「慈しむ」とは?意味や使い方をご紹介

「慈しむ」は、「愛しむ」とも表記されます。皆さんは、この言葉にどんな印象を抱くでしょうか。なんとなく意味はわかっていても、細やかなニュアンスを表現するのは難しいかもしれませんね。今回は「慈しむ」の意味や使い方を、由来や類語なども交えてご紹介します。

目次

  1. 「慈しむ」とは?
  2. 「慈しむ」の使い方
  3. 「慈しむ」の類語

「慈しむ」とは?

「慈しむ」(あるいは愛しむ)は、(いつくしむ)と読みます。意味は、端的にいえば「可愛がり、大切にする」ことです。

ただし、「慈しむ」対象となる相手は、自分より目下も者や弱い存在に限られています。

「慈」の字について

「慈」の音読みは(じ)、訓読みは(いつく・しむ)。慈しむ、恵む、情けをかける、可愛がるなどの意味があります。また、仏教用語としての「慈」は、純粋な親愛や真実の友愛の心を持つことを表します。

このように「慈」は、純粋で深い愛情を表す言葉だということがわかります。慈母、慈愛、慈善など、愛情を感じられるような言葉にも多く使われています。

「慈しむ」の由来

「慈しむ」の由来は、平安時代にさかのぼります。「うつくしむ」という言葉が、可愛がるという意味で用いられていました。

また、昔の日本語に「斎く」(いつ・く)という言葉があります。意味は、神に仕えるように世話をする、大切にお祀りする、です。「うつくしむ」と「いつく」がまざり、中世終わりごろに「いつくしむ」という現在の言葉が生まれたそうです。

神事がからむ「いつ・く」が由来のひとつではありますが、「慈しむ」対象は、神や目上の存在ではないことに留意しましょう。

「慈しむ」の使い方

「慈しむ」は、自分より弱い立場のものや、思いやりやいたわりの感情を抱くものに対して使います。ペットや動植物、守るべき自然など、人間以外の存在にも使うことができる言葉です。

わかりやすく言えば、母が子どもを想うような、見守り、包み込み、大切にするような感情が、「慈しむ」のイメージです。

「慈しむ」の文例

  • A子は、子どもを産んではじめて、慈しむという感情を理解できたという。
  • 若くして結婚したB男とC子は、貧しいながらも互いを慈しみあって暮らしている。
  • 飼育係たちは、無事に生まれた赤ちゃんパンダを慈しみ、宝物のように扱った。
  • 久々に故郷に帰ったD男は、幼年のころに遊んだ川を慈しむように眺めた。

「慈しむ」の類語

「可愛がる」の意味と使い方

「可愛がる」(かわいがる)とは、対象を可愛らしいと感じ、大切に優しく扱ったり、目をかけたりすることです。反語的に、いじめる、しごく、という意味で使われる場合もあります。

強者や目上の存在を対象としない点も、「慈しむ」と同様です。「慈しむ」には、上述したように深く包み込むような愛のニュアンスもありますが、「可愛がる」はもう少し軽いイメージで用いられる場合があります。

たとえば、遊びに来た友人の子どもは「可愛がる」とするのが適切でしょう。この場合に「慈しむ」を使うのはふさわしくありません。

文例:山本さんは、飼っているうさぎをとても可愛がっている。

「愛おしむ」の意味と使い方

「愛おしむ」は、(いとおしむ)と読みます。大きくわけて次の3つの意味をもちます。①可愛く思い、愛情を感じ、大切にすること。②惜しみ、大切にすること。③気の毒に思い、憐れむこと。不憫に思うこと。

「慈しむ」の類語としては、①の意味が該当します。「慈しむ」と同様、少々古めかしい言葉であり、日常会話で用いられることはあまりないでしょう。

文例:叔母は実の子どもを持たなかったが、迎えた養子を大変愛おしんで育てた。


人気の記事

人気のあるまとめランキング

新着一覧

最近公開されたまとめ