「忽然」とは?意味や使い方をご紹介

「忽然」は、(こつぜん)と読みますが、(そうぜん)と誤読されることが多い熟語です。「忽」と「惣菜」(そうざい)でお馴染みの「惣」(そう)が似通った字だからでしょう。今回は、小説など書き言葉で使われる頻度の高い「忽然」の意味と使い方を、類語も含めてご紹介します。

目次

  1. 「忽然」とは?
  2. 「忽然」の使い方
  3. 「忽然」の類語

「忽然」とは?

「忽然」という言葉は、形容動詞としては「忽然と・忽然たる」という形で用いられ、たちまち、にわかに起こるさま、急でにわかなさま、物体が一瞬で現れたり消えたりするさまを表します。

副詞としては、突然、にわかに、という意味をもちます。こつねんと読む場合もあります。

「忽然」の意味をより深く理解するために、「忽」と「然」の字義をここで確認しておきましょう。

「忽」という漢字は、音読みが(こつ)、訓読みが(たちま・ちゆるが・せ)です。意味としては、

  1. たちまち、にわかに
  2. いいかげん。
忽然の「忽」は1の意味での用法です。2の意味での熟語としては「粗忽(そこつ)」などが挙げられますね。

「然」は、音読みが(ぜん、ねん)、訓読みが(しか・り、しか・し、しか・も、も・える)となる漢字です。意味は、
  1. そのとおり。
  2. 状態を表す語
  3. しかし。

「忽然」の「然」は上の2の意味での用法ですね。

「忽然」の使い方

「忽然と現れた~」というような言い回しは、ミステリアスな物の出現によく用いられます。UFO、雪男やネッシーなど、思いもしないときに突然目の前に現れたり消えるさまを表現するのに、「忽然」はうってつけです。

「忽然」の使い方のもっとも大きなポイントは、物理的な存在を対象とすることです。「A君が忽然と現れた」ということは可能ですが、「A君が忽然と怒りだした」という表現は用いることができません。

「A君」は「実体のある」人間、物質として存在するものですが、「A君の怒り」は感情なので物理的には存在しないからです。

とはいえ、「~の唸り声」「~の気配」のような例では、「忽然と消える」のような表現も時に見かけることがあります。これは、唸り声や気配をその生き物と同一のものとみなしての用法といえましょう。

「忽然」は、現代では「忽然と」とういうかたちで、形容動詞として用いられることがほとんどです。副詞の場合は、「忽然」単体で「突然」と同様の使われ方となりますが、これは昔の用法で、いまは使われることがあまりありません。

「忽然」の文例

  • 上空にUFOのような物体が忽然と現れ、人々はどよめいた。
  • 道路わきに奇妙な立て看板が忽然と置かれていて、通行人はみな不審な顔つきで眺めた。
  • A子は忽然として姿を消し、家族は捜索願いを提出した。
  • テントの外を歩き回る大型の獣らしき気配が忽然と消えた。

「忽然」の類語

「突然」の意味と使い方

「突然」は、(とつぜん)と読みます。予想しないことが前触れなく起こるさま、だしぬけであるさま、予想外のものごとがいきなり起こるさま、を意味する言葉です。「急に」「だしぬけに」「ふいに」などの単語に置き換えることが可能です。

「忽然」との大きな違いは、「忽然」が物が突然に表れたり消えたりすることを表す言葉であるのに比べ、「突然」は、物だけに限らず、さまざまなことが急であるさまを表現することが可能である、という点です。

「突然走り出す」などの動作、「突然の暗転」などの状態の変化、など様々なことを対象として使うことができるため、日常会話でも頻出します。

文例①:B子が突然笑い出したので、まわりの人々は唖然としてしまった。
文例②:何頭ものイルカが突然海面に姿を現した。

「突如」の意味と使い方

「突如」は、(とつじょ)と読みます。なんの前触れもなく、だしぬけに物事が起こるさま、を意味する言葉です。「突如」も「突然」同様に、物のみを対象とせず、広くさまざまなことが急に起こるさまを表現することができます。

「突然」は日常会話でも頻出する言葉ですが、「突如」は文章において使われることがほとんどで、日常会話には馴染みません。

文例:突如、ビルじゅうに警報ブザーが鳴り響き、人々は騒然となった。
 

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