「お見受け」とは
「お見受け」<おみうけ>は、ほとんどの場合、「お見受けする」というかたちで用いられます。「見受ける」は、見たときの印象や雰囲気から判断する、あるいは、見掛けるという意味です。
「お見受けする」の意味
「お見受けする」は、「見受ける」を丁寧に表現した言葉ですから、意味も「見たときの印象や雰囲気から判断する」や「見掛ける」ことを表します。
「お見受け」の例文
「お見受け」は、時代劇などで「もし、そちらの御隠居様はやんごとなき身分のお方とお見受けいたします」といったセリフでも用いられていますね。しかし、現代でも次のように用いられている言葉です。
「見たときの印象で判断する」という意味
- お見受けしたところ何か心配事がおありのようですが、よろしければお話しくださいませんか?
- お連れ様は陶磁器について深い知識をお持ちであるとお見受けいたします。
- あちらの御仁はひとかどの人物とお見受けいたします。
- そちらにおられるのは○○先生とお見受けいたします。
「お見受けしたところ」はよく使われる言い回しです。とくに、フォーマルなシーンでは、いきなり話を切り出すよりは、このような言葉を挟む方が礼儀正しい印象を受けます。
また、初対面の相手に「○○さんですか?」と呼びかけるのも、やや不躾ですから、「○○さんとお見受けいたします」のような言い回しを用いると良いでしょう。
「見掛ける」という意味
- あちらのご夫婦は、毎朝お揃いで散歩なさっているところをお見受けします。
- 女優の○○さんは映画でお見受けするとおり、お綺麗な方でした。
「お見受けする」の類語
「お見受けする」を言い換えられる簡単な表現としては、「思われる」「感じられる」「ご様子」が挙げられます。
【例文】
- お疲れのように思われますので今夜はもうお休みください。
- ○○社長はご不満があるように感じられましたが何か不手際がありましたでしょうか。
- 大変お元気そうなご様子で安心いたしました。
また、「見掛ける」という意味においては、「目に留まる」「お会いする」などで置き換えることができるでしょう。
【例文】
- 花屋でお買い物されているところが目にとまりました。
- ○○先生とは旅先で偶然お会いしました。
このほかの類語には、次のような言葉が考えられます。
「見受けられる」
「お見受け」と同様に、「見受ける」を使った表現に「見受けられる」があります。これは、動詞「見受ける」の未然形+助動詞「られる」から構成されている言葉です。「られる」は受身や尊敬などを表す働きがあります。
丁寧さは「お見受けする」よりも少し弱まる印象はありますが、丁寧な類似表現として用いることができます。
【例文】
- この地域の歴史の精通してらっしゃるように見受けられます。
- お時間がないように見受けられましたので、簡単にご挨拶だけさせていただきました。
- インフルエンザで欠席する人も幾人か見受けられました。
見て取れる」
「見て取る」には、観察することでそれと分かる、あるいは、見抜くといった意味があります。「見て取れる」は、「見て取ることができる」ということですから、見ること・観察することで読み取れることを指す言葉です。
「お見受けする」が見たときの印象について用いられるのに対し、「見て取れる」はそれよりも深い観察や推測について使われることが多いようです。また、「お見受けする」と違い、「見て取れる」は丁寧表現ではありません。
【例文】
- 滝のような汗をハンカチでぬぐっていることから、彼が大急ぎでやってきたことが見て取れる。
- 娘の顔には亡き妻の面影が見て取れる。
- 彼女が何かを隠していることは誰の目にも見て取れた。
「拝察する」
「拝察する」<はいさつする>とは、「推察する」「察する」の謙譲語です。事情や心情を推察して思いやる、または、深く調べるといった意味があります。
「○○教授とお見受けします」のようには使うことはありませんが、相手の状態や心境に対しては、「お見受けします」と同じように用いることができるでしょう。
【例文】
- 今度の役員人事につきましては、すでにご承知のことと拝察いたします。
- ご心痛のほど拝察いたします。
「身請け・身受け」とは
「身請け・身受け」<みうけ>とは、遊女などの身代金(前借金)やそれ以外の付加借金などを合わせた代金を支払って、女郎勤めから足抜けさせるという意味です。
簡単に言えば、遊女を見初めた旦那が代金を支払って身元を引き受けることですね。「落籍」<らくせき>とも言います。「見受け」とは同音異義ですので、書き間違えないようにしてください。