「厚顔無恥」の意味
「厚顔無恥(こうがんむち)」とは、厚かましく図々しいうえに恥知らずな様子のことです。「厚顔」が厚かましく図々しいことを表し、「無恥」は恥を恥とも思っていない、恥知らずという意味です。
具体的に言うと「厚顔無恥」は、他人の都合や迷惑を顧みずに、平気で自分の都合や気持ちだけを優先して行動することを指しています。
「厚顔無恥」を「厚顔無知」とするのは間違いですので、ご注意ください。
「厚顔無恥」の由来
「厚顔無恥」の由来は、中国最古の詩集『詩経』や中国最古の歴史書『書経』が平安時代に中国から日本にもたらされたことにより、「厚顔」「顔厚忸怩(がんこうじくじ)」という言葉が伝えられ、精神面の汚さや醜さを表す言葉として「厚顔」が使われるようになったことが始まりです。
“巧言如簧、顔之厚矣”
“巧言くわうの如く、顔の厚きや”
(意味)
巧みな言葉が笛のように出るということは、外面を良くして内面の恥を隠していて厚かましいことである。
“顔厚忸怩”
“顔厚なれども忸怩たる有り。”
(意味)
さすがに厚かましい私でも、恥ずかしく思う。
「厚顔無恥」の使い方
「厚顔無恥」の使い方を、例文を通して見てみましょう。
「厚顔無恥」の例文
1.確かに結婚することはめでたいことかもしれないが、結婚式のご祝儀の金額を指定した上にプレゼントまで要求してくるとは、「厚顔無恥」も甚だしい。
2.突然家に押しかけてきては、断りもなく勝手に冷蔵庫の中を物色して飲み食いした挙句、お礼の一言もない「厚顔無恥」な息子の友人が嫌いだ。
3.飛行機の中で客室乗務員をボタン一つで呼び出し、まるで召使のように高圧的に雑用を言いつけている人を見ると「厚顔無恥」だと思ってしまう。
4.「厚顔無恥」にも程がある。実力が無い上に練習に参加していないにもかかわらず、6年生だから試合のレギュラーに選抜しろなんて、よく言えたものだ。
5.若気の至りでは到底済まされない自分の過去の「厚顔無恥」な態度を思い出しては、両親に対して申し訳ない気持ちになる。
「厚顔無恥」を用いた作例
『鉄面皮』:太宰治
『非人道的な講和条件』:与謝野晶子
『狼園』:坂口安吾
※青空文庫出典
例文から「厚顔無恥」には、「厚顔無恥な〇〇」「厚顔無恥も甚だしい」「厚顔無恥にもほ程がある」と言った表現があることがわかります。また、「厚顔無恥」な言動をしている本人は、自分が他人から図々しく厚かましいと思われていることに気づいていないか、気づいていても気にも留めていない様子が伺えます。
「厚顔無恥」の関連語句
「厚顔無恥」の類義語と対義語を、いくつかご紹介します。
「厚顔無恥」の類義語
・寡廉鮮恥(かれんせんち)
悪意があったり節操がなかったりして恥知らずな様子
・傍若無人(ぼうじゃくぶじん)
人前であろうが構うことなく勝手気ままにふるまうこと
・得手勝手(えてかって)
他人に構わず自分の都合ばかりを優先して、わがまま放題にする様子
・鉄面皮(てつめんぴ)
面の皮がまるで鉄で出来ているように、厚かましく図々しいこと
「厚顔無恥」の対義語
・遠慮会釈(えんりょえしゃく)
他人に対して控えめな態度で接し、相手の事を思いやること
・平身低頭(へいしんていとう)
頭を下げひれ伏し、恐れ入ること
・温厚篤実(おんこうとくじつ)
性格が温厚で情に厚く、誠実な人柄のこと
「厚顔無恥」のまとめ
いかがでしたでしょうか。「厚顔無恥」の意味や使い方をおわかりいただけましたか?「厚顔無恥」とは厚かましく図々しい上に恥知らずな人に向かって言う言葉であって、厚化粧の人に対して恥知らずだと罵る言葉ではありませんのでご注意くださいね。