「発露」とは?
「発露」は、(はつろ)という読み方が一般的ですが、(ほつろ)と読む場合もあります。日常会話で使われることは殆どありませんが、文章、わけても小説などではよく出てくる言葉です。知っている人は、文学通かもしれませんね。
「発露」の意味は、①心のなかにあるもの、気持ちの深いところに潜むもの、あるいは隠していたことなどが表面に現れ出ること、また、映し出すこと。②隠していた犯罪や罪、よこしまな心のうちなどを隠さず明らかにすること、また、それらが現れることです。
②の意味では(ほつろ)と読むことがありますが、現代ではほぼ使われることがありません。後述する医学用語の「発露」も専門家以外使うことはありませんので、「発露」は、主に感情の表出を表す言葉ととらえてよいでしょう。
医学用語の「発露」
医学用語の「発露」は、出産時において、妊婦の膣口(ちつこう)から赤ちゃんの頭が見え、ひっこまなくなった状態のことを言います。このような状態のときには、お産も最終段階で赤ちゃん誕生のカウントダウンと言えますが、産婦の痛みが最高潮に達している状況でもあります。
「発露」の使い方
「発露」は、なじみの薄い言葉なので日常の会話で使うには適さない言葉と言えましょう。知的アピールのつもりで「君への愛を発露するよ」などと告白すると、白けてしまいそうです。
「発露」を使うときのポイントのひとつは、隠していた(隠れていた)感情が自然に浮かび出てしまう場合と、その感情を自ら表す場合の二通りがある点です。
前者の例としては愛情、恋愛感情が代表でしょう。後者では、憎悪、決意、エネルギッシュで前向きな感情などが挙げられます。隠していた感情を表に出す場合、「私は~を発露する」と一人称で使う例は少なく、「~は怒りを発露し~」などと、三人称で描写される例が多いようです。
「発露」の文例
- 片思いの先輩と一緒に下校しながら、A子は言葉の端々に発露する先輩に対する愛情に気づいて慌てた。
- 夜更けに書いた手紙には真情が発露されすぎることがあるから、翌日冷静に読み直すべきだ。
- 自己開発のワークショップでは、参加者が抑圧していた感情を発露する光景が多々みられた。
- いつもは冷静なBさんが、身体を震わせ怒りを発露させているのには驚いた。
「発露」の類語
「流露」の意味と使い方
「流露」は、(りゅうろ)と読みます。気持ち、精神的なものが自然に外に現れ出ること、感情が残ることなく現れることを意味する言葉です。「発露」以上に「文章語」と言えるでしょう。
「発露」は「発」という漢字からもわかるように、表出すること自体に重点があるニュアンスです。一方、「流露」は「流」の漢字が用いられていることからも、感情や思いが流れ出るようなニュアンスが強くなります。その点からも、非常に文学的な言葉ではないでしょうか。
【文例】小百合は、昔、思いを残しながら別れた恋人に、さまざまな感情が流露する手紙を書き綴った。
「煥発」の意味と使い方
「煥発」は、(かんぱつ)と読みます。読み方も難しく、「才気煥発」(さいきかんぱつ)という四字熟語として見聞きする程度のなじみの薄い言葉でしょう。
「煥発」は、火が燃え出るように外に輝き現れることを意味する言葉です。自然と表出するという部分が「発露」の類語たりえます。また、「才気煥発」とは、優れた才能がさかんに表れ出ること、またそのさまを意味しています。
【文例】様々な芸術家を一堂に集めた「芸術の祭典」では、才気煥発な人々が自由に自己表現をする類(たぐい)まれな場となった。