「愛」の意味
「愛(あい)」には、以下のような意味があります。
- 親子や兄弟姉妹、他の人や生物など、ある対象を大切に思う心。
- 特定の人を恋しく思う心。
- キリスト教において、神が人間を限りなくかわいがり大切にし、幸福を与えること。また、神からの愛を受け取った人間が同じようにお互いを大切にすること。
- 仏教において、対象に対する強い執着や欲望のこと。
- アイルランドの漢字表記「愛蘭」の略。
「愛」は人間の根本となる感情として、あらゆる文化や宗教において見られますが、そのとらえ方はさまざまです。たとえば、4の意味でもご紹介した仏教における「愛」は、悩みや迷いの根源となるものとして否定的に見られているようです。
この記事では、一般的に広く使われている1と2の意味の「愛」について、使い方を具体的にご紹介していきます。
「愛」の使い方
1.ある対象を大切に思う心
「ある対象を大切に思う心」とは、人間がもともと持っている、何かを「大切にしたい」と思う深く温かい心のことです。大切にしたいと思う対象には、夫婦や恋人、親子や兄弟姉妹などといった親しい間柄だけでなく、親しくはない他人も含まれます。
また、人間以外の生き物や物事、芸術や国のような抽象的なものに対して、それを好ましく思い「大切にしたい」と思う心も「愛」と表現することができます。
【例文】
- 我が子への愛には限りがないということに、自分が親になって初めて気がついた。
- 彼の音楽への愛は、昔も今も深く大きいままだ。
- 行ったことは1度も無いのだが、私はイギリスに対して愛を感じている。
2.特定の人を恋しく思う心
「特定の人を恋しく思う心」とは、特定の異性(または同性)に強く惹かれる心のことです。胸を締めつけられて苦しいほどに深く思いを寄せている状態を指します。
ひとりが特定の相手を恋しく思う気持ちだけでなく、お互いが相手に強く惹かれあっている気持ちのことも「愛」と言います。
【例文】
- もう何十年も一緒にいるのだが、妻に愛を伝えるときにはいつも緊張してしまう。
- 愛は突然芽生えることもあるのだと、彼女に出会って初めて知った。
「愛」の類語
ここからは、1と2の意味における「愛」の類語をご紹介します。
1.ある対象を大切に思う心
【慈しむ(いつくしむ)】
「慈しむ」には、弱い立場の者や目下の者をかわいがって大切にするという意味があります。「他から害を受けないように守って大切にする」といった意味を含む言葉です。「彼は自分の息子を慈しむ」のように使います。
【愛情(あいじょう)】
「愛情」とは、人や生き物、物に対する深い愛を持った温かな心のことです。また、特定の人を恋しく思う気持ちのことも「愛情」と言います。「我が子への愛情は限りない」「作品に愛情を込めて作る」といった使い方ができます。
【情愛(じょうあい)】
「情愛」は、「愛情」と同様に「深く愛する心」を表す言葉ですが、愛を向ける相手が「愛情」よりも限定的です。「親子の情愛にあふれる」のように、「情愛」は、肉親や夫婦などのような親しい人との間柄にある愛情を表現する際に使います。
【鍾愛(しょうあい)】
「鍾愛」とは、非常に大切にしてかわいがること、深く愛することという意味です。「鍾愛」の「鍾」には「集める」という意味があります。「祖父の鍾愛の品を眺める」のように用います。
2.特定の人を恋しく思う心
【惚れる(ほれる)】
「惚れる」には、すっかり心を奪われるほど、異性(または同性)に夢中になるという意味があります。やや俗語的な表現です。「彼女に惚れてしまった」のように使うことができます。また、人物や物事の魅力に引きつけられて夢中になることも「惚れる」と表現します。
【恋愛(れんあい)】
「恋愛」とは、特定の異性(または同性)に特別な愛情を感じ、お互いにひたすら恋しく思うことです。また、恋しく思う感情そのものも意味します。「恋愛する彼女は輝いている」のように用います。
【恋(こい)】
「恋」には、特定の人に強く引かれること、胸が苦しくなるほど深く好きになることという意味があります。「彼は彼女に恋をしている」のような使い方をします。昔は、植物や場所、季節や過去の時などを思い求める心も「恋」と表していたようです。
【恋慕(れんぼ)】
「恋慕」は、特定の人をひたすら恋しく思うことを意味する言葉です。「彼に恋慕する」のように使うことができます。また、恋慕に関連する言葉に「横恋慕(よこれんぼ)」がありますが、これは「すでに結婚している人や恋人がいる人に横合いから恋をする」という意味です。