「随一」とは?意味や使い方をご紹介

「随一」は誤って読まれやすく、書かれやすい言葉の一つです。見聞きしたことはあるけれど、使ったことはない方も多いかもしれません。日常でも比較的使用されている言葉ですので、正しい意味を理解しておきましょう。この記事では、「随一」の意味や使い方を紹介します。

目次

  1. 「随一」の意味
  2. 「随一」の使い方
  3. 「随一」の類語
  4. 「随一」の英語表現

「随一」の意味

「随一(ずいいち)」とは、「多くのものの中の第一位。第一番。」という意味の言葉です。

「随」とは

「随」には二つの意味があります。

  1. したがう。ついていく。ともにする。
  2. 思いのまま。言いなりになる。

よくある読み間違い

「随一」は「ずいいち」と読みますが、似たような言葉の「唯一(ゆいいつ)」と混同して「ずいいつ」と読み間違えられることがあります。「随一」の場合は「一」を「いち」と読む点に注意しましょう。

よくある書き間違い

「随」の字は、同じ読みの「隋」や「髄」と書き間違えられることがあります。「隋」は中国の王朝のことで、「髄」は体の組織を示す言葉です。意味が全く異なりますので、文字として書き起こす際は注意が必要です。

「随一」の使い方

「随一」という言葉は、「ある分野や集団において、能力や品質、効果などが他のなによりも優れた人・モノ」を指して使われます。

例文1

  • 彼の持つ製品知識は社内随一で、様々な部署から期待されている。

この文章では、会社内の他の人間と比較して、製品の知識量が最も豊富であることを指して「随一」と表現しています。

例文2

  • 毎年盛大に行われる県の催しは、全国でも随一の規模を誇る。

この場合、全国の他の催しと比較して、規模が一番大きいことを指して「随一」と表現しています。

文学作品に登場する「随一」

文学作品のなかでは「随一」という言葉がどのように使われているのかをみていきます。

「それにこの頃になると、既に子路の名は孔門随一の快男児として天下に響いていた。」
ー中島敦『弟子』ー
 
「虫の中でも人間に評判のよくないものの随一は蛆(うじ)である。」
ー寺田寅彦『蛆の効用』ー
 
「雨のふり方だけでも実にいろいろさまざまの降り方があって、それを区別する名称がそれに応じて分化している点でも日本はおそらく世界じゅう随一ではないかと思う。」
ー寺田寅彦『日本人の自然観』ー

「随一」を使った言葉

「随一」が含まれる四字熟語に「当代随一(とうだいずいいち)」があります。これは、「この時代の中では第一番である、同時代に存在する他の何にも勝っている」という意味です。以下の時代小説の中でも「当代随一」は見受けられます。

「家康は十人並よりはよつぽど偉い人で、公平に判断しても当代随一の人傑であつた」
ー坂口安吾『家康』ー
 
「馬を彫らせては当代随一の作阿弥(さくあみ)」
ー林 不忘(はやし ふぼう)『丹下左膳(たんげさぜん)』ー

「随一」の類語

「随一」の類語にはいくつか言葉があります。それぞれを言葉の要素ごとにわけてみていきましょう。

「他のものと比べた中で特に優れている」という意味において

  • 抜群:多くの中で、特にすぐれていること。ぬきんでていること。また、そのさま。
  • 超凡(ちょうぼん):普通よりはるかにすぐれていること。また、そのさま。非凡。
  • 独歩:他に並ぶものがないほどすぐれていること。
  • 秀抜(しゅうばつ):他よりぬきんでてすぐれていること。また、そのさま。
  • 白眉(はくび):多数あるもののうち、最もすぐれているものや人のたとえ。
  • 屈指(くっし):多くの中で、特に数え上げるに値するほどすぐれていること。指折り。
  • 特出(とくしゅつ):他より特にすぐれていること。傑出 (けっしゅつ) 。
  • 突出(とっしゅつ):一群の他のものより図抜けること。
  • 卓絶(たくぜつ):他に比べるものがないほどすぐれていること。きわだってすぐれていること。

「それ以上に素晴らしいものはない」という意味において

  • 唯一:ただ一つであること。それ以外にはないこと。
  • 至上:この上もないこと。また、そのさま。最上。最高。
  • 至高:この上なく高く、すぐれていること。また、そのさま。最高。
  • 無比:他に比べるものがないこと。たぐいないこと。また、そのさま。無類。無双。無二。
  • 無類:たぐいがないこと。比べるものがないほどにすぐれていること。また、そのさま。無比。無双。
  • 無二:同じものが他に一つもないこと。並ぶものがないこと。

「その分野で抜きんでた力を持っている」という意味において

  • 右に出るものはいない:実力において勝る者がいないさま。
  • 並ぶ者のない:対等に渡り合える者がいないさま。
  • 他の追随を許さない:同じ事柄について他の誰も後に続くことができないほど、大きく先行している、または力があるさま。大きく抜きん出ているさま。

「随一」と「唯一」の違い

同じ分野で比較となる対象が他にもある「随一」と違い、「唯一」は比較となる対象が他にありません。表記や読み方が似ているため、使うときには違いをしっかりと理解しておく必要があります。

「随一」の英語表現

「随一」の英語表現には次のような言葉があります。いずれも「一番の、最高の」という意味合いが強い単語です。

  • most:最大限度、最大量、最大数、最高のもの/人
  • best:最上、最善、いちばんよいもの/こと/人、最も優れたもの/人
  • number one:最高のもの


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