「斥候」とは?意味や使い方をご紹介

「斥候」という言葉をご存知でしょうか。日常的な会話ではまず見聞きしない言葉ですから、そもそも読み方がわからないという方もいらっしゃるかもしれません。反面、軍事に詳しい方であればお馴染みの用語でしょう。ここでは、「斥候」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「斥候」とは?
  2. 「斥候」の使い方
  3. 「斥候」の字義
  4. 「斥候」の関連語

「斥候」とは?

「斥候」は、「せっこう」と読み、「敵や敵の勢力、地形などの状況を知るために派遣する少数の兵士」を意味する軍事・ミリタリー用語です。

軍事においては、集団的行動に先立って、敵の様子や、進軍先の地形などの「情報」をあらかじめ知っておくことが大変重要です。そうした情報を収集する役目を与えられて部隊から遣わされる兵士のことを「斥候」と呼びます。

敵対勢力に気づかれないように動く必要があるため、基本的には「斥候」は少人数の部隊です。

「斥候」と「偵察」の違い

「斥候」とよく似た言葉に「偵察」(ていさつ:ひそかに敵の様子をさぐること)があります。「斥候」と「偵察」、やることはほとんど変わりありません。

ただし、「偵察」が主に行動そのものを指すのに対して、「斥候」は偵察する人(兵士)を指すことが多い点に大きな違いがあります。「偵察する」とは言いますが、「斥候する」とはあまり言わないのです。

「斥候」と「偵察兵」であれば、ほぼイコールと言ってよいでしょう。とはいえ、「偵察兵」を略して「偵察を出す」などと使うこともあり、両者がよく似た言葉であることは確かです。

「斥候」の使い方

「斥候」は、主に「斥候を出す」「斥候を派遣」「斥候を命じる」「斥候兵」といった形で使います。基本的には人(兵士)や任務そのものを指しますので、「斥候する」といった動詞形ではほとんど使いません。

「斥候」は小数かつ機動力を持って、基本的には隠密の情報収集行動を主眼とします。が、例えば「スパイ(間諜)」などのように専門的な技能で敵陣に潜入するわけではなく、あくまでも通常の兵士を数名「先に行って様子を見てこさせる」程度の任務です。

斥候兵が敵に接触(会敵)したら、それが大規模な戦闘の始まりとなることも珍しくありません。

例文

  • 最初から全軍を動かすのでなく、まずは斥候を出して敵の兵力を知ることが大切だ。
  • 戻ってきた斥候の報告によれば、敵軍は川沿いに広く散開しているらしい。戦術を練ろう。
  • 森をパトロール(巡回)していた部隊が、敵の斥候隊と遭遇し、その場で小規模な戦闘が発生した。
  • 敵の斥候を捕獲したので、指揮官の居場所を尋問する。
  • 大陸に進軍した部隊は、地理に詳しい現地人を何名か斥候として雇った。

「斥候」の字義

「斥」(セキ)の字は、「排斥」(はいせき)などの字に見られるように、「しりぞける」が主な意味ですが、外に「様子をさぐる」「指さす」「うかがう」「あらわれる」など多様な意味があります。

「斥候」の場合は、このうちの「様子をさぐる」や「うかがう」の意ですね。「斥兵」としても同じ意味です。

一方の「候」(コウ)の字も、「待つ」「考える」「兆し」「時、折り」など多様な意味がありますが、最も基本的な意味は「うかがう」です。「斥候」のほか、「候人」(こうじん:敵情をさぐる人)などの熟語があります。

「斥候」の関連語

スカウト

「斥候」を英語で言うと「scout」(スカウト)です。日本語で「スカウト」と言うと、スポーツ選手やアイドルなど有望な人材を「探し出す」「引き抜く」(それを行う人)という意味が知られていますが、もとは軍事用語です。

「偵察」を意味する「reconnaissance(recon):リコン」と同じような意味合いですが、「scout」は実際に相手の足跡を追ったり、小規模な破壊活動を行ったりする任務を含むことがあり、「recon」よりも実地的で危険が大きいイメージです。

パトロール

「パトロール」(patrol)は、「巡回すること」「巡視・哨戒すること」の意味ですが、軍事用語としては「斥候」や「スカウト」と同じような意味合いで使われることがあります。

前線へ派遣され、ある程度の範囲を偵察・警備するのが「パトロール」の主な役割です。「斥候」は前線へ行って情報を集め、また帰ってくるものというイメージですが、「パトロール」は一定範囲を巡回し警備する点に違いがあります。


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