「風情」とは?意味や使い方をご紹介

「風情」という言葉の意味をご存じでしょうか。四季のある日本では、夏の浴衣姿や風鈴の音色に風情を感じたり、秋の虫の音に風情を感じる方も多いのではないでしょうか。この記事では「風情」について、意味や使い方を類語などとともにご紹介します。

目次

  1. 「風情」とは
  2. 「風情」の使い方
  3. 「風情」の類語

「風情」とは

「風情」には、「ふぜい・ふうじょう」二通りの読み方がありますが、一般的には「ふぜい」と読みます。名詞と接尾辞(例:○○風情)の用法がありますので、それぞれにおける意味を確認しておきましょう。

【名詞として】

  1. 趣(おもむき)。あじわい。情緒。
  2. すがた。気配(けはい)。表情。
  3. (能楽で、おもむきのある)所作。しぐさ。
  4. 身だしなみ。

【接尾辞として】
  1. (卑しめる、あるいはへりくだる意を込めて)~のような身分の者。
  2. (古典で)~のようなもの。似たようなもの。

「風」とは

「風」は、気象の風以外に、人や物の姿、人格などから何となくただよってくる雰囲気やあじわい(風姿。風格。風光など)とか、上品な趣(風流。風雅など)といった意味も持ちます。

このように「風」は、心に感じるけれども、言葉にするのが難しいものなどを表現する際に、しばしば使われることがあります。

「風情」の使い方

名詞の「風情」

意味1は、あるものの特徴や様子に対して、プラスの意味で用いられます。しみじみとした味わいがある、優美な、上品な、といったニュアンスを含んでいるでしょう。

また、2の意味は、人や物の様子に対して感じる哀愁や悲しみなどの心情を表す場合によく使われます。

【例文】

  • 妻の実家は、和室から風情のある庭が見える、落ちついた佇まいの日本家屋だ。
  • この露天風呂から眺める、冬の富士山の風情は最高だ。
  • 恋人に別れを告げられた彼女は、寂しそうな風情でカフェの椅子に座っていた。

接尾辞の「風情」

接尾辞として用いる場合、主に人を表す名詞や代名詞につきます。日常で使うことは少ないかもしれませんが、ドラマや映画などでは時々聞かれます。わかりやすい例として、時代劇のセリフを挙げてみましょう。

①侍「町人風情が侍に楯突くとは何事ぞ、手打ちに致してくれる。」
②庶民「私ども町人風情には、お武家様のことはとんと存じ上げません。」

①では、上の身分である侍が、町人を卑しんで「町人風情」と言っています。今の時代からは想像しづらいですが、階級意識が言葉に現れていると言えるでしょう。一方②では、町人が自身をへりくだる意味で「町人風情」と使っています。

【例文】

  • ○○風情が俺に説教するなど100年早い。出直してこい。
  • クラシック音楽やオペラなんていう高尚な趣味は、私風情には似合いません。

「風情」の類語

ここでは、名詞としての「風情」の類語をいくつかご紹介します。

「風趣」

「風趣(ふうしゅ」は、そのものが持つ独特の味わいや趣のことです。「風情」と同じような場面で使える言葉ですが、人には使われません。

【例文】

  • 中秋とは思えない寒空は、名月の風趣を一層深く感じさせている。
  • 京都・龍安寺の石庭は、侘び寂びの風趣を凝らした枯山水の素晴らしい庭園だ。

「情趣」

「情趣(じょうしゅ)」は、そのものが持っているしみじみとした感情を起させる味わいやおもしろみのことです。この言葉も「風情」や「風趣」と同じような場面で使うことができますが、人に使うことはありません。

【例文】

  • 奈良・東大寺の大仏を見上げながら、天平時代の情趣を味わっていた。
  • 苔むした庭を抜け、竹林の小道を歩きながら、古都の秋の情趣を楽しんだ。

「持ち味」

「持ち味」には、人や物(特に芸術作品など)が持つ独特の味わいや良さという意味があります。「味わい」があるという点で「風情」の類語と言えるでしょう。

【例文】

  • こんどの小説は、作者の持ち味が十分に発揮された作品に仕上がっている。
  • 俊足が持ち味のA選手は、盗塁だけでなく、ランニングホームランも数多く記録している。

「佇まい」

佇まい(たたずまい)」には、そのものから自然にただよってくる雰囲気や様子という意味があります。「風」の漢字にある、「なんとなくただよう雰囲気や味わい」という意味に近いイメージで、「風情」にも通じるところがあります。

【例文】

  • 先生の家は、住宅街を抜けた林の中の静かな佇まいの平屋だった。
  • 静かな佇まいで茶を点てている彼女からは、大型バイクで疾走する姿が想像できなかった。


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