「倦厭」とは?意味や使い方をご紹介

<けんえん>と読む熟語は、「嫌煙」をはじめ、「嫌厭」や「犬猿」などがあります。「倦厭」もそのひとつです。日常会話ではあまり使う機会がありませんが、漢字から意味は推測できるかもしれませんね。今回は「倦厭」の意味や使い方について解説します。

目次

  1. 「倦厭」とは
  2. 「倦厭」の使い方
  3. 「倦厭」の同音異義語
  4. 「倦厭」と「敬遠」

「倦厭」とは

多かれ少なかれ、誰かの発言や行動が同じことの繰り返しでイヤになる、見聞きするものが同じような物ばかりでつまらないといった経験は、誰しもあるでしょう。「倦厭」はそのような状態を表しています。

つまり、「倦厭」<けんえん>とは、「あきてイヤになること」という意味です。

「倦」とは

「倦」は、音読みでは<ケン・ゲン>、訓読みでは<あ-きる・あぐ-む・う-む・つか-れる>と読みます。「倦」には「疲れる・くたびれる」という意味もありますが、「倦厭」においては「飽きる」という意味です。

「厭」とは

「厭」は、音読みでは<エン・オウ・ヨウ>など、訓読みでは<あき-る・いと-う・いや・おさ-える>と読みます。「厭」は多くの字義を持つ漢字です。「倦厭」の場合の「厭」は「いやになる・飽きる」ことを表しています。

「倦厭」の使い方

「倦厭」は、同じことが続く、十分すぎる、くどすぎるなどの物事に対して用いられる言葉です。会話の中で使うというよりは、書き言葉として使う機会が多いでしょう。

「倦厭」の例文

  • 小説コンクールの審査員として査読したが、どれも似たり寄ったりで倦厭と疲労を催した。
  • 社長は何かにつけて社員の前で話したがるが、長々と同じ内容を喋るので皆を倦厭させている。
  • 失敗の責任を押しつけられ、閑職に追いやられた彼は、弁護士の前で倦厭の情を述べた。

「倦厭」の同音異義語

ここでは、「倦厭」と同じく<ケンエン>と読む言葉をご紹介します。中には「倦厭」と意味が似ているものもあるので、混同しないように気をつけましょう。

「嫌厭」

「嫌厭」とは、嫌っていやがること・嫌悪することという意味です。「嫌」にも「厭」にも「イヤ」という字義があります。併せて、前者は「きらう・いやがる・憎む」、後者は「飽きていやになる・退屈する」ことを表しています。

「嫌煙」

「嫌煙」とは、たばこの煙を嫌うこと。少し詳しく言えば、たばこを吸わない人が他の人が吸っているたばこの煙から受ける害(臭いや煙に含まれる有害な物質)を嫌うことです。

「犬猿」

「犬猿の仲」<ケンエンのなか>ということわざは、とても仲が悪いことを表す慣用表現です。犬猿(犬と猿)は仲が悪いものの代名詞として用いられています。

「腱炎」

「腱」<ケン>とは、筋肉と骨を結びつけている丈夫な線維組織<センイソシキ>のことです。「腱炎」は、その「腱」の部分が炎症を起こしていることを指しています。

なお、「腱炎」と「腱鞘炎」は異なります。「腱鞘」<ケンショウ>は「腱」の周囲を覆っている組織のことだからです。ただし、腱鞘炎は腱炎を合併することが多いようです。

「倦厭」と「敬遠」

「敬遠」とは

「敬遠」<ケイエン>とは、文字通り、「敬い<うやまい>ながら遠ざけること」です。つまり、「表向きは敬っていても、実際には嫌って近寄らないこと」や「関わらないように人や物事を遠ざけること」を指しています。

野球の試合で、ピッチャーがバッターとの勝負を嫌ってわざとフォアボール(四死球)を出し、バッターを一塁に送ることも「敬遠」と言いますね。

これは、一塁にランナーを置くことよりも高いリスク(ホームランなど)を避ける、あるいは、満塁にした方が守備が楽になる場合に用いられる作戦です。

「倦厭」と「敬遠」の違い

「倦厭」が持つ「イヤになる」というイメージと野球の「敬遠」の「(勝負を)嫌う」というイメージを混同しているのか、「倦厭」と「敬遠」を取り違える人もいるようです。

しかし、上で説明したとおり、「倦厭」は「あきてイヤになること」、「敬遠」は「敬いながら遠ざけること」ですから、まったく意味が異なることが分かるでしょう。


人気の記事

人気のあるまとめランキング

新着一覧

最近公開されたまとめ