「貶める」の読み方
まず「貶める」は、「おとしめる」と読みます。他に訓読みでは「けな(す)」などの読み方があり、音読みでは「へん」と読みます。漢字鑑定では、一級あたりで出てきます。
「貶める」の意味
「貶める」には、以下の二つの意味があります。
- 自分よりも劣った者だと見なすこと。見下げたり、蔑むこと
- 下落させることや、成り下がらせること
まず1の意味ですが、これは相手を軽く見るというか、対等に扱わないような感じです。ちなみに蔑むとは、侮ることなどを表します。
次に2の意味ですが、下落とは評判や価値などが下がることを表します。成り下がりに関しても似たような意味で、たとえば出世したりすることを、成り上がりと言います。成り下がりはその逆なので、立場などが下がっていくことです。
「貶める」の使い方
「貶める」は動詞であり、行動や状態を表します。そして何を「貶める」かによって、ある程度、意味するところを限定できます。またこの言葉は変化形で、「貶めて」や「貶めた」などのようにも使われます。
貶める:見下げること
【例:学校で、友人を貶める発言をしてしまう】
これは1の意味で、「友人を見下げる、軽く見る発言をしてしまう」という意味です。具体的な発言としては、「所詮キミはテストで最下位だろ」のような、相手を侮っている感じです。
他には「彼女を貶めた言い方」や、「彼を貶めるような態度」などの表現があります。見下げることなので、どの例も少なからず、馬鹿にするようなニュアンスが含まれています。
貶める:下落させること
【例:貴方の行動は、社名を貶める】
これは2の意味で、価値や評判を落とすというニュアンスが強めです。1の意味での使い方とは、ニュアンスが大きく違っていますね。
他には「ヤツの身を貶めてやろう」でしたら、「何かをして、その人物の立場を下げてやろう」のような意味です。
そちらは1の意味で通じなくはないのですが、「ヤツの身を蔑んでやろう」と置き換えれば、ちょっと違和感があるかと思います。曖昧なときは意味に含まれる言葉に置き換えてみると、分かりやすいかもしれません。
「貶める」の類語
「貶める」の類語には、「冒涜」や「侮辱」などがあります。
「冒涜」について
「冒涜(ぼうとく)」とは、神聖なモノや清らかなモノ、大切なモノを汚すことを表します。この言葉は「神への冒涜」などのように使われ、その汚すことが蔑むような行為でしたら、「神を貶める行為」と言い換えられます。
「侮辱」について
「侮辱(ぶじょく)」とは、相手を軽く見て辱めたり、名誉などを傷つけることを表します。たとえば軽く見るという意味で、「友人を貶める発言をした」は、「友人を侮辱した」と言い換えられます。
「貶す」とは?
少し紛らわしいですが、「貶」を「けな(す)」と読む場合、また別の意味を持ちます。「貶す」とは、何かを悪く言って非難することです。「貶める」に通じてはいますが、割と違っていますね。
この言葉は「他人の趣味を貶す」や「彼の性格を貶す」のように使われ、少なからず欠点などを責め立てるようなニュアンスが含まれます。
「貶」を含む四字熟語
「貶」を含む四字熟語には、「毀誉褒貶」、「筆削褒貶」などがあります。ちなみに共通している「褒貶(ほうへん)」とは、褒めることと貶すことを意味する言葉です。
「毀誉褒貶」について
「毀誉(きよ)褒貶」とは、褒めることと貶すこと、色んな評判を表します。この四字熟語は、「褒貶」を強調した言葉です。
使い方としては「毀誉褒貶が定まらない」のように用いられ、これは「褒めたり貶したりと、一方に定まらない」、引いては「評判が定まらない」というような意味です。
「筆削褒貶」について
「筆削(ひっさく)褒貶」とは、公正で厳しく批評する書き方を指す言葉です。ちょっと分かりづらいかもしれませんが、そういう書き方に対する、評価として使われたりします。
つまりここでの「褒貶」は、公正な見方のもとで褒めることや、貶すことを表しているわけです。そして「筆削」とは、必要な言葉を書いたり、要らない言葉を削ることを意味します。