「カチコミ」とは
一般的に、「カチコミ」とは「相手のところへ押しかけて乱暴をはたらくこと・殴り込み」という意味です。不良グループなどが敵対する集団を襲撃することを指し、多くの場合は複数人で襲うことを言います。
また、暴力を振るうところまで行かなくとも、激しく文句を言うといったことを「カチコミ」と称する場合もあるようです。
本来の「カチコミ」の意味
どういった言葉から派生して「カチコミ」になったのかは定かではありませんが、もともとは反社会的勢力団体の構成員の間で使われていた言葉です。
「ガラス割り」とも言われる、敵対する団体の事務所のガラスを割ったりすることを指します。つまり、原義は、相手を殴るなど人的な被害を出すことではありません。
たとえば、団体Aと団体Bが争っていたとします。団体Aが「カチコミ」することで、AはBを攻撃したという体裁が保てます。また、AとBとの抗争が明らかになることで、第三者が調停として動かざるを得なくなります。
こうした団体の関係者にとっての「カチコミ」は、実際の殴り合いなどへと発展する前に、お互いの体裁を保ちつつ、事を収めるという効果があるというわけですね。
SNSなどでの「カチコミ」の意味
SNSなどでも「カチコミ」という言葉が使われているのを見かけます。その場合は、実際の「殴り込み」という意味ではないようです。
たとえば、ゲームの話題においては、戦闘に出るなどの「勝負に出る」という意味合いです。また、現実世界やネット上で「凸る」(とつる:突撃する・参加する)、「エンカ」(出会う・会いに行く)などの「接触する・行く」ことを「カチコミ」を指す場合もあります。
「カチコミ」の使い方
上で説明したとおり、「カチコミ」は使う人や使われる場面によって意味が異なりますので注意しましょう。
一般的な「カチコミ」
- Aグループが、縄張りを荒らしたBグループにカチコミに行った。
- 先日カチコミ騒動があった周辺は、警官のパトロールが強化された。
- 在庫がないのにマスクを売れとカチコんで来るお客さんに手を焼いた。
本来の「カチコミ」
- Aの事務所がカチコミを受ける騒ぎが起き、大きな抗争に発展しないか懸念されている。
- B組がC組にカチコミをかけるという噂があったが、何も起きなかったようだ。
SNSなどの「カチコミ」
- (ゲームの話題で)これからボスのところにカチコミする。⇒(ボス戦に挑む)
- 限定グッズを買いに開店と同時にカチコミした。⇒(突撃した)
- ○○さんのところにカチコミします。⇒(会いに行く・動画チャンネルなどを閲覧する)
「カチコミ」の類語
「急襲」
「急襲」(きゅうしゅう)とは「突然敵に襲いかかること・相手の隙を突いて襲うこと」という意味です。「カチコミ」には突然という含みはありませんが、相手に襲いかかるという点では似ています。
【例文】
- 密売組織のアジトは警察の急襲を受け、多くの逮捕者が出た。
- B国は、C国の主力部隊の留守をついて急襲した。
「攻め入る」
「攻め入る」とは「敵地に攻め込む」という意味です。「カチコミ」とほぼ同じ意味と言えるでしょう。
【例文】
- A選手は、攻め入ってきた相手チームのボールを奪って、そのままゴールを決めた。
- 源義経は、一ノ谷の戦で断崖を馬で駆け下りて平家軍の背後から攻め入った。
「突撃」
「突撃」(とつげき)とは「勢いよく攻め込んで攻撃すること」、あるいは「目的に向かって一気に進むこと」という意味です。前者は「カチコミ」に通じるところがあります。
【例文】
- 汚職疑惑のある議員に向かってマスコミ陣が突撃した。
- そのときの彼は、戦場で無謀な突撃を命じられたかのような悲壮な面持ちだった。
「カチコミ足場」とは
建設関連で言われている「カチコミ」とは、工事現場などで使わる足場の一種の「カチコミ足場」のことです。一側足場と呼ばれることもありますが、正式名称は「くさび式足場」です。
支柱と斜材とメッシュ状の板から成る足場で、凹凸がついた金具(くさび)をハンマーで打ち込んで組み立てます。低層住宅や中層住宅の建設現場で用いられるタイプで、設置や解体が簡単という特徴があります。