「愚行」の意味
「愚行(ぐこう)」とは、思慮(しりょ)の足りないバカげた行為、愚かな行為、人から笑われるような行為という意味です。
「愚」は、上の部分の「禺」が、大きな頭と尻尾を持った猿、あるいは愚かなものまね猿を表す象形文字で、動きが鈍いことを意味しています。それに心臓を表す「心」がついて、愚かで心の働きが鈍いことを意味するようになりました。
「愚行」の使い方
冒頭にも挙げたように、人間は、有史以来「愚行」を繰り返しています、その最大の愚行が「戦争」であることは多くの人が認めるところではないでしょうか。ここでは社会問題や国際問題となったものも含めて、さまざまな「愚行」を例文で見てみます。
社会問題や国際問題での例文
- 無能・無責任な〇〇庁の原資管理の失敗、さらに5千万件を超える記録の不統合問題は、国民の生活を脅かす大きな愚行だ。
- 歴史上の数々の戦争行為は、それぞれの国や地域の利益のためだとしても、愚行のそしりは免れないだろう。
- 核兵器のない国際社会が望まれる中で、核拡大の動きは歴史に逆行する愚行として非難されるものだ。
- ライバルの飲み物に禁止薬物を混入して陥れ、自分が代表に選ばれようとするスポーツ選手の行為は愚行というほかはない。
人の普段の生活での例文
- 高額な商品を買いあさって借金地獄に落ちるような愚行を重ねた彼女はとうとう破産した。
- インスタ映えを狙った不道徳な投稿という愚行を繰り返す若者が増えている。
- あおり運転という愚行の末、暴力をふるって逮捕された人間はいったい何を考えているのだろう。
- カンニングを見つかり、先生から二度とこんな愚行をしたら退学だと厳しく叱責された。
「愚行」の類語
「愚挙」
「愚挙(ぐきょ)」は、ばかげた振る舞い、愚かな企てという意味です。「挙」は、多義語ですが、ふるまい、おこなう、くわだてるといった意味があり、「愚行」と同じような意味を持ちます。
【例文】
- 彼のギャンブル狂いは有名だが、まさかボーナスを全部つぎ込むなどという愚挙をするとは思わなかった。
- 彼女はとても慎重な性格で、決して冒険や愚挙はやらない人だ。
「非行」
「非行(ひこう)」は、道義や社会的な規範から逸脱した不正行為のことですが、一般的には非行少年などというように、青少年が法律や社会的な規範に違反して不正行為を行ったり、不正行為を潜在的に持っている行為を行うことを意味しています。
ルールを破ったり、またはルールを破りかねない「非行」も、ばかげた行為、愚かな行為であり、「愚行」の一類型と言えるでしょう。
【例文】
- 裕福で家族仲のいい理想的な家庭で育ったあの子が非行に走るなんて、きっと外からは見えない何かがあったのだろう。
- 上層部の非行を暴くと言っていた課長は、いつの間にか部長に取り込まれてしまっていた。
「不祥事」
「不祥事(ふしょうじ)」は、あってはならない出来事、好ましくない出来事ということです。この言葉は、組織や人の集まりといった一定の関係を持った人たちのなかで起こった出来事や犯罪などに使われます。
その出来事や犯罪は、汚職・背任・情報漏洩・食品の原材料偽装といったメディアで大きく取り上げられるようなものが多く、組織などに対する信頼を裏切ったり、国民の生活に影響を及ぼすような内容です。
【例文】
- 原子力発電所の放射能漏洩を隠ぺいするという不祥事が発覚し、関係者が謝罪した。
- 情報漏洩、予算の使い込みなど多数の不祥事が公になった○○市では、100人を超える職員が懲戒処分を受けた。
「馬鹿な真似」
「馬鹿な真似(ばかなまね)」は、おろかなこと、社会常識に著しくかけた行為のことです。「真似」には、まねることや模倣以外に、ふるまい、行動という意味があり、後者の意味で使われています。
「愚行」「愚挙」「非行」「不祥事」なども簡単に言ってしまえば「馬鹿な真似」と言えるのではないでしょうか。なお、「馬鹿」は「莫迦」とも書きます。
【例文】
- ファッションビルに逃げ込み、人質を取って立てこもった犯人に対し、警官が「そんな馬鹿な真似はやめて、すぐに出てきなさい」とマイクで話しかけていた。
- 彼女と口論になって、思わず手が出てしまった。なんて馬鹿な真似をしたんだろう。