「純粋」の意味
「純粋(じゅんすい)」には、以下のような意味があります。
- まじりけのないこと。
- もっぱらなこと。
- 邪念(じゃねん)や私欲がないこと。
- 学問において、応用については扱わず、理論や形式だけを追求する立場や方法のこと。
- 哲学において、そのもの自体に内在する必然性や普遍性のこと。
このように「純粋」には複数の意味がありますが、一般的に広く使われている1~3の意味について、それぞれ具体的に使い方を見ていきましょう。
「純粋」の使い方
1.まじりけのないこと
「まじりけがない」とは、異なる種類や性質のものが含まれていないということです。たとえば、Aという物質があった場合を仮定してみると、この物質AにBという物質が含まれていたら、この物質Aは「純粋ではない」ということになります。
反対に、他の物質が含まれておらず、物質Aだけでできているのならば、この物質Aは「純粋である」と言うことができます。
【例文】
- 純粋な水は人工的に作られる。
- この研究において欠かせないものではあるが、純粋な物質Aを取り出す作業は苦手だ。
2.もっぱらなこと
「もっぱら」とは、「あるひとつの事だけが行われること」や「そのことを主とすること」を意味します。たとえば、研究者がAという研究にひたすら打ち込んでいるなど、何か特定のことだけに集中することを指して「純粋」と表現することができます。
また、発言するときなどにあるひとつの立場に徹して発言することについても、「純粋に友人という立場から発言すると」いうように「純粋」を使うことがあります。
【例文】
- 彼女は純粋に世界平和を追い求めて活動している。
- 彼は純粋に研究者としての立場からアドバイスをしてくれた。
3.邪念や私欲がないこと
「邪念」とは「正しくないことや人の道に背くことを行おうとする考え」のことを言い、「私欲」とは「自分だけの利益を求め続ける心」のことを言います。
悪事を行ったり、損得勘定をしたりするのではなく、汚れのない清らかな心でいることを「純粋」であると言います。
【例文】
- 純粋な気持ちから出た彼女の言葉は、人々の心を動かした。
- 純粋な子どもたちと一緒にいると、汚れてしまった私の心も洗われていくような気がする。
「純粋」の類語
ここからは、「純粋」のそれぞれの意味ごとに類語をご紹介します。
1.まじりけのないこと
【純然(じゅんぜん)】
「純然」とは、まじりけのないさまを意味する言葉です。「純然たる柴犬を飼っている」のように使います。また、誰がみても規則を破っている状況に対して「純然たる規則違反」と言うように、他に考慮するような要素がなく、それに違いないことを示す表現としても使われます。
【至純(しじゅん)】
「至純」には、極めて純粋であるという意味があり、まったくまじりけがないことを表します。「純粋」よりもさらに強く「純粋であること」を表現する言葉です。「あの人は至純な心の持ち主だ」のような使い方をします。
【生粋(きっすい)】
「生粋」は、「生っ粋」とも書き、まったくまじりけがないことという意味です。「純粋」は人間だけでなく動物や物質などについても使うことができますが、「生粋」は「彼は生粋のイギリス人だ」のように、人の出身や素性を表す際に使います。
2.もっぱらなこと
【専一(せんいつ)】
「専一」は、「せんいち」とも読み、他の事には見向きもせず、あるひとつの事だけに打ち込むことを意味します。「研究を専一にする」といった使い方をします。また、「専一」には多くのものの中で最も優れていることを表す「第一」や「随一(ずいいち)」という意味もあります。
【一途(いちず)】
「一途」とは、ひとつの事だけを追い求めるという意味です。「音楽一途の生活を送る」のように用います。昔は「一図」と表記していたこともあったようです。
【直向き(ひたむき)】
「直向き」には、ひとつの物事に熱中しているさまという意味があります。忍耐強く取り組み続けるさまを伝えることができる表現です。「直向きに練習に打ち込む」などのように使います。
3.邪念や私欲がないこと
【無垢(むく)】
「無垢」は、心身が汚れておらず清らかであることを意味し、「無垢な心を持つ子ども」のように使うことができます。また、金や銀にまじりけがなく「純粋」であることも意味し、「金無垢(純金のこと)」などの表現にも使われている言葉です。
【清純(せいじゅん)】
「清純」とは、世の中に染まっておらず、清らかで汚れていないことという意味です。多くの場合、女性に対して「清純な女性に出会った」のように使います。
【純真(じゅんしん)】
「純真」には、邪念や私欲がなく心が清らかなこと、汚れがなくまじりけがないことといった意味があります。「彼女は純真な気持ちを持ち続けている」といった使い方をすることができます。