「先達」とは?意味や使い方をご紹介

「先達」(せんだつ)という言葉をご存じでしょうか。耳慣れない方もあるかもしれませんが、この言葉は、世の中の様々な場面で指導的立場にある人々に対して尊敬の念をこめて用いられる言葉です。今回は「先達」について、意味と使い方を類語も含めてご紹介します。

目次

  1. 「先達」とは?
  2. 「先達」の使い方
  3. 「先達」の類語

「先達」とは?

「先達」(せんだつ)と読みます。(せんだち)と読む場合もありますが、(せんだつ)が一般的です。「先達」は、大きく分けて3つの意味を持ちますが、いずれも、読んで字のごとくで、「先」に「達する」ということです。

「先達」の意味は次のとおりです。①ある分野・方面で、他の人より先に進んで経験を積み、素晴らしい実績をあげて、後輩を導くこと、また、そのような人。②道(しゅげんどう)などで山に入る他の修行者を導くこと、また、その人。③道などの案内人、指導者。

「先達」は、上記の3つの意味のいずれでも現代日本語で用いられていますので、それぞれの項目に分けて意味を詳しく後述いたします。

①後輩の導き手としての「先達」

ある分野で他者に先駆けて経験や実績を積んだ人であることが、この意味における「先達」では必要不可欠な条件です。「後輩を導く人」ということについては、必ずしも他者を導き指導しなければ「先達」と呼べないかといえば、そうではありません。

たとえば、世間から注目をされていない学問分野で、生前、地道に研究を重ね経験と実績を積んだ研究者がいたとします。のちの時代にその学問が脚光をあびたとき、その研究者は、過去に直接後輩を導かなかったとしても、立派な「先達」と呼ばれます。

本人に他者を導く意志がなくとも、その人物の実績を他者が一方的に参考や目標として仰ぎ見るケースは多々あります。直接的な弟子を持つ「先達」がすべてではなく、むしろ、ほとんどの場合が上述の例かもしれません。

修行の先導者としての「先達」

修行の先導者としての「先達」の存在は、古(いにしえ)の日本にさかのぼります。わけても有名なのが、平安時代末期から、皇族などの熊野神社参詣にあわせるように盛んとなった熊野先達です。

この「先達」は、修行で山に入る信者や道者の先に立ってその道中を案内し、修行も導く山伏のことを指します。この種の人々は、峰先達、道先達とも呼ばれました。

③案内者、指導者としての「先達」

案内者、指導者としての「先達」は、特定の分野や修行などとは関係なく、単に山道や道を案内する者のことや、なんらかの指導者、案内者のことを指します。

上記2つの意味を折衷(せっちゅう)したのような意味合いと考えてもいいでしょう。「登山の先達を名乗り出る」などの使い方がもっとも一般的ですが、現代ではほとんどの場合が他の言葉に言い換えられているようです。

「先達」の使い方

現代日本では、修験道の山伏としての「先達」や、単なる案内人としての「先達」が用いられる頻度は高くありません。

よく用いられる言い回しは、「先達に学ぶ」「先達の~に従い」「先達の知恵」「先達の教え」などです。「先達」のことを「先達者」と称することも一般的です。

また、「先達さん」という言葉もあります。これは、四国八十八か所、西国三十三か所の霊場を巡拝する「お遍路さん」を導き指導する人々の呼称です。

「先達」の文例

  • 今でこそ、バイオテクノロジーや疫病などで「菌」が様々な研究の対象となっているが、日本においては、南方熊楠(みなかたくまぐす)がその道の先達の一人と言えるだろう。
  • 1927年に大西洋単独無着陸飛行に成功したチャールズ・リンドバーグは、航空の世界のおおいなる先達だ。
  • 熊野神社を参詣したとき、たまたま先達をつとめる方の話を伺う機会があったが、修行の厳しさに驚くばかりだった。
  • 初めての富士登山では、山岳部出身の知人が先達をつとめてくれて、無事に山頂にたどりつけた。

「先達」の類語

  • 先駆者(せんくしゃ):他の人々に先立って物事をなしたり、新たな分野を切り開く人。
  • 先覚者(せんかくしゃ):他の人々より先に物事の道理や時代の変化などを察知して、何事かを成し遂げた人。
  • 創始者(そうししゃ):ある物事を最初に始めた人。
  • 草分け(くさわけ):(複数の意味のうち、「先達」の類語としては)初めて物事を創始すること、またその人(創始者)のこと。


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