「おまえら」とは
「おまえら」とは、二人称複数を表す代名詞のひとつです。意味は「あなた方」と同じですが、「おまえら」は自分と同格、あるいは、目下の人たちに対して使います。
「おまえら」の構成
「おまえら」は、「おまえ」+「ら」で構成されています。「ら」は漢字で書くと「等」で、同じような物を指す「など」の意味です。つまり、「ら」は「おまえ」が複数人いることを表しています。なお、「おまえ」については追って説明しましょう。
「おまえら」の使い方
「おまえら」は、親しい間柄で用いられる場合と、相手を見下して使う場合とがあります。
【例文】
- おまえら早く帰れ。もう定時過ぎたぞ。
- おまえら口答えだけは一人前だな。
- おまえら、ほんとに仲良いな。
- おまえらがどう思おうと、俺は考えを変えない。
また、SNSなどでは、不特定多数への呼びかけとしても用いられる言葉です。
【例文】
- おまえら最高かよ。(「最高かよ」:最高だよ!)
- おまえらも早く寝ろよ。
『走れメロス』
ー太宰治『走れメロス』ー
上の引用は、作品の最後の部分。メロスとセリヌンティウスの友情に心を打たれた、暴君ディオニスが彼らに仲間にしてくれと言うシーンです。ディオニスは王ですから、メロスとセリヌンティウスに「おまえら」と呼びかけています。
『二十四の瞳』
「おまえら、うちのコト、知らんかいの?」
ー壺井栄『二十四の瞳』ー
生徒たちは怪我で学校を休んでいる大石先生に会いに、家族に内緒で出かけます。コトエはいつも子守をしている幼い弟のことが気になりつつも、ほかの生徒たちと一緒に行ってしまうのです。
引用したのはコトエの家族がコトエを探しているシーンです。特定の誰かではなく、そこにいる子供たちに問いかけているので「おまえら」と言っています。
「おまえ」とは
「おまえ」は漢字で書くと「御前」です。代名詞として用いる「おまえ」は、昔は目上の人に対する敬称でした。「あなた様」というニュアンスです。しかし、近代以降は同格か目下の人に用いられるようになりました。
敬称からの変遷
身分の高い人たちが使っていた言葉が庶民に浸透するにつれて、敬意のニュアンスが失われ、親しい間柄で用いられるようになり、やがては罵り言葉にまで変化することはままあります。
「貴様」(きさま)も本来は尊敬の意を込めた呼び方でしたが、現代では同格か目下の人に対して使ったり、相手を侮蔑するときに用いられることさえあるのも、その一例です。
「おまえら」の類語
「おまえら」の類語で、目上の人たちに対しても使えるのは「あなた方(貴人方・貴女方)」です。相手が会社や学校に所属している人たちならば、「貴社・御社」「貴校・御校」などで表せます。
同格か目下の人たちに用いる類語のうち、「君たち」はややフォーマルで気取った表現です。また、「貴様ら」「てめえら」は親しみか、侮蔑のニュアンスを含んでいます。
【例文】
- あなた方のお越しをお待ちしておりました。
- 貴社のご協力のおかげでイベントを成功させることができました。
- 君たちの働きには大いに期待している。
- いい加減にしろよ、貴様ら!
- てめえら、意外と良い奴らだな。
「おまえら(お前ら)」をタイトルに含む作品など
『お前ら全員めんどくさい』
『お前ら全員めんどくさい!』は、WEBコミック誌の『COMICメテオ』で2014年~2020年に連載されていた、TOBIさんによる漫画作品です。男性国語教師の國立国彦が個性豊かな女子高生達にアプローチされるという学園コメディで、2019年には実写映画化もされました。
『おまえらのためだろ』
『おまえらのためだろ』は、1995年から行われている、声優の森川智之さん(もりかわとしゆき)と檜山修之さん(ひやまのぶゆき)によるイベントです。毎回、男性声優をゲストに招き、コントとトークを披露しています。ゲストを含めた女装の披露は人気企画のひとつです。