「残像」の意味とは?
残像とは、外部刺激がやんだあとにも残る感覚興奮のことです。たとえば、ある一点を数秒から十数秒程度凝視してみてください。対象は何かの文字列やマークなど何でも構いません。
そして、その後すぐに視線を別の場所に移します。すると、先ほどまで凝視していた文字列やマークが残っているような感じがありませんか。これが、残像の分かりやすい例のひとつです。
様々な「残像」
前述のように、「あとに残る感覚」とは主に視覚上のことを指していることが多いのですが、それ以外の感覚による感覚興奮を表すこともあります。
その場合は、区別のため味覚残像、嗅覚残像、感覚残像などと呼ばれることが多いです。ただし、聴覚に関しては「残響」という用語を用いるのが一般的です。
「残像」の種類とは?
視覚的な残像には、以下の3つの種類があることが知られています。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
運動残像
運動残像とは、動いているものを見続けた直後に静止しているものを見ると、それがあたかも動いているかのように錯覚してしまう現象です。
たとえば、長い時間にわたって滝を見た後に隣の木々などに目をやると、それらが上へ動いているかのように感じてしまうことがあります。これは、運動残像の作用によるもので「滝の錯視」とも言われています。
補色残像
補色残像とは、同じものをじっと見続けていると反対の色(補色)が目の奥に残ってしまう現象を指す言葉です。次の簡単な実験で確認することができます。
まず、何か黄色いものを30秒程度凝視してみてください。そして、その後すぐに視線を別の場所に移してみます。
すると、目の奥に青紫のイメージが残ってはいないでしょうか。これが、補色残像と言われるものです。
医師の手術着が薄い緑色をしていたり、牛乳パックのデザインが白地に青を基調としたものが多かったりしますよね。これは、補色残像の効果を狙ってのものです。
時間残像
時間残像とは、人間の目の時間分解能を超える速度で点滅を繰り返す光をずっと点灯しているかのように認識してしまうことをいいます。
たとえば、蛍光灯の光は理論上1秒間に100~120回点滅を繰り返しているはずです。しかし、私たちの目にはずっと点いているようにしか見えません。
これは、私たちの目では1秒間に40回程度の点滅を認識するのがやっとだからです。
「残像」を用いた例文
【例文】
- 格闘ゲームに最適なゲーミングモニターを選定するため、残像テストを慎重に行うつもりだ。
- 相手投手の大きく曲がり落ちるカーブの残像が影響したのか、続くストレートにまったく手も足も出せなかった。
みなさんが読んでいる文章に「残像」という言葉が出てきたとき、本来の意味での残像を表している場合と、比喩(たとえ)として用いられている場合とがあります。
そして、後者の場合は過去の(多くの場合良くない)経験が心理に影響を及ぼしていることを示しています。
「残像」を英語で表記すると?
「残像」を意味する英語表現は、複数存在します。ここでは、その中でも主なものを確認していきます。
- afterimage
- persistence of vision
- photogene
- accidental image
- residual image
「残像」を表す表現の中では、1がもっとも一般的なものです。after(後に残る)とimage(画像)をかけ合わせてできているので、比較的覚えやすい単語だといえます。また、主に心理学の分野で用いられているのも特徴です。
これに対し、2の単語は主に医療(眼科)の世界で用いられています。こちらのpersistenceは「残留感覚」を表す言葉で、後に続くvisionと結び付けると「映像の残留感覚」という意味になることが分かるでしょう。
3のphotogeneも、眼科で用いられることの多い言葉です。そして、4や5も「残像」を表す英単語ですが、こちらは他の3つほど頻繁には使われません。
「残像」をモチーフにした芸術作品とは?
flumpool『残像』
人気グループflumpoolがリリースした『残像』という楽曲は、TBS系列で放映されたテレビドラマ「ブラッディ・マンデイ」の第2シーズンの主題歌として人気を博しました。
ギターの阪井一生さんが書き下ろした美しいメロディーをヴォーカルの山村隆太さんが歌い上げる様子が何ともせつなく、同ドラマの世界観ともマッチしていると言われています。
映画『残像』
映画『残像』は、『灰とダイヤモンド』などの作品で知られるポーランドのアンジェイ・ワイダ監督の遺作です。
実在の、社会主義政権による圧政に立ち向かった前衛画家の生涯を描いた伝記ドラマで、名作の呼び声高い作品です。