「当然」の意味
「当然」とは「道理上そうあるべきこと。当たり前」という意味です。日常会話でもよく登場する言葉で、誰かからの問いかけに対して「当然だよ」と応えることもありますね。
「当」には「とう」や「あたる」、「まさに」という読み方があります。複数の字義がありますが、ここでは「まさにあるべきさま。当たり前」という意で用いられています。
一方「然」は「ぜん」「ねん」、「しかり」などの読み方があり、「その通り。そのまま」などの意味があります。それぞれを組み合わせると「当然」は、「まさにその通りあるべき」と解釈できます。
「当然」の使い方
「当然」は、「至極当然(しごくとうぜん)」や「当然の結果」、「当然そうなる」などのように、さまざまな使い方ができる言葉です。
一般的には「当然」と表記されることがほとんどですが、まれに「当前」という漢字があてられることもあります。この場合も、同じ意味に解釈して差し支えないでしょう。
例文
- 彼はテスト対策を何も講じなかったのだから、この結果は至極当然と言えるだろう。
- 彼女はリーダーシップもありクラスメートからの信頼も厚い。クラス委員に推薦されるのも当然だ。
- あれほど時間をかけて説明したのだから、彼も当然わかってくれているはずだ。
- 「先週の授業で出された課題はもう終わった?」「当然終わってるよ」
「当然」の類語
「必然」
「必然(ひつぜん)」とは「必ずそうなること。それ以外にはありえないこと」という意味です。「そのようにあるべき」という点において非常に似ている言葉ですが、「当然」よりも強いニュアンスを持ちます。
少し見方を変えると、「当然=should(~であるべき)」、「必然=must(~でなければならない)」と解釈することもできますね。この違いからも、「必然」の意味の強さが感じられるでしょう。
【例文】
- 彼が彼女に振られるのは必然だった。なぜなら彼女は既婚者なのである。
- 彼女がテストで高得点を取ったのは偶然ではなく必然であることを私は知っている。
- ゴールデンウィーク初日なのだから、渋滞に巻き込まれるのは必然だろう。
「すべからく」
「すべからく」は漢字で「須く」と書き、「なすべきこととして。当然」という意味があります。日常で使うことは少ないものの、漢文の訓読などで触れたことがあるかもしれませんね。
「すべからく~べし」はセットで覚えておくとよい言い回しです。現代の言葉に言いかえると、「必ず~しなければならない」「ぜひ~する必要がある」です。
【例文】
- 「学生はすべからく学業に専念すべし」という校長の言葉を胸に刻んだ。
- 努力をしてきた人間にはすべからく栄誉を与えるべきである。
- 辛い時間はすべからく輝かしい未来へとつながっているべきだ。
「無論」
「無論(むろん)」には「論ずるまでもないこと。言うまでもなく。勿論」という意味があります。「言うまでもなくそうである」を言いかえれば「当たり前である」とも表現できますから、「当然」の類語として差し支えないでしょう。
「当然」と同様、問いかけに対する応えとして「無論だ」と使うこともあります。「当然」に比べると「無論」はやや固い印象を受けるかもしれませんね。
【例文】
- 今日は進級のかかった大事なテストがあるのだから無論、遅刻などするはずない。
- 「明日のプレゼンの資料は出来上がっているか?」「無論です。心配ありません。」
- 生徒会長に推薦されるくらいだから無論、人望の厚い人物なのだろう。