「路銀」とは?意味や使い方を由来を含めてご紹介

「路銀」と書いて<ろぎん>と読みます。「旅の途中で路銀が底をついた」といった時代劇のセリフなどで耳にすることもあるかもしれませんが、現代の日常会話ではあまり使わない言葉でしょう。今回は「路銀」の意味や使い方を、由来を含めて解説します。

目次

  1. 「路銀」とは
  2. 「路銀」の使い方
  3. 「路銀」の由来
  4. 「路銀」の関連語
  5. 「路銀」の英語表現

「路銀」とは

みなさんは、旅行に行くときに荷物が多い方ですか?荷物が少ない人であっても、たいていの場合は持ってなければいけないのがお金、または、お金に代わるもの(乗車券やICカードなど)でしょう。

「路銀」<ろぎん>とは「旅費」のことです。旅費は、交通費だけでなく宿泊代や食費など、旅行にかかるすべての費用を指します。

「路銀」の使い方

現代では「路銀」という言葉はあまり用いられません。時代劇や、古い言葉で表現を誇張する場合に使う程度です。

【例文】

  • そこの通りで路銀をすられました。
  • これ、少ないけど路銀の足しにしてね。
  • 親に旅行に連れて行けと言われているが、まずは路銀を稼がないといけない。

「路銀」の由来

「路銀」の「路」は「旅行」、「銀」は「銀貨」を表しています。費用、つまりお金を表すのに「金」ではなく「銀」を用いられるのはなぜでしょうか?

その理由は、昔は日本の貨幣制度が銀を基準としたものだったからと言われています。銀を基準とする貨幣制度は「銀本位制」<ぎんほんいせい>と呼ばれ、世界各国で採用されていたのです。

日本では室町時代後期から明治初期まで、丁銀<ちょうぎん>という銀貨を商取引で使用していました。お金(貨幣)といえば、実際には「銀」のことだったわけですね。ですから、「路金」ではなく「路銀」と言うのでしょう。

とはいえ、たとえば、江戸時代には金貨(小判)と銀貨、そして少額の銭貨<せんか>が併用されていたので、実際のところは銀貨だけを使っていたわけではありません。

「路銀」の関連語

「路銀」と同じ意味の言葉には、「路用」<ろよう>や「路費」<ろひ>などが挙げられます。また、必要な費用を指す「経費」や「用度」<ようど>という言葉を使って「旅行の経費」「旅の用度」と言い換えることもできます。

また、「路銀」と同義とは言えませんが、旅費に関する少し変わった表現には次のような言葉があります。

「草鞋銭」

「草鞋銭」<わらじせん>は、少額の旅費のことです。昔は電車も飛行機もありませんから、掛かる交通費は草鞋を買う費用くらいでした。草鞋を買える程度のお金から転じて、わずかな交通費や餞別<せんべつ>を指すようになったのです。

【例文】

  • ほんの草鞋銭ですが納めてください。
  • 祖母は一晩泊めてくれただけでなく、草鞋銭まで持たせてくれた。

「顎足付き」

「顎足付き」<あごあしつき>というときの「顎」は食事代、「足」は交通費を指しています。よって、「顎足付き」は、食事代と交通費を相手側が負担してくれるという意味です。

「顎足付き」には宿泊代も含まれることがあるようですが、食事代・交通費・宿泊代を合わせた「顎足枕」<あごあしまくら>という言葉もあります。

もともとは寄席に芸人を呼ぶ際に用いられていた芸能界用語ですが、ビジネスなどで先方の招きにあずかるといった場合にも用いられます。

【例文】

  • 講演の講師の依頼をいただきましたが、顎足付きでしょうか?
  • 顎足付きになると有名人の仲間入りを果たした実感が湧く。

「路銀」の英語表現

なんとなく予想はついているかもしれませんが、「路銀」を英語で表現するときには「銀」を意味する'silver'は使いません。「旅行のための費用」と意訳して、'traveling [travel] expenses'や'money for traveling'などと表現します。

【例文】

  • I was tricked by them and paid for my travel expenses.(彼らに路銀を騙し取られた。)
  • He played the guitar and earned money for traveling from passers-by.(彼はギターを弾いて通行人から路銀を稼いだ。)


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