共有すべきであろう。
  • 遺伝因子の究明により、さまざまな癌の早期発見が可能となりつつある。

「要因」

「要因」(よういん)には、大きく分けて2つの意味があります。

  1. ある物事を発生させた主な原因。(起因原因と言い換えることもできます。この意味で用いるときは、多くはネガティブなことが対象です。たとえば、「火災の要因」「事故の要因」など)
  2. ある物事を成立させる主な要素。(1と異なりを見つけることが難しい場合もありますが、例えば「失敗の要因」では、「失敗の原因」と「失敗の要素」、2つの解釈ができます。「失敗の要因は上司への口答えだ」「失敗の要因は怠け癖だ」など、文脈で区別しましょう)

【文例】
  • 大勢の警官や専門家がビル火災の要因を調べに現場に集っていた。
  • 今回のプロジェクトが失敗に終わった要因を早急に明らかにしてほしい。


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