「泥船」とは?意味や使い方をご紹介

「泥船」というと何を想像しますか。日本の昔話に親しんだ方や歌舞伎に詳しい方なら、童話の一場面や舞台装置が思い浮かぶかもしれませんね。現在では比喩的に用いられることが多い「泥船」。その意味や由来、現代での主な使い方について説明します。

目次

  1. 「泥船」の意味とは?
  2. 『カチカチ山』に由来する「泥船」
  3. 「泥船」の使い方

「泥船」の意味とは?

「泥船」(どろぶね)の意味は以下の通りです。

  1. 泥を運ぶ船
  2. 歌舞伎の舞台装置で、田や泥の池を模した泥を入れた箱
  3. (すぐに水が入って沈みやすい)泥で作った船
  4. 3から派生して、もろくすぐに崩れそうな組織などのこと

「泥船」と「泥舟」の違い

「泥船」は、「泥舟」と表記することもあります。「船」は、大きさや動力(エンジン)の有無に関係なく「ふね」一般を指します。一方、「舟」は、手漕ぎボートやカヌーのような少人数の小さなものを指します。特にこだわりがなければ「泥船」で構わないでしょう。

また、「泥舟」と書くと、幕末の武士で15代将軍、徳川慶喜(とくがわよしのぶ)の家臣「高橋泥舟(たかはしでいしゅう)」を指すこともあります。幕末から明治初期に活躍した幕臣として有名です。

高橋泥舟、勝海舟(かつかいしゅう)、山岡鉄舟(やまおかてっしゅう・高橋泥舟の義弟)が「幕末の三舟」に挙げられています。

『カチカチ山』に由来する「泥船」

3の意味「泥で作った船」は、童話『カチカチ山』から由来しています。仲良くしていたおばあさんをひどい目に会わせたタヌキに復讐するため、ウサギはあの手この手でやり込めます。ウサギはタヌキの背中に大やけどをさせたり、傷口に辛子をすり込んだりして重傷を負わせます。

それだけで飽き足らず、釣りに誘い込み、「泥で作った方が丈夫だから」とそそのかし、泥船を作って乗せるように仕向けるのです。ついにはタヌキを船ごと川に沈めてしまいます。

この泥船は、見かけは丈夫で立派でも、すぐに水が染み出して壊れて沈んでしまいます。その様子が組織などがもろく崩れ去ることに例えられ、4の意味が派生したと見られています。

「泥船」の使い方

現在、使われることが多いのは、4の意味「崩れそうな組織」です。

今にも崩壊しそうな組織

「泥船」は、今にも崩壊しそうな組織、たとえば倒産寸前の会社、対立が深まって解散しそうな団体や会派などに使えます。大規模な組織から小規模な団体にまで用いられます。

泥船から逃げる」(崩れそうな泥船が沈没する前に逃げることから、組織が崩壊する前に見限って逃げ出すこと)、「泥船に乗る」(沈没しそうな船に乗っていることから、将来性のない会社で働いている)という使い方があります。

また、ブラックジョークでふざけて自分の勤務先を泥船に見立てて、自虐的に言うこともあるかもしれません。上司や先輩が「大船に乗る」にかけて、社員の歓迎会などのスピーチする際「新入社員の皆さん、泥船に乗った気持ちで仕事に励んでください」などという使い方です。

【例文】

  • 資金繰りが上手くいかない会社に見切りを付けて、泥船から逃げることにした。
  • ブラック企業とは気づかずに、泥船に乗ってしまった。
  • (冗談めかして)うちの会社?大丈夫だよ。泥船みたいなものだから、これ以上崩れようがないよ。


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