「主眼」とは?
「主眼(しゅがん)」とは、物事のいちばん重要な点や、主要な目的のことを言います。「主」には複数の字義がありますが、ここでは「中心となる」という意味で使われています。他方「眼」は、非常に多くの意味を持つ漢字ですから、次項で詳しくみていきましょう。
「眼」とは?
「眼」は、音読みで「ガン」・「ゲン」、訓読みで「まなこ」・「め」と読み、以下のような意味があります。
- 目そのもの:眼球、肉眼、碧眼(へきがん)など
- 物事を見抜く能力:千里眼、慧眼(けいがん:物事の真実を見抜く力)など
- 穴:方眼、銃眼(じゅうがん:監視や銃撃のため、防壁などに設けた小さな穴)など
- かなめとなる部分:主眼、眼目など
上記のように、「主眼」においての「眼」は、4の「かなめとなる部分」という意味が反映されています。
「主眼」の使い方
「主眼」は、「主眼とする」「主眼を置く」「主眼になる」のような言い回しで用いられることが一般的です。
例文
- 新しい感染症のワクチンについての研究は、一日も早い実用化に主眼が置かれている。
- 学生が提出したレポートを読んだが、何が主眼なのかはっきりしないため、内容が分かりづらかった。
- このレシピ集は、料理の経験が少ない人でも簡単にできることを主眼にして作成されました。
「主眼」の類語
「主眼」の類語には、次のような言葉が挙げられます。
- 眼目:物事でいちばん重要な点。「目」そのもののことも言う。
- 主旨:文章や話、考えの中で、もっとも中心となる事柄。
- 本論:論文や議論などの根幹となる部分。また、「この話(論文・議論)」という意味でも用いられる。
- 骨子(こっし):全体の構成の中で要点となる事柄。
- 重点:物事でいちばん大切な点、いちばん力を入れる部分。物理における作用点。「踊り字」(「久々」の「々」のように、繰り返しを示す符号)のこと。
「主眼」英語での表現
「主眼」の英語表現は、「主な目的」「重要な点」という意味のフレーズが当てはまるでしょう。
【主な目的】
- the chief aim
- the main purpose
- the principal(prime、primary) object
【重要な点】
- the gist
- the (main) point
「主眼」が用いられた文書
かたい印象の言葉である「主眼」は、新聞やニュース、企業の正式な発表などに用いられることが多いようです。また、官公庁の文書でも目にする機会があります。以下に、その一例を挙げてみましょう。
新型コロナウイルス対策文書に見られる「主眼」
2020年の新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、政府から発表された「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」にも、「主眼」が用いられた次のような一文が見られます。
「感染拡大を防ぐ」ことを重要な目的(主眼)に掲げた上で、経済への影響を考慮しながら対策をするよう求めている、と読み取ることができるでしょう。