「入電」とは?
「入電」(にゅうでん)とは、「電報・電信などが到着すること、およびその情報」を意味する言葉です。「来電」(らいでん)や「受電」(じゅでん)とも呼ぶことがあり、業界によって運用が異なる場合があります。
「電信」とは電気信号を介した通信全般のことを指しますので、身近な例では「電話がかかってくること」も「入電」と呼ぶことができます。
しかし、「入電」はどちらかといえば電信業界における専門的な用語として運用されており、一般的には「電話があった」「連絡が来た」「(情報が)送られてきた」と聞く機会のほうが多いでしょう。
「入電」の使い方
「入電」という言葉は、主に「〇〇さんから入電があった」「緊急報告が入電する」などの形で、何らかの電信(一般回線の電話なども含む)が到着することを指して使います。
一般的に使用されることは少なく、例えばコールセンターなど、顧客からの「入電」が主要業務であるような場合や、情報の有無がしばしば重要な判断の基準となるビジネスや軍事の現場で、「入電」という言葉が運用されています。
電気信号による通信は現代の文明に欠かせないものとなっていますが、「入電」は、通信の種類によらず、電気信号が(正規の手順で)到着することに着目した言葉であるといえます。
「重要」「緊急」のニュアンスを含むことがある
辞書的な意義には含まれていませんが、「入電」は、その運用上、「重要」や「緊急」のニュアンスを含むことがあります。
なぜなら、「入電した」と言う状況は、「(誰かから)何らかの電信があったこと」そのものに敢えて注目しているわけですから、自ずとその電信が成されたこと自体が重要性・緊急性を帯びていることが多いのです。
世の中には、緊急時にのみ特別な連絡を行うように設計されているシステムが少なくありません。「便りがないのが良い便り」との格言通り、遠隔地からの「入電」は、その遠隔地で平常でない事態が起こったことのサインというイメージもあります。
例文
- 〇〇社のお客様相談センターに勤めている友人は、「入電内容の九割はクレームだよ」と疲れた顔で言った。
- この保全システムは、管内のどこかから緊急情報が入電したとき、警報を鳴らすように設定されている。
- 台風の被害に遭った地域からは、気象観測データが半分ほどしか入電しなかった。たぶん観測機械が壊れてしまったのだろう。
- 「誘拐犯から入電中!」という警察官の報告に、現場で張り込んでいた刑事たちに緊張が走った。
「入電」と「架電」
「架電」(かでん)とは、「電話をかけること」という意味の言葉です。「入電」とは逆に「かけること」に注目した言葉であるほか、電信全般ではなく「電話」に限定している点に注意しましょう。
「架電」も一般的にはあまり使われておらず、電話をかけることが主要業務の一部となっているようなビジネスの場面で運用されています。
ただし、ビジネスなどの取引相手に対しては「お電話する」と敬語を用いるのが基本です。「架電」は、どちらかといえば社内用語や、客観的に「電話をかける行為」を指したい場合に使います。
「架電」の例文
- さきほど架電した件ですが、関係資料を送付しておきますので、よろしくお願いいたします。
- 〇〇年頃、電話機が一般にも普及し始めて架電件数が大幅に増加したため、通信省は大忙しだった。
「入電」を英語で言うと
「入電」を英語で言うと、「incoming call」(到達呼び出し)や、「received telegram」(電信を受け取る)です。
また、文脈によっては、「telegram」だけでも「入電があったこと」を指すことができます。
例文
- During the meeting, there was incoming call from Roman office.(会議中、ローマ支局から入電があった)
- A telegram from London says the situation is getting worse every moment.(ロンドンからの入電は、状況が刻々と悪くなっていることを告げている)