「生殺し」とは?意味や使い方をご紹介

「生殺し」(なまごろし)という言葉をご存知でしょうか。初めて聞く方は、なんだか物騒だという印象をもたれるかもしれません。二つの意味がありますので、この機会に覚えておきましょう。本記事では、「生殺し」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「生殺し」の意味
  2. 「生殺し」の使い方①:ほとんど死ぬばかり
  3. 「生殺し」の使い方②:中途半端な状態

「生殺し」の意味

「生殺し」(なまごろし)という言葉には、次の通り二つの意味があります。

  1. ほとんど死ぬばかりの状態にしておくこと。「半殺し」(はんごろし)と同義。
  2. わざと決着をつけずに、相手が困り苦しむのを放っておくこと。中途半端にしておくこと。

また、「蛇の生殺し」(へびのなまごろし)という慣用的な表現もあり、この場合、上記の両方の意味で使うことができます。

「生」+「殺し」

「生」(なま)という言葉にはいくつか意味がありますが、「生〇〇」のように接頭辞として使用する場合には、次の3つの意味で用いられます。

  1. 手を加えずそのまま、未熟、不十分。(例:「生放送」)
  2. すこし、どことなく、なんとなく。(例:「生白い」)
  3. 中途半端で不十分。(例:「生渇き」)

このうち、「生殺し」の「生」は、下線を引いた2および3の意味です。

「なんとなく殺す(≒ほとんど殺されて死んでいる)ような状態」の「生殺し」と、「『殺す』と言い切るには中途半端で不十分な状態」の「生殺し」、ふたつの意味が存在するわけですね。

「生殺し」の使い方①:ほとんど死ぬばかり

「ほとんど死ぬばかりの状態」という意味の「生殺し」は、文字通り、何かを殺すほどに痛めつけて、しかし殺さずにそのままの状態においておくことを指して使います。

命ある相手を「いたぶる」「もてあそぶ」ニュアンスがあるため、人間に対して使うとかなり物騒で嗜虐的なイメージがあります。注意しましょう。

ただ、自然界では、相手の抵抗力を削ぎ、かつ新鮮な状態で捕食するために本能によって相手を「生殺し」に追い込むことは珍しくありません。身近な例では、野生の猫は、狩りの練習もかねて捕食する相手を執拗(しつよう)に痛めつけることがあります。

例文

  • 昔、学校にいた乱暴な先輩に「生殺しの目に遭いたいのか?」と脅されたことがある。
  • 中世で行われた魔女狩りでは、多くの者が拷問の末に生殺しのような残酷な方法で処刑された。
  • 外飼いの猫が時々、生殺し状態の鳥や虫を玄関に運んでくることがあって、困っている。

「生殺し」の使い方②:中途半端な状態

「生殺し」のもうひとつの使い方は、「決着をつける権能を有しているのに敢えてそれを行使せず、わざと相手を放置すること」や「とても中途半端な状態に置いておく状態」を指して使います。

この場合の「殺し(殺す)」は「生命を断つ」というそのままの意味ではなく、やや比喩的に「決着をつける」という意味で用いられています。

「生/死」こそは、人間の状態を二元的に峻別(しゅんべつ)する究極的な概念といえます。にもかかわらず「ほとんど殺すが、殺さず(≒生かす)」と言っているわけですから、「生殺し」は並みの神経では耐えがたい「精神的な宙づり状態」と言い換えられるでしょう。

男女関係の話題で使われることも

この意味の「生殺し」は、男女関係、すなわち色恋沙汰や性的関係の話題で用いられることも少なくありません。「殺す」が、「相手を悩殺(のうさつ)する」という意味を持っていることにも注目です。

生物学的な「生/死」と同等と言わないまでも、人間の性的欲求はそれに準ずる非常に強力な本能です。よって、それにまつわる話題も「魅力的な異性として認められるか否か」「性的に満足できたかどうか」など、究極的な二元論で語られることが少なくありません。

例えば、意中の人に気のあるようなそぶりをされた…かと思えば急にそっぽを向かれたりしたとき、「いっそ殺してくれ」と思うほど憔悴(しょうすい)することもあるでしょう。こうした状態も「生殺し」と呼ばれます。

例文

  • 砂浜の工事の関係で海開きが延長されることになり、遠くからレジャーに来ていた若者たちは生殺しも同然だった。
  • 彼女は、恋人が二時間も待っているのに姿を現さず、困る相手を生殺しにして楽しんだ。
  • 意を決して意中の人にラブレターを送ったのに、一ヶ月も返信がない。これじゃ生殺しだ。


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