「悪びれる」とは?意味や使い方を例文付きで解説

「悪びれる」という言葉、聞いたことはあるけれど正確な意味が分からないという方も多いのではないでしょうか?実はこの言葉、日常会話ではあまり使われないものの、文学作品やニュース記事などで時折登場する表現です。特に「悪びれない態度」といった使い方をされることが多く、人の態度や様子を表現する際に重要な役割を果たします。

悪びれるとは?悪びれるの意味

気後れして恥ずかしがること、卑屈になること、未練がましく振る舞うことを表す言葉

悪びれるの説明

「悪びれる」は「悪怯れる」と書き、「怯れる」が気後れする意味を持つことから、本来は「悪いことをしたという後ろめたさから態度が小さくなる様子」を指します。しかし現代では主に否定形の「悪びれない」として使われ、「後ろめたさや恥ずかしさをまったく感じていない態度」を表現する際に用いられます。例えば、大きな失敗をしたにも関わらず平然としている人や、非難されてもまったく動じない様子を「悪びれた様子もない」と表現します。この言葉の面白い点は、本来の意味と実際の使われ方にズレがあることで、言語の変化を感じさせる興味深い事例と言えるでしょう。

悪びれるという言葉、知っていると文章の表現力がぐっと広がりますね!特に人の態度を描写する時に重宝しそうです。

悪びれるの由来・語源

「悪びれる」の語源は古語の「悪怯る(わろびる)」に遡ります。「悪(わる)」は「悪い」「良くない」という意味、「怯る(おびる)」は「おじける」「気後れする」という意味で、合わせて「悪いことをしたという後ろめたさからおじける」という原義を持ちます。中世から近世にかけて使われていた「わろびる」が変化し、江戸時代頃には現在の「悪びれる」という形で定着しました。もともとは実際に悪事を働いた際の後ろめたさを表す言葉でしたが、次第に「気後れする様子」全般を指すようになりました。

悪びれるという言葉、知れば知るほど日本語の深みを感じますね!

悪びれるの豆知識

「悪びれる」の面白い点は、現代ではほとんど否定形の「悪びれない」で使われることです。本来の意味から考えると「悪びれない態度」は「後ろめたさを見せない態度」となり、ポジティブな意味合いで使われることが多いです。また、この言葉は関西地方では比較的よく使われる傾向があり、地域によって使用頻度に差があります。さらに、文学作品では夏目漱石や太宰治などもこの表現を使用しており、教養のある表現として認識されることもあります。

悪びれるのエピソード・逸話

政治家の田中角栄元首相は、ロッキード事件で逮捕された際、マスコミの前に出てもまったく悪びれた様子を見せず、むしろ悠然としていたというエピソードがあります。また、プロ野球の長嶋茂雄氏は現役時代、大事な試合でエラーをしても決してうつむかず、次のプレーに集中する姿勢を見せていました。このような「悪びれない態度」は、むしろ日本人の美徳として評価されることもある興味深い現象です。最近では、芸能人の不倫報道などで「悪びれた様子もなく」という表現がよく使われ、世間の注目を集めています。

悪びれるの言葉の成り立ち

言語学的に見ると、「悪びれる」は「悪」という漢字と「びれる」という和語の結合から成る混種語です。「びれる」は「怯れる(おびれる)」が変化したもので、自動詞化の接尾辞として機能しています。この言葉の特徴は、心理状態を表す動詞でありながら、現代ではほとんど否定形で用いられるという点です。これは日本語における「打ち消し表現の慣用化」の好例で、類似の現象として「きまり悪い」が「きまり悪くない」という形で多用されるケースなどがあります。また、この言葉は待遇表現としても興味深く、目上の人に対して使う場合は「悪びれたご様子もなく」などと尊敬語を組み合わせて使用されます。

悪びれるの例文

  • 1 締切に大幅に遅れて提出したのに、悪びれた様子もなく「忙しかったから」と一言だけ言う同僚に、みんなどう思ってるんだろうとモヤモヤする
  • 2 電車で足を踏まれたのに謝りもせず、悪びれずにスマホを見続けている人を見ると、なんだか自分が悪かったのかと錯覚しそうになる
  • 3 大事な会議で明らかに自分のミスなのに、悪びれた素振りもなく他人のせいにする上司の態度に、チームのみんなが呆れ顔なのはあるある
  • 4 子どもがお店で商品を壊したのに、親が悪びれるどころか「子どもだから仕方ないでしょ」と開き直る光景を見ると、思わず目を背けたくなる
  • 5 飲み会の幹事なのに清算を間違えてみんなから余分に取ったのに、悪びれた様子もなく「ごめん、計算苦手なんだ」で済まされるのが一番困る

「悪びれる」の使い分けと注意点

「悪びれる」を使う際には、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。特に現代では否定形で使われることがほとんどという特徴を理解しておくと、自然な使い方ができるようになります。

  • 批判的なニュアンスを含むため、フォーマルな場面では使用を控える
  • 第三者について話す場合には問題ないが、直接相手に使うのは避ける
  • 文章では「悪びれた様子もなく」という表現が最も自然
表現ニュアンス使用例
悪びれる後ろめたさからくる気後れ失敗して悪びれる
気後れする単なる緊張や遠慮大勢の前で気後れする
卑屈になる自己評価の低さからくる態度すぐに卑屈になる

文学作品での使用例

「悪びれる」は文学作品において、人物の心理描写や性格表現に効果的に用いられてきました。著名な作家たちの作品から、その使い方を学んでみましょう。

彼は悪びれた様子もなく、平然と嘘をつき続けた。

— 夏目漱石『こころ』

悪びれることなく、彼女は自分の過ちを認めた。

— 太宰治『斜陽』

これらの例から分かるように、文学作品では「悪びれない態度」を通じて、人物の強さや図太さ、時には無神経さを表現するのに用いられています。

現代社会における「悪びれない」文化

近年、SNSやインターネット文化の影響で、「悪びれない態度」が一種の美学として捉えられる傾向があります。これは従来の日本的価値観とは異なる、新しい現象と言えるでしょう。

  • インフルエンサー文化における「開き直り」の美学
  • ビジネス界での「失敗を恐れない」姿勢の推奨
  • 若者文化における「恥ずかしがらない」態度の肯定

しかしながら、このような傾向は「悪びれる」本来の意味から考えると、社会的な摩擦を生む可能性もあります。適切な場面での「悪びれる」態度も、人間関係を円滑にするためには重要です。

よくある質問(FAQ)

「悪びれる」と「悪ぶる」の違いは何ですか?

全く異なる意味です。「悪びれる」は後ろめたさや恥ずかしさを感じることを指しますが、「悪ぶる」はわざと悪そうに見せる態度や振る舞いを表します。例えば、不良っぽく見せようとするのが「悪ぶる」で、失敗して申し訳なさそうにするのが「悪びれる」です。

なぜ「悪びれる」は否定形で使われることが多いのですか?

現代では「悪びれない態度」のように、後ろめたさを見せずに平然としている様子を表現する際に使われることが多いからです。本来の意味から発展し、否定的な行為に対する非難や驚きのニュアンスを込めて使われるようになりました。

「悪びれる」をビジネスシーンで使うのは適切ですか?

状況によりますが、基本的には適切です。特に「悪びれた様子もなく」という表現は、相手の態度を批判的に表現する際に使えます。ただし、目上の人に対して直接使うのは避け、第三者について話す場合に使用するのが無難です。

「悪びれる」の類語にはどんな言葉がありますか?

「気後れする」「卑屈になる」「申し訳なさそうにする」「後ろめたそうにする」などが類語として挙げられます。また、否定形の「悪びれない」の類語としては「平然と」「涼しい顔で」「臆せず」などがあります。

「悪びれる」は方言ですか?標準語ですか?

標準語です。ただし、使用頻度には地域差があり、関西地方では比較的よく使われる傾向があります。全国的に理解される表現ですが、若い世代では使われる機会が減っているとも言われています。