「成し遂げる」の意味
「成し遂げる(なしとげる)」には「物事を最後までし遂げる。立派にやってのける」という意味があります。辞書によっては「為し遂げる」と記載されていますが、意味に違いはありません。
「成す」には多くの意味がありますが、ここでは「完成させる。物事をし遂げる」ことを表します。また「遂げる」にも複数の意味がありますが、ここでは「果たす。目的を達成する」ことを指しています。
このことから、「成し遂げる」は似たような言葉を重ねて強調した表現であることが分かりますね。「成す」や「遂げる」だけでは表したり足りない、「最後まで行動し、目標のクリアなどの結果を出す」という含みが強いといえるでしょう。
物事を「成し遂げる」までには様々な苦労や努力があり、それらを乗り越えるというプロセスがあります。だからこそ、「成し遂げる」ことは、周囲から賞賛を浴びることが多いのです。
「成し遂げる」の使い方
「成し遂げる」が用いられる対象は、「最後までやりきって良い結果をだせた物事」で、おもに偉業や快挙、覇業と言われるような物事です。しかし、身の回りで達成した小さな物事に対しても用いられることもあります。
【例文】
- 徳川家康は天下統一を成し遂げた。
- 短期間で経営改善を成し遂げた新社長は相当の切れ者だ。
- 何をしても三日坊主だった彼女が、ダイエットを成し遂げたことは驚くべきことだ。
「成し遂げる」の英語表現
「成し遂げる」の英語表現と言えば、一般的に「achieve」が頭に浮かぶでしょう。この「achieve」は、どちらかと言えば「金メダルを獲得した」、「新しいワクチンを発見した」などの大きな偉業を成し遂げた場合に使われる単語です。
「ダイエット」や「仕事」など比較的小さな事柄も含めて成し遂げたと表現したい場合は「accomplish」が適しています。他にも「~を成し遂げる」で「carry out(through)」を使うのも良いでしょう。
例文
【例文1】
He achieved the feat of winning three consecutive Olympics in Judo.
訳:彼は柔道でオリンピック三連覇という偉業を成し遂げた。
【例文2】
She accomplished her goal of losing 10 kilograms by moderate exercise and dietary restrictions.
訳:彼女は適度な運動と食事制限で10kg痩せる目標を成し遂げた。
【例文3】
He devoted all his youth to research in order to accomplish his research.
訳:彼は自らの研究を成し遂げるために青春時代を全て研究に捧げた。
「成し遂げる」と「やり遂げる」
ここで、「成し遂げる」と似た言葉の「やり遂げる」について考えてみましょう。「やる」にも「物事をし遂げる。うまくやる」といった意味がありますが、漠然とした「する。行う」といった意味もあります。
「やる」と「成す」の意味から、「やり遂げる」も「成し遂げる」と同じとも言えます。しかし、これら二つを使い分けに意図があるとすれば、「やり遂げる」の「やる」は後者の意味で使用しているのでしょう。
そのため、「やり遂げる」は、周囲がどう評価するかどうかはさておき、「とにかく最後までやり通した」という点にウェイトがある表現と言えます。
「成し遂げる」を意味する四字熟語
粒粒辛苦
「粒粒辛苦(りゅうりゅうしんく)」は「1つの事を成し遂げるためにコツコツと小さな努力を積み重ねること」です。「粒」は米1粒を表しており、米1粒を作るのには農家のたゆまぬ努力が必要であることが転じてこの意味になりました。
「何かのためにコツコツと努力を積み重ねる」様子は「成し遂げる」と共通する部分があります。ただし、こちらには「最後までやり通す」というニュアンスは含まれていません。
「初志貫徹」
「初志貫徹(しょしかんてつ)」は「初めに心に決めた事を最後まで貫き通すこと」です。最後まで目標を持って貫き通すことは「成し遂げる」と通ずるものがあります。
「初志」を「初心」と同じと解釈してしまう人もいるようですが、これらは意味の違います。「初志」は「最初に定めた志や目標」、「初心」は「物事を始めたばかりで物事を良く理解していない状態」を表す言葉です。