「述懐」の意味とは?
「述懐」は、現代語では「じゅっかい」、古語では「しゅっくゎい(しゅっかい)」と読みます。いずれにしても、「述(じゅつ)」と「懐(かい)」を合わせて「じゅつかい」と読むのは誤りです。
「述懐」の意味は以下の通りです。
- 心の内や思い出をのべること
- 不平・愚痴・恨みをのべること
このうち意味2は、古文などで見られる用法で、現代ではほぼ使われていません。よって、今回は意味1にフォーカスして解説していきます。
「述」の字義
「述」は、音読みで「ジュツ」、訓読みで「の-べる」と読みます。「述懐」においては、「考えなどを言葉で表現する」という意味で用いられています。この意味の「述」を含む熟語には、「供述」や「陳述」などが挙げられます。
「懐」の字義
「懐」は、音読みで「カイ」、訓読みで「ふところ」や「なつ-かしむ」「なつ-く」、「おもう」や「いだく」と読みます。
読み方が複数あることから推測できるかもしれませんが、「懐」は多義語です。今回の場合は、「心の中に抱く思い」という意味が反映されています。
「述懐」の使い方
本来、「述懐」は名詞ですが、「――する」の形でサ行変格活用の動詞としても使うことができます。
先に解説したように、今日用いられているのは上記1の意味です。その中でも、「心のうちをのべている」のか、「過去の出来事を思い出としてのべている」のかは、文脈から判断する必要があります。
例文
- 彼は、念願のタイトルを手中にした現在の心境を述懐してくれたそうだ。
- 彼らが述懐したのは、嘘偽りのない本音であったことだけは理解してほしい。
- 彼女は、当時の教室内の雰囲気が険悪だったと述懐した。
「述懐」の類語
「吐露」
「吐露(とろ)」とは、「心の中に思っていることを、隠さず率直に述べること」です。「述懐」の「心の内に考えていることを述べる」という意味の類語と言えるでしょう。
ただし、「吐露」には、(できれば隠していたかった)感情、気持ちをあらわにする、というニュアンスがあります。どちらかといえば、ネガティブな心情を表すときに使います。
【例文】インタビューを受けた女性は、街の急速な治安悪化に対し、不安な心境を吐露した。
「告白」
「告白」には、いくつかの意味がありますが、「心に秘めていた思い、隠していたことを打ち明けること」という意味において「述懐」の類語たりえます。ただし、こちらは「秘密にしていた気持ち」というニュアンスが強いでしょう。
「告白」と聞くと、「好きな人に気持ちを伝える」というイメージが強いかもしれませんが、罪や隠しごとなどを打ち明ける、といった場合にも使います。
【例文】彼は、連絡を絶ってから今までの間に何があったのか、正直に告白した。
「述懐」を英語で表現すると?
「述懐」は、英語では「reveal one's thoughts」と表すことができます。直訳すると「胸の内を明かす」ということです。また、思い出を語るという意味の「述懐」を表したい場合は、「reminisce」を用いてもよいでしょう。
【例文】
He revealed his thoughts to me, "I'll quit."
訳:彼は「辞職するつもりだ」と胸の内を明かした(=述懐した)。
We reminisced the days we played together a long time ago.
訳:ずっと昔、一緒に遊んだことを思い出した(=述懐した)。