「佇まい」の意味
「佇(たたず)まい」には、「立っている様子、そこにあるもののありさま、そのもののかもし出す雰囲気」や「身を置くところ、暮らし方、なりわい」などの意味があります。
元々は、「たたずむ」という「人がその場所にずっと立っている様子」を意味する言葉があり、それが「たたずまふ」に変化し、そこからさらに変化して「佇まい」という言葉が生まれました。
「凛とした佇まい」「上品な佇まい」「美しい佇まい」など、ポジティブな言葉とともに用いられることが多く、他と異なる独特の雰囲気を持つことを表します。また、「佇まい」は、人だけでなく、建物や町並み、風景などにも使えます。
「佇まい」の例文
- 昔ながらの閑静な佇まいの家々を楽しみながら散歩した。
- 彼の物静かな佇まい、洗練された物言いは、辺りの人の目を引いた。
- 異様な佇まいの建物を目にして、思わず足を止めた。
- 少女の頃から変わらず、凛とした佇まいを見せている。
- まるで数千年の歴史を見てきたような佇まいであった。
「佇まい」の類語
「雰囲気」
「雰囲気(ふんいき)」は、「その場にいる人たちが自然に作り出している気分、ある人が周囲に感じさせる特別な気分、ムード」という意味を持ちます。人や物、場所などが作り出す特別な空気感を表します。なお、「ふいんき」と読み間違われることが多い漢字です。
【例文】
- このレストランは明るく陽気な雰囲気で知られています。
- 境内(けいだい)の厳(おごそ)かな雰囲気に身が引きしまる思いがした。
- どことなく洗練された雰囲気を感じさせる女性。
「趣き」
「趣き」は、「おもむき」と読み、「そのものが感じさせる風情(ふぜい)、しみじみとした味わい、全体から感じられる様子、ありさま」や「言おうとしていること、方法」などの意味を持ちます。
「佇まい」と共通する点は、ある物が周囲に与える、ほかとは違う、ある種の深みや奥行きを持つことを意味するところです。
【例文】
- 時間とともに列車の窓から見える景色が趣きを変える。
- 彼は、銀行家というよりは、小説家を思わせる趣きを持っていた。
- 見方によっては趣きがあると言えなくもない歴史のある古い建物だった。
「居住まい」
「居住まい」は、「いずまい」と読み、「人が座っている姿勢、その態度、座り方」「住んでいる周りの様子、環境」という意味を持ちます。「佇まい」が、人が立っている様子を表すのに対し、「居住まい」は、人が座っている様子や姿勢にフォーカスしています。
【例文】
- 威厳のある声に、壁にもたれるのをやめ思わず居住まいをなおした。
- 上品で美しく清潔感にあふれた、しゃくやくを思わせる居住まいだった。
- 彼は居住まいを正し、丁寧にお辞儀をした。
「様子」
「様子」は、「外から見て分かる物事のありさま、状況、状態、身なり、態度」などを意味します。「佇まい」が、対象そのものが独特の雰囲気を感じさせるのに対し、「様子」は、目に見えるものをフラットな視点で表現している言葉です。
【例文】
- 彼のもとに、何か重大なニュースが届いた様子である。
- 大勢の人が取り囲んでいて、会場の様子はまったく分からなかった。
- 一人黙って周りの様子をうかがっていた。
「佇まい」の英語表現
「佇まい」を英語では、appearance、shapeと表現します。
【例文】
- a calm appearance(穏やかな佇まい)
- the shape of Mt. Fuji(富士山の佇まい)