「随一」の意味
「随一(ずいいち)」とは、「多くのものの中の第一位。第一番。」という意味の言葉です。
「随」とは
「随」には二つの意味があります。
- したがう。ついていく。ともにする。
- 思いのまま。言いなりになる。
よくある読み間違い
「随一」は「ずいいち」と読みますが、似たような言葉の「唯一(ゆいいつ)」と混同して「ずいいつ」と読み間違えられることがあります。「随一」の場合は「一」を「いち」と読む点に注意しましょう。
よくある書き間違い
「随」の字は、同じ読みの「隋」や「髄」と書き間違えられることがあります。「隋」は中国の王朝のことで、「髄」は体の組織を示す言葉です。意味が全く異なりますので、文字として書き起こす際は注意が必要です。
「随一」の使い方
「随一」という言葉は、「ある分野や集団において、能力や品質、効果などが他のなによりも優れた人・モノ」を指して使われます。
例文1
- 彼の持つ製品知識は社内随一で、様々な部署から期待されている。
この文章では、会社内の他の人間と比較して、製品の知識量が最も豊富であることを指して「随一」と表現しています。
例文2
- 毎年盛大に行われる県の催しは、全国でも随一の規模を誇る。
この場合、全国の他の催しと比較して、規模が一番大きいことを指して「随一」と表現しています。
文学作品に登場する「随一」
文学作品のなかでは「随一」という言葉がどのように使われているのかをみていきます。
ー中島敦『弟子』ー
ー寺田寅彦『蛆の効用』ー
ー寺田寅彦『日本人の自然観』ー
「随一」を使った言葉
「随一」が含まれる四字熟語に「当代随一(とうだいずいいち)」があります。これは、「この時代の中では第一番である、同時代に存在する他の何にも勝っている」という意味です。以下の時代小説の中でも「当代随一」は見受けられます。
ー坂口安吾『家康』ー
ー林 不忘(はやし ふぼう)『丹下左膳(たんげさぜん)』ー
「随一」の類語
「随一」の類語にはいくつか言葉があります。それぞれを言葉の要素ごとにわけてみていきましょう。
「他のものと比べた中で特に優れている」という意味において
- 抜群:多くの中で、特にすぐれていること。ぬきんでていること。また、そのさま。
- 超凡(ちょうぼん):普通よりはるかにすぐれていること。また、そのさま。非凡。
- 独歩:他に並ぶものがないほどすぐれていること。
- 秀抜(しゅうばつ):他よりぬきんでてすぐれていること。また、そのさま。
- 白眉(はくび):多数あるもののうち、最もすぐれているものや人のたとえ。
- 屈指(くっし):多くの中で、特に数え上げるに値するほどすぐれていること。指折り。
- 特出(とくしゅつ):他より特にすぐれていること。傑出 (けっしゅつ) 。
- 突出(とっしゅつ):一群の他のものより図抜けること。
- 卓絶(たくぜつ):他に比べるものがないほどすぐれていること。きわだってすぐれていること。
「それ以上に素晴らしいものはない」という意味において
- 唯一:ただ一つであること。それ以外にはないこと。
- 至上:この上もないこと。また、そのさま。最上。最高。
- 至高:この上なく高く、すぐれていること。また、そのさま。最高。
- 無比:他に比べるものがないこと。たぐいないこと。また、そのさま。無類。無双。無二。
- 無類:たぐいがないこと。比べるものがないほどにすぐれていること。また、そのさま。無比。無双。
- 無二:同じものが他に一つもないこと。並ぶものがないこと。
「その分野で抜きんでた力を持っている」という意味において
- 右に出るものはいない:実力において勝る者がいないさま。
- 並ぶ者のない:対等に渡り合える者がいないさま。
- 他の追随を許さない:同じ事柄について他の誰も後に続くことができないほど、大きく先行している、または力があるさま。大きく抜きん出ているさま。
「随一」と「唯一」の違い
同じ分野で比較となる対象が他にもある「随一」と違い、「唯一」は比較となる対象が他にありません。表記や読み方が似ているため、使うときには違いをしっかりと理解しておく必要があります。
「随一」の英語表現
「随一」の英語表現には次のような言葉があります。いずれも「一番の、最高の」という意味合いが強い単語です。
- most:最大限度、最大量、最大数、最高のもの/人
- best:最上、最善、いちばんよいもの/こと/人、最も優れたもの/人
- number one:最高のもの