「やり遂げる」とは
「やり遂げる」とは、「最後まできちんと完全に終わらせる」ということを表す言い回しです。特に、困難なことを最後まで投げ出さずにやるような場合に使われます。
「遣り遂げる」
「やり遂げる」は、「遣り遂げる」とも書きます。「遣」という漢字には、次のような意味があります。「遣り遂げる」の「遣」は、3の動作に関する表現として使われています。
- つかわす。さしむける:「派遣、遣唐使(けんとうし)」など
- つかう。使用する:「仮名遣い」など
- やる(「あげる、与える、贈る、恵む、渡す、譲る、する」などの動作を表す):「餌(えさ)を遣る、運動をやる、ピアノをやる」など
一方の「遂」という漢字には、①「最後までやりきる。とげる」、②「とうとう。ついに」という意味があり、①の意味だけでも「やり遂げる」ということを表しますが、動作を表す「遣る(遣り)」をつけて強調している感じを与える言い回しになっています。
「やり遂げる」の使い方
- 3年間クラブ活動をやり遂げて、心残りなく卒業することができた。
- 比叡山の千日回峰行をやり遂げた僧侶は、「北嶺大行満大阿闍梨(ほくれいだいぎょうまんだいあじゃり)」と呼ばれるそうだ。
- 彼は、様々な障害を乗り越えてようやくエベレスト登頂をやり遂げた。
- このプロジェクトをやり遂げるためには、チームが一丸となって取り組まなければならない。
- 彼はとても飽きっぽくて、何事も最後までやり遂げたことがなかった。
「やり遂げる」の類語
「達成する」
「達成する」は、「目標に到達すること。目的を果たすこと」です。「到達する。果たす」が「最後まで終わらせる」という意味で「やり遂げる」の類語です。
【例文】
- この不況の中で今月はノルマを達成するのは難しそうだ。
- あの投手は、現役中に3度ノーヒットノーランを達成している。
「成し遂げる」
「成し遂げる」は「為し遂げる」とも書き、意味は「やり遂げる」とほとんど同じです。「成」も「為」も「(ある行為や動作を)する。しとげる」という意味を持っていて、「遣」よりはわかりやすい漢字が使われています。
【例文】
- 豊臣秀吉は、主君織田信長が成し遂げられなかった天下統一を果たした。
- 経営陣と社員が血のにじむような努力をした結果、倒産寸前だった会社の再建を成し遂げることができた。
「全うする」
「全う(まっとう)する」は、「完全に果たす。完全に終わらせる」という意味の表現です。「全」は、「すべて。欠けたところがない」という意味の漢字で、「完全」「完了」「完璧」などの熟語があります。
「全うする」は、行為や動作全般ではなく、「責任」「使命」「職務」などその人や組織に与えられた(あるいは負わされた)ことを完全に果たす場合に使われることが多いですが、「天寿を全うした」という表現もあります。
【例文】
- 殉職(じゅんしょく)した友人は、火災時の消火・救助活動という消防士としての使命を全うした。
- スキャンダルで激しい非難を受けた大統領は任期を全うすることができなかった。
「やり遂げる」の反対に近い意味の言葉
完全に終わらせることができなかったときに「挫折(する)」という言葉を使うことがあります。「挫折」とは、「計画などが途中でだめになること。何かをやり遂げる気力や意欲をなくすこと」です。
「挫」は、「くじける」と読み、「くじける。折れる。勢いを失う」などの意味があり、「折(れる)」と組み合わさって上記のような意味になります。
【例文】
- 私の人生には多くの挫折があったが、その度に気力を奮い起こして立ち直ってきた。
- 社運をかけたプロジェクトだったが、銀行融資がストップし資金難で挫折してしまった。