「過信」の意味
「過信」(かしん)とは、「価値や能力などを実際より高く見積もり、信用しすぎる」ことです。「過」にはいくつかの字義がありますが、ここでは「度がすぎる、はなはだしい」という意味が当てはまります。
「過信」の対象となるのは、才能や技術、人物などさまざまです。ただし、「過信」がネガティブな意味を持つことに注意が必要です。
「過信」の使い方
「過信」は、「対象を高く評価した結果、失敗した」時や、「信頼しすぎていることを警告する」時に使われます。自分自身に対して用いる場合は、自省の意が込められているでしょう。
「過信」の例文
- 体力を過信して、子どもと思い切り遊んだら筋肉痛になってしまった。
- 絶対に失敗しないだなんて、技術を過信しているよ。
- 冷蔵庫を過信してはいけない。詰め込みすぎると十分に冷気が回らなくなる。
- インターネット上の情報の過信は禁物だよ。しっかりと正誤を見極めよう。
- 若い頃は無知で、自分の能力を過信していた。
「過信」の対義語・関連語
「過信」の対義語として、一般的な辞書に示されている語句はないものの、反対の意味と考えられるものを関連語として紹介します。今回は「過信」の反対の意味を、以下のような視点で幅広く解釈していきます。
- 信用できない
- 価値を低く見積もる
- 物事や相手の本質を正しく評価する
「過信」は、物事や人を信じすぎることから、正当に評価できない状態とも考えられます。特に3の解釈は幅がありますから、人によって考えが分かれるかもしれません。
1.信用できない:不信
「不信」には、複数の意味があります。その中でも「相手や物事を信用しない・できない」という意味が、「過信」とは対照的な部分です。
【例文】
- 口ばかりで何も行動しない彼に不信感を持っている。
- 騙されて人間不信になった。
2.価値を低く見積もる:過小評価
「過小評価」とは、物事の価値や能力を実物より低いと判断することです。「過小」は実際と合わないくらい小さ過ぎること、「評価」は物事の値付けや、価値を決めることです。
【例文】
- 先生はAさんのことを過小評価しています。
- 鎌倉時代の花器が見つかったが、専門家は随分と過小評価するのだな。
3.物事や相手の本質を正しく評価する:①虚心
「虚心」とは、偏った見方や先入観にとらわれず、ありのままを受け入れる心のことです。不必要なほど肩入れをしたり、偏見によって全てを拒絶したりすることがありません。
素直な心で物事に向き合い、本質を見極めようとする様子は、高く評価しすぎる「過信」の反対の意味ととも取れるでしょう。「虚心坦懐」(わだかまりがなく、冷静に物事に対して臨むこと)と四字熟語で用いられることもあります。
【例文】
芸術作品は、年齢や経験にとらわれず虚心坦懐に見たほうがよいだろう。
3.物事や相手の本質を正しく評価する:②見る目がある・目が利く
「見る目がある」とは、本質や価値を正しく見抜ける能力があるという意味です。「目が利く」も同義ですが、他に良し悪しを見抜く能力に優れているという意味で使われることもあります。
以下の例文は、人や物の真の姿を判断できることを表しています。「過信」のように、必要以上に高く評価する姿勢とは対極にあると言えるかもしれません。
【例文】
- 人事部長は面接で良い人材を採用しているため、人を見る目があると評判だ。
- 駅前の骨董屋の店主は目が利くそうで、多くのコレクターから鑑定を依頼されている。