「愉悦」とは?意味や使い方をご紹介

「愉悦」は、日常会話ではまず使わない言葉ですから、馴染みがあるとは言い難いかもしれません。とはいえ、2つの漢字から、なんとなく喜んでいそうな雰囲気が漂ってきませんか?今回は、「愉悦」の意味と使い方を、類語を含めてご紹介します。

目次

  1. 「愉悦」とは?
  2. 「愉悦」の使い方
  3. 「愉悦」の類語

「愉悦」とは?

「愉悦」は、(ゆえつ)と読みます。会話で用いられることはほとんどありませんし、ちょっと堅い印象を受けるかもしれません。

「愉悦」とは、心から楽しみ喜ぶこと、心底愉快に思い喜ぶこと、を意味する言葉です。ちょっとした喜びや楽しみではなく、満足感や湧き上がるような喜びを味わう状態のことを表現しています。

強い喜びの表現である理由を、「愉悦」それぞれの字義から紐解いてみましょう。「愉」は、音読みが(ゆ)、訓読みが(たの・しい、たの・しむ)。意味は、楽しい、楽しむ、喜ぶ、です。

他方、「悦」音読みは(えつ)、訓読みは(よろこ・ぶ)。意味は、喜ぶ、嬉しく思う、楽しむ、です。「愉悦」は、喜びや楽しさを表す二文字を重ねて構成されており、それにより意味も強調されている言葉と言えます。

「愉悦」の使い方

「愉悦」は、(あるできごとによって)溢れるような喜びや深い満足感を得ている状態ですが、その喜びのレベルの定義はありません。なにをもってどれほど愉悦と感じるかは、人それぞれ異なるからです。

ただし「愉悦」は、広く一般的な表現とは言い難いですから、それだけに印象的な言葉です。他者にとってはささやかと思われがちなことに用いると、不自然で大げさなイメージを与える可能性もあるでしょう。「愉悦」を使う理由が伝わるように、文脈を工夫する必要がありそうです。

定型的な言い回しとして、「愉悦に浸る」「愉悦を味わう」「愉悦を覚える」「愉悦を感じる」などが挙げられます。どれも、溢れる喜びをしみじみかみしめるニュアンスを深めています。「愉悦する」とも言いますが、一般的ではありません。

「愉悦」の文例

  • 母校の甲子園優勝に、応援席の卒業生一同は涙し、愉悦した。
  • 長年の夢だったイラストコンクールで優勝したAさんは、賞状を手に愉悦に浸った。
  • 人生で愉悦を味わう瞬間は、そうたくさんあるわけではない。
  • 富士山の山頂での初日の出に愉悦を覚えたBさんは、それ以来毎年富士山に登頂している。
  • ベランダのハーブの香りにさえ愉悦を感じることができるのも、ひとつの豊かさだ。

「愉悦」の類語

「喜び」

「喜び(よろこび)」は、多くの人が使う感情表現のひとつです。うれしく思う気持ち、何かよいことがあって満足しているような気持ちを表します。

シンプルでわかりやすい反面、小さな喜びから大きな喜びまで、含む幅がきわめて大きいため、喜びの質やレベルを表現するためには、ほかの言葉で補うことが必要です。

「愉悦」の類語的に用いるためには、「深く湧き上がるような喜び」などのように言葉を補うとよいでしょう。

文例:夢だったパリへの旅が実現したCさんは、カフェでゆっくり街並みを眺め、心から湧き上がる喜びに浸っていた。

「喜悦」

「喜悦」は、(きえつ)と読みます。心から喜ぶこと、心底からの強く深い喜びのことを意味する言葉です。

文例:Dさん夫妻は、待望の孫が無事に生まれたとの知らせに、喜悦の声をあげた。

「満悦」

「満悦」は、(まんえつ)と読みます。一般的には「ご満悦」と「ご」が付く形で頻繁に用いられています。心が満ち足り、喜ぶこと。深い満足感のある喜びのこと、を意味する言葉です。

文例:恩師のE先生は、喜寿の祝いに教え子が30人も集まり、ご満悦だった。

「快楽」

「快楽」は、(かいらく)と読みます。「喜び」と同様に、よく見聞きするであろう一般的な言葉です。心地よく楽しいことを意味しますが、欲望が満たされた場面、特に官能的な心地よさを指すことが多いでしょう。

もとの意味は、楽しさや喜びの感情を表すものの、官能的な印象が強いためか、「快楽的」などは、喜びにうつつをぬかす、といったネガティブなニュアンスを帯びることがあります。

単純に楽しさや喜びを表現したい場合は、前項までに挙げた言葉を用いるほうが誤解が少ないでしょう。使う状況を慎重に選びたいものです。

文例:大海原をヨットで潮風をきって進んでゆくのは、大いなる快楽だった。


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