「総スカン」の意味とは
「総スカン」(そうすかん)は、周りにいる人皆から嫌われること、不特定多数の人に敬遠されて味方をしてくれる人がいないこと、誰からも賛成されずに孤立することです。誰からも好かれないようなネガティブな意味を持つ言葉です。
「総スカン」の語源
「総スカン」の語源は2つあります。このうち有力なものは「関西の方言」を由来とするものです。
関西の方言「好かん」から
「総スカン」の「総」は、名詞などの上について、全てが後の語の状態であることを表します。「スカン」は、漢字かな交じりに直すと「好かん」です。関西の方言では、好きではない、つまり嫌いという意味で使われます。
もともとの語から考えると、「総スカン」は全ての人が好きではないということですね。昭和初期(1930年代頃)に関西から全国に広がったと言われています。
英語「skunk」(スカンク)から
あまり有力ではありませんが、「総スカン」は、英語の「skunk」(スカンク)から由来しているという説もあります。
「skunk」は、動物のスカンクのほかに「いやなやつ」という意味ですが、俗語で「零敗」「完敗」という意味があります。この「skunk」が「スカン」に変化して「総スカン」の語源となったということです。
この語源の場合は、「周囲の人に完敗する」ということになり、皆から嫌われて屈することを表しているようにも取れますね。
「総スカン」の使い方
「総スカン」は、皆から嫌われている時に使います。例えば、職場や近所、友人グループ、クラスや部活など、ある限られた団体や場所に属する多くの人と関係が悪くなる様子、意見を出しても多数から賛成されない状態、集団無視などのいじめを受けることなどが挙げられます。
【「総スカン」の使用例】
- 総スカンを食う
- 総スカンに遭う
- 総スカンされる
インターネット上での「総スカン」
近年では、インターネットでも「総スカン」が目立ちます。ある人が非常識なことをしたり、目立った意見を述べたりするとインターネット上で情報が拡散されます。
その人のSNSなどで、おかしいと意見を述べたり、見当違いの反論をしたりする人もいます。また、相手が聞く耳を持たないと、嘘の情報を流して嫌がらせにエスカレートすることもあります。著名人や、事件などで渦中の人物となった一般人もターゲットになる場合があります。
このような嫌がらせの投稿に煽(あお)られた不特定多数の人が、対象の人物をよく考えもせず悪いと思い込み、SNSやブログなどに平気で嫌うような書き込みをして徹底的に追い詰めることも「総スカン」と言えるかもしれません。
「総スカン」の例文
- いじめられている人をかばったら、今度は自分が総スカンの憂(う)き目にあった。
- 部署で新人の女性社員を贔屓(ひいき)する部長は、社内で総スカンに遭っている。
- 職場で男性も育児に参加すればいいと意見を述べたら、総スカンを食った。
- 芸能人の不倫に対する掲示板で、プライバシーを侵害する内容を見て注意の書き込みをしたら、参加者から総スカンを受けた。
「総スカン」の類似表現
ブーイングを浴びる
「ブーイングを浴(あ)びる」は、周囲から非難の声を受けること、言動や性格のことで多数から否定的な意見を言われることをいう言い回しです。
「ブーイング」は、スポーツ選手や舞台に立った芸能人が、出来が良くない、活躍をしない、ミスをしたなどの理由で、観客から「ブー」と口を鳴らされ、不満の声を上げられることを言います。
「浴びる」は、自身に打撃となるような非難を身に受ける意味や、感情的な言葉を立て続けに受ける様子も表せます。
【例文】
- 公の場での振る舞い方でブーイングを浴び、彼女はひどく落ち込んでいたよ。
- 著名人が人種差別発言をして、ブーイングを浴びていた。
バッシングを受ける
「バッシングを受(う)ける」とは、過剰なまでの批判をこうむることです。「バッシング」(英語:bashing)は、ある人に対して手ひどい非難を加えるさまを言います。個人や組織に過剰な非難をして、嫌がらせや誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)にもつながる場合があります。
「総スカン」と同様の意味で使うなら、「大勢の人からバッシングを受ける」というように、大人数の人を表す言葉を入れて表すとよいでしょう。
【例文】
- 富豪の社長との交際が発覚して、女優が大勢の人からバッシングを受けていた。
- 大人気の女優を妻に持つ芸人が不倫をして、一般の人々から異常なまでにバッシングを受けている。