「海」とは?意味や使い方を類語を含めてご紹介

「海」というと、釣りをしたり泳いだりして楽しむ場所を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、類語や意味を具体的にと問われたら答えに詰まってしまうかもしれません。「海」の意味や使い方について古語を含めて説明し、類語を簡潔に紹介しています。

目次

  1. 「海」の意味
  2. 「海」の使い方
  3. 「海」の類語

「海」の意味

「海」(音読み「カイ」・訓読み「うみ」)には以下のような意味があります。もともとは1で、そこから2~6の意味が派生しました。

  1. 地球上で陸以外の部分
  2. くぼんで水が貯まっている場所
  3. 一面に広がっている
  4. 硯(すずり)の一部分
  5. 度量が広い・大きい
  6. 物事が集まっている

現代語で「海」は、1・3・4の意味で使われることが多いです。2の場合は古語での使用が目立ちます。5・6は他の漢字と組み合わせた熟語で用いられます。

「海」の使い方

1.地球上の陸以外の部分

「海」は、地球上で陸地以外の部分、塩水で全体がひとまとまりにつながっている所です。現在では、地球の表面積の約7割(約3億6000万平方km)を占めています。

【例文】

  • 海で小さな鰹(かつお)と鰯(いわし)を釣ってきた。
  • 外海(「そとうみ」もしくは「がいかい」)ではイルカの群れが見られるそうだ。

※外海…陸地から遠く離れた海

2.くぼんで水が貯まっている場所

「海」は、陸地の中で比較的広範囲にくぼんで水が貯まっている場所を指すこともあります。このような使い方は古語に見られ、和歌にも詠まれています。現代では「」や「」を使うのが一般的です。

【「海」が湖に使われた例】

  • 近江の海(おうみのみ【「うみ」の「う」の音が落ちている】)琵琶湖びわこ
  • 余呉の海(よごのうみ)琵琶湖の北にある余呉湖よごこ
 
【万葉集 作者/柿本人麻呂】
近江の海 夕波千鳥 汝が鳴けば 心もしのに 古思ほゆ

【現代語訳】
近江の海で夕方の波に立つ千鳥よ。お前が鳴けば気落ちして自ずと昔を懐かしんでしまうよ。

3.一面に広がっている

「海」が、地球に広がっている様子から、ある物が一面に広がっているさまを比喩的に使う例も見られます。「火の海」「血の海」「月の海」のような使い方をします。

「月の海」は、月の表面の黒い部分に水があると考えたことからきています。月面上、玄武岩で覆われた黒い部分が広がる区域を総称して「月の海」と言います。

【例文】

  • 実験とは分かっていても、辺り一面が火の海になると焦ってしまうね。
  • 月の海は水面が広がっているわけではない。

4.硯の一部

硯(すずり)の一部分、水や墨汁を入れる所を「海」と呼びます。「海」が水を湛(たた)えている様子を、水や墨汁を満たすことに例えています。ちなみに、硯の墨をする所は水がないため、「(おか)」という名前がついています。

【例文】
短冊に願い事を書くために、海に水を入れて墨で磨(す)ったがなかなか色がつかない。仕方なく墨汁を使った。

5.度量が広い・大きい

「海」が、地球上で広大な場所を占める様子から、度量(どりょう:長さや容積)が広いこと、大きいことに例え、人の寛大な心を表すこともあります。

【熟語の例】

  • 海容(かいよう)…海のような広い心をもって相手を許すこと。謝罪の手紙で使う。
  • 天空海闊(てんくうかいかつ)…空や海が果てしなく広がっている様子、転じて心が広くわだかまりがないこと。

【例文】
  • 先般のご無礼を御海容ください。
  • いつまでも過去に囚われることはない。天空海闊の気持ちで水に流すつもりだよ。

6.物事が集まっている

「海」は、水が集まっている場所ですので、物事が集まっている様子に例えて使う場合があります。

  • 雲海(うんかい)…山を見下ろした時に雲が波のように密集している現象
  • 樹海(じゅかい)…海のように広く木が密集している場所
  • 人海(じんかい)…人が多いことを海に例えている

【例文】
  • 展望台から見下ろすと雲海が立ち込め幻想的な風景を作り出している。
  • 樹海に迷い込むと外に出るのが大変だよ。

「海」の類語

蒼海・溟海

「蒼海」(そうかい)は、「滄海」とも書き、あおあおとした水色が広がった海、青海原(あおうなばら:一面に青みが濃い広い海)のことを言います。それに対して「溟海」(めいかい)も青海原を指しますが、色合いが違います。「溟」は黒ずんだ薄暗い色のことです。

【例文】

  • すっきりとした蒼海が目前に広がっている。
  • 大雨の影響で川水が大量に入ったせいか、溟海の様相を呈している。

わたつみ

「わたつみ」は、古語で「わたづみ」「わだづみ」「わだつみ」とも読みます。漢字で「海つ霊」と表記し、もともとは海や水を司る神のことを言いました。転じて、海神がいる所から、「海」「海原」(うなばら:広々とした海)の意味で使われるようになりました。

使用例としては、和歌や太平洋戦争で戦没した大学生の遺稿集や戦争映画『きけ、わだつみのこえ』などが挙げられます。近年では話し言葉や書き言葉で使われる機会は少なくなっています。
 

【万葉集 作者/中大兄皇子(天智天皇)】
渡津海(わたつみ)の 豊旗雲(とよはたくも)に 入日さし 今夜の月夜 さやけかりこそ

【現代語訳】
大海原の上空の豊旗雲(旗がなびくように空にかかる美しい雲)に夕日が差している。今宵の月は素晴らしいだろうな。


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